第12話 日常
ナックルビル家に行った次の日
俺は塾長のところに行った。
「塾長先生、ちょっとお話をよろしいでしょうか?」
「おおーこれはこれは、
2歳にして奴隷商人達をやっつけ、この辺で英雄の生まれ変わりとも言われているシルバー君じゃないか」
そんな風に言われてるのか俺
まぁ悪くはないな
「いえいえ、そんな事はありませんよ
当然のことをしたまでですので」
「はっはっは、謙遜をするでない。
して、今日は何の用かね?」
塾長先生がメガネを外しながら聞いてきた
「実はお願いがありまして、
今日から、魔法の授業を少し休ませてもらい、剣術の方に集中したいのですが…よろしいでしょうか」
「うむ……
まぁよろしいだろう、君は霊王級だしな
あと、鬼太郎先生の一件もあるしな」
「その事なんですが、
鬼太郎先生は一体何者だったんでしょうか…」
「わからぬな…」
「そうですか…」
やはりか
だが、いずれまた会う
そんな予感がするのだ
「では、魔法の授業は休むという事を伝えておきますよ。
君はお父さん以外の先生の授業は毎日取っていますよね?」
「はい、そうです」
「わかりました。
それで、剣術の方は上級者を教えてるグリフィン先生にお願いしてみます。
きっと受け入れてくれるでしょう」
おおー
あのひと剣術の先生だったのか
だからゴツかったのか
ってか何から何までやってくれるなぁ
優しい!
「ありがとうございます。」
では今日は失礼しますね
「気をつけて帰りなさいよ
また人攫いに捕まりますよ?」
と言って塾長先生は笑った
もう、仏だなこの人は
「はい、では」
そうして俺は塾をあとにした
「暇だ…」
いつもなら魔法を受けてる時間だし、
まぁ明日からは1日中剣を振ってなきゃいけないし…
ソフィアのとこにでも行くか
これから遊べなくなるかもしれないし
まぁ授業がない日は遊べるが、
それ以外はいつも剣振ってなきゃだからなぁ
さて、着いた、
「こんちは
ソフィアちゃんいますか?」
「あぁシル君、ちょっと待っててね
今呼んでくるから」
「はい」
「シル君どこ?」
「目の前にいるよ」
そう、ソフィアは目が見えない
だからずっと声をかけてないと俺の位置を認識できないのだ
「今日は何をする?」
「うーんとね、ちょっと言う事があってね」
俺とソフィアは庭にある石に腰を下ろした
「どうしたの?」
ソフィアが神妙な声で聞いてきた
「いや、そんな深刻な事じゃないんだけどね。
これから毎日は遊べなくなっちゃうんだよね。まぁ塾が休みの日は遊べるけどね」
「そうなんだ…
大丈夫だよ!1人でも大丈夫だから」
「うん、ありがと」
と、そこへ家から小包を持ったレミーナさんが出てきた
「お父さんがお弁当忘れて行ったから
届けてるね2人とも留守番してくれる?」
「あ、お母さん、いいよ私が持っていくから」
「でも、危ないわよ?」
「大丈夫です。
僕がついていくので。
何かあったらまた氷の塔を建てますから」
と俺は笑った
「そう…?なら、お願いしてもいいかしら?」
「もちろん!」
こういう小さな心遣いが大切なのだ
いや、別に娘さんをくださいとか、
下心があるわけじゃないからな!
「じゃあいってらっしゃい」
「はい、じゃあ行こうか?」
「うん!」
こうして俺たちは役所へと向かった
途中ソフィアが転びそうになったりとかがあったが手を繋げば何の問題もなかった
「おう!小さなカップルさんよ!
どうだい?焼き鳥でも食うか?」
と、露店の大将が聞いたりしてくる
カップルだってよ?ソフィアさん!
どうですか?
と、ソフィアを見てみると長い耳を赤くして下を向いていた
「美味しそうですが、僕たち用事があるので失礼しますね」
「そうか、またなんかの時食いに来いよ!」
そんな事もあり、役所に着いた
ソフィアの家を出て15分くらい歩いたところだろうか
まぁそれなりにでかい
冒険者ギルドよりでかいんじゃないか?
入ってみると正面に受付があり、
老人がいた
「あの、バラミスさんはいらっしゃいますか?」
「ん?何だね君は?」
「あ、この子のお父さんがバラミスさんで、僕は付き添いです。
バラミスさん、お弁当を忘れてしまったみたいで…」
「そうか、なら少し待っていなさい」
と言われ受付横のイスに座る
待っているとバラミスさんが来た
「あ、シルバー君だったよね?
君も来てくれたのかい?」
「ええ、1人では心配だったので」
「ありがとう、ソフィアもありがとな」
「うん!」
と、ソフィアは元気よく頷いた
やはり父親は偉大だ
「シルバー君、これは大きな声では言えないのでもう少し寄ってくれるか?」
「え?あ、はい」
俺は何の事かわからぬまま近寄った
「いくら命の恩人だからって、ムスメに手を出したら許さんぞ」
と、低い声で言われた
だから、そんな下心なんぞないって
「ん?手を出す?何の事ですか?」
「あ、いや何でもない。
よく考えれば君も来2歳だったよね
変な事を言ってしまって申し訳ない」
「いえ…では失礼しますね」
「もう帰るのか?」
「はい、もうお昼時なので」
「そうか、じゃあな2人とも」
「はい」
「うん!」
ーーーソフィア視点ーーー
私には友達がいる。
たった1人の友達だ。
彼はいつも私を気にかけてくれる。
私は生まれつき目が見えない。
そのせいで友達も出来なかったし
人攫いにも誘拐された。
私は今まで見えない目が憎かった
こんな状態で産んだ両親が憎かった。
でも、両親はそうは思ってなかった。
私を愛してくれた。
人攫いに誘拐され、初めて両親の愛を感じた。
前まで憎かったこの目も私の個性として受け入れることができた。
なぜならこの目のおかげで彼と出会えたと言ってもいいくらいだからだ。
「こんにちは
ソフィアちゃんいますか?」
今日も彼が来た。
私は急いで支度をする。
鏡で自分を見ることは出来ないから
お母さんにやってもらう。
玄関のドアを開ける。
見えないがわかる。
彼がいるのだ。
彼の名前は、シルバー・ヴォルク
彼は私の初めての友達であり、たった1人の友達。




