9.スライムに会いました
「じゃあ、お願いねキュウちゃん」
私は倒した魔物を前日同盟を結んだ、吸血コウモリへと頼んだ。
名前は安直に鳴き声で決めた。
キュウちゃんは、よく見ると黒々としたまん丸のお目めで、小熊のような見た目で、とても可愛い。
それに、キュウちゃんも私に負けず劣らずの大食いで、私たちは中々いいコンビだ。
キュウちゃんに血抜きをしてもらった後、解体し美味しく頂いた。
私は、食べた後の、骨や皮など食べれなかった物を埋めるため、穴を掘っていた。
皮や角、骨など素材として、高く売れるのは知っているが、私が持って行けば絶対に問題になるだろう。偶然みつけましたは、通じないだろう。
そのため、食べれない部分は、穴を掘ってお墓がわりに埋めている。
もちろん、最後に感謝のお祈りは欠かせない。
今日も今日とて、キュウちゃんと満足した後、かなりの骨や皮などが出たため、シャベルを取り出した。
「ん?」
シャベルを土に突き刺した時、目の前に雨は降っていないのに、水たまりが見えた。
「あれ?、前にもあったような」
私は、デジャブを感じながら、シャベルを置いて、水たまりに近づいた。
水たまりに触れると、プルンッとした。
「ひゃっ!スライム?」
前見かけたスライムは、もっと立体的な形をしていが、べっちょっとしたスライムは、死んでいるのだろうか。全く動く気配がない。
私は、スライムを持ち上げ、一緒に穴に埋めようと持っていくと、今まで、動かなかったスライムが、ピョンっといきなり動き出した。
「わっ!」
今まで、ピクリとも動かなかったスライムが、いきなり動いたかと思うと、埋めようとしていた、魔物の上に落ちて、ビヨーーーンと広がった。
一気に包み込んだかと思うと、そこにあった魔物の骨や皮などは、跡形もなく消え去っていた。
「えぇーーーっ!」
どうやら、死んでいたと思っていた、お腹が空き過ぎて行き倒れていたようだ。
キュウちゃんの時も思ったが、どこか、シンパシーを感じる。
今まで、しょうがなく埋めていたが、最後まで食べてくれる人?モンスターがいるなら、その方がいいだろう。
「あなた、私たちの仲間になる?」
そう言うと、スライムは、ポヨンと跳ねながら、同意したように見えた。
「じゃあ、今からあなたの名前はポンちゃんね!」
ここに、一人と二匹の大食いトリオが結成された。