はじまり
構成の走り書きをそのまま載せています。
小さな島の交易所
せわしなく動き回る男たち。
到着したばかりの船から積み荷が下ろされ、もうひとつの船に次々と移されていく。
すべて運び込まれ、山のように積み重なった荷物を乗せ港を発つ船
離岸し、少しずつ離れていく。
積み荷の引き渡しが終わり
島にある唯一の建物の内部、
ひと仕事を終え、椅子に座りリラックスする守人の男。
今日は風も穏やかで陽気な日差しが気持ちいい。
背面にもたれかかり顔に布を被せ、うとうとと昼寝を始める。
「おい。」
建物のドア、開けっぱなしにした入口の方から声がかかる。
外からの光で陰になった男の顔。
守「…なんだ?乗り遅れか?」
まどろむ意識の中、声をした方に顔も向けず、眼を閉じ布もそのまま守人男は返事する。
男「聞きたいんだけどよ…こっから一番近い街はどこだ?」
おかしな質問だ。
ポーターなら、自分が乗る予定だった船の行き先ぐらい知っているだろう。
守「仲間なら、ほら。お前さんの後ろの方にいるだろ。」
立っていた男が振り返る。
男「…ああ、見えた。」
守「今日は雲が出てその先は良く見えないかもな。帰ってくるのは夕方になるだろ。まあそれまで待っとくんだな。」
男「あっちにあるんだな。」
守「待つのは外でだ。部屋ん中入ってくんじゃねえぞ。」
男「分かった。ありがとよ。」
それきり男の声はしなくなる。
…おかしな奴。
まあ、ポーター連中なんてどいつもこいつも殆ど喋らず陰気な連中だ。
喋ったとしても鸚鵡返しばかり。まともにしゃべれる奴なんて初めてだ。
…
そう考えると、少し話を聞きたくなってくる。
布を取り、ドアに視線を移す。
…男の姿は無い。
守「おーい。」
部屋をぬける風が心なしか強くなる。
開け放たれたドアの先に見える雲の動きが、少し早くなったようだ。
守「おーい、乗り遅れー。いるかー?」
…返事が無い。
…
……まあいい。どうせ時間はある。後で声をかければいい。
守人男は大きなあくびをすると、再び顔に布を被せ眠りに入った。
小屋の外に設置した吹流しが風に吹かれ踊っている。
風が強くなったお陰か、一度雲に消えた船が再び見えるようになっている。
ただ、船、と言ってもその形はおよそ不恰好な四角い塊で、
目一杯に積荷を載せたそれは、ゆっくりとすべるように空を進んでいた。
雲が途切れる。
船よりも遥かに巨大な立方体が組み重なった島が、
真っ青な空に音も無く浮かんでいた。




