5-05、【魔素溜まりと希少種とダンジョン】
前話あらすじ
全員が一緒に行動するための準備と確認を行ってきた彰弘たちだが、昨日までで及第点といえる段階に達したと判断し、仕上げの意味でグラスウェルの東にある森林の中層と呼ばれる領域へと足を踏み入れたのであった。
グラスウェルへと戻った彰弘たちの姿は冒険者ギルドの北東支部の中にあった。
目的は倒した魔物の換金と情報を手に入れるためだ。
「あら? 今日はお早いですね。何かありましたか?」
いつもなら夕方に差し掛かる時間帯に来る彰弘たちが、まだ日が高い内に現れたことに冒険者ギルドの女職員が少々驚きの顔を見せる。
彰弘たちは今のパーティーとなってからこれまで、防壁の外に出たときは夕方あたりになってから手に入れた採取物や魔物の死体を換金してきたのだから、この職員の表情と言葉は別におかしいことはない。
「特別何かってわけじゃないが区切りが良かったのと、聞きたいことができたからな。とりあえず換金を頼む」
「聞きたいことですか。それは少々気になるところですが……まずは換金ですよね。いつもと同じですか?」
「ああ」
念のための確認を行った職員は自分の後ろ側へと声をかけ、魔物などを解体する場へ彰弘を案内するため、別の職員を呼ぶ。
「いつも通りだそうですので、よろしくお願いします」
「分かりました。……ではアキヒロさんこちらへ」
最初の会話が少々いつもとは違うが、それ以降は今までと同じ流れであるのだから彰弘も迷うようなことはない。
彼はパーティーメンバーに喫茶室で休んでいるように伝えると、案内の職員の後に続いて解体場へ向かうのであった。
解体場から案内の職員とともに戻った彰弘が見る前で、換金窓口に座る職員は渡された換金物品一覧を確認しつつ計算を行う。そしてそれを始めてから、そうは経たない内に顔を上げた。
「お待たせしました。全部で十六万とんで五百ゴルドとなります」
「確かに」
「それで、聞きたいことがあるということですが、どんなことでしょうか? 私でよければお答えしますが」
カウンターの上に置いた硬貨を確認しつつ彰弘がマジックバングルへ仕舞う光景は初見であれば驚くことだろうが、今彰弘と応対をしている職員は既に何度もそれを見てきている。だから「便利だなー」と思いつつも、別段驚きを見せることなく彼が解体場へ行く前に言っていたことについてを口に出した。
「この時間帯にしては珍しく混んでいるようだし頼む」
「お任せください」
他の窓口を一瞥した後で彰弘は目の前の職員に向き直ると、その職員は笑顔を見せた。
換金窓口にしろ依頼関係の窓口にしろ、そこにいる職員は最低限必要な情報を持っているのが冒険者ギルドという場所である。勿論、個々によって持っている情報の量に差はあるが、特別な情報ではない限り共有されているのが普通だ。
ちなみに通常このような質問などは総合案内カウンターを受け持つ職員が行うが、そこが何らかの対応をしている場合は、別窓口の職員が代理で行うことはままある。
「東の森林の定期的な魔物狩りが行われている範囲以外の最新情報が欲しい。今日オークリーダーと戦ったんだが、場所は深部までまだ数キロ程度ある位置だった。あの辺りでリーダー級と遭遇した経験はあまりなかったんで、最近はどうなのかと思ってね。勿論、遭遇することは皆無だったわけじゃないが、何となく気になったんだ」
「深部まで数キロというと、そんなに入ってはいませんね。それは確かに珍しいかも……」
彰弘の話を聞いて少しだけ考える素振りをした職員だったが、関係するかもしれない情報に思い当たり口を開く。
「あ、もしかしたらあれが関係しているかも。……アキヒロさんは魔素溜まりとダンジョンって聞いたことはありますか?」
「一応。詳しくは知らないが」
「まず魔素溜まりですが、その名どおり魔素が一か所に留まり続けてしまい普通ではなくなった場所のことを言います。そしてこの魔素溜まりが発生すると、魔物を含む周囲の動植物に何らかの影響を及ぼします。また場合によってはそれだけではなく、ダンジョン化する可能性もあります。なお、魔素溜まりの影響は人種である私たちにもありますが、その近くで長期間生活をするでもなければ害とはなりません、といったところです。そうそう魔素溜まりの発生は予測不可能で、なくなるときも突然らしいですよ。ちなみにダンジョン化した場合は周囲の変化はなくなるそうです。もっとも、既に変化してしまったものは元には戻らないらしいですけど」
「なるほど」
「で、ダンジョンですが、階層型とそうでないものの二つに分けられます。前者は一層二層といった感じで、後者はそうですね……深遠の樹海みたいな感じです。どちらも共通していることは、広ければ広いほど奥にいる敵が強いというところでしょうか。後、早く攻略した方がいいって聞いた気もします」
彰弘の顔を見てから職員が言葉を続ける。
「まあ、説明は以上としまして、何が言いたかったのかというと、東の森林の深部に魔素溜まりができた影響で希少種が通常よりも多く発生したため、オークリーダーなどは押し出されて移動してきた可能性があります、ということです。ちなみに既にダンジョンができていますが、中の方はまだ調査できていないので、よく分かりません」
職員の話を聞いた彰弘は考え込む。
希少種というのは通常種よりも倒した際に吸収できる魔素の量が多い。なので強くなることが目的であれば積極的に倒すべきではある。しかし、それはその分強いというわけであり、迂闊に戦えば取り返しのつかない損害を被る可能性があった。
「まいったな。ダンジョンはともかく希少種か。今の俺やウェスターなら何とかなりそうだが、今のパーティーを考えると迂闊には奥へ進めないか」
「えーっと、東の森林ですと……単体ではグリズリー系が最も危険度が高いですね。次点はオークの集団とフォレストウルフの大集団ですか。過去の事例を見ますと」
「やっぱ、奥は危険だよな」
「危険ですね。一応、今のところ希少種で確認されているのは普通のランクDパーティーなら対処可能な魔物ばかりですけど」
「さて、どうしたものか」
「……あ、でも考え方によっては通常種が本当に奥から押し出されてきているなら、それはそれでアキヒロさんたちにとっては都合が良いのではありませんか?」
「そういう考え方もできるか」
東の森林の深部まで行かなくても、その手前で深部と同じ程度の魔物と戦えるとなれば時間の節約という意味で確かに都合が良いかもしれない。
ただ問題なのは必ずしもそうなるとばかり言えないことだ。場合によっては希少種が通常種を引き連れてくるかもしれないのだから、やはり迂闊な行動はできない。
「はてさて、本当にどうしたものかな」
職員との会話が一区切りした彰弘はその場で腕を組んで考え込む。
それから少々。立ったまま悩んでいる彰弘へと声がかけられた。
「なんとも都合の良いことですね。アキヒロ殿、すみませんが上の会議室まで来てもらえませんか」
彰弘の顔が声の発生元へと向く。
そこには腰が低そうな中肉中背の五十代に見える男が立っていた。冒険者ギルド北東支部の支部長、トレアスである。
「ジェールたちはもう一度会議室へ戻ってください? できることはやってしまいたいので」
「簡単にはいかないと思うけど……ま、分かった。それはそれとしてアキヒロさん、やっほー」
トレアスと一緒に降りてきていたのはジェールたち潜む気配の三人であった。
その彼らは彰弘に手を振って挨拶をした後、降りかけていた階段をまた上り始める。
「話というのは私だけですか? それともパーティーに?」
ジェールたちを見送った後、彰弘は近づいてきたトレアスに問いかけた。
個人名しか出されなかったのだが、念のための確認である。
「あなた。それと「勿論、パーティー全員ですよね」……」
そしてそれにトレアスが答えている言葉の途中で、その言葉を塗り潰すように一つの声が重ねられた。
思わず息を呑むトレアスが目にしたのは、喫茶室での談笑を切り上げて彰弘とトレアスのところへ向かってくる、凄みのある笑みを浮かべた紫苑を先頭にした十三人の男女の姿である。
「いや、アキヒロ殿と「わたしたちもだよね」……」
全員が足を止めたところで、トレアスが再び口を開くも今度は別の声に遮られた。
今度は六花であり、こちらも笑みの表情だが目が笑っていない。
あまり行儀の良い行いではないが、折角一緒に行動できるようになるのに、また暫く離れなければならない可能性があると察知した故の行動であった。
「支部長、どういう考えだったのか分かりませんが諦めたらどうですか? リッカちゃんやシオンちゃんたちが、どれだけ今の状態を心待ちにしていたか知らないわけではないでしょう?」
彰弘の応対をしていた職員からの言葉を受けたトレアスはため息を一つ吐く、そして結局全員を会議室に通すことにした。
グラスウェル魔法学園に在席していた六花たちは最低でも十日に一日は、この北東支部に顔を出していたのだ。そして何かと目立つ存在であり、特に隠しもしていなかった彼女らのことであるから、トレアスも彼女らがどのような気持ちを持っていたのかをある程度把握していた。
勿論、聞かせることができないような機密事項であるならば誰に何を言われようとも簡単にトレアスも頷くことはなかっただろうが、彰弘とウェスターに――ウェスターの名を声には出せなかったが――話したかった内容は別に機密というほどのものではない。ただ単に二人以外のパーティーメンバーがいると、その後のあれこれが上手くいかないのではないかと考えていたのである。
ともかく、この場は収まった。
若干困ったような顔でトレアスが階段を昇っていく。
彰弘は苦笑を浮かべながら、その場にいた職員や他の冒険者に謝罪の意味を込めた会釈をしてトレアスの後を追う。
当然、六花や紫苑たち十三人も離れず階段を上がって行くのであった。
二階にある会議室に入った彰弘たちは、先にいたジェールたち三人に挨拶した後、思い思いの席に腰を下ろした。
それを見て、トレアスが口を開く。
「最初に伝えておきますが、私は別にあなたたちを離そうとは思っていません。そこは理解してください」
六花たちが彰弘とのことで具体的に何かを起こしたのは、世界融合当初の総合管理庁で彰弘とだけ話をしようとしたレイルに対しての威嚇と、その後の会議室で魔法の実力を見せたくらいで、それ以外にはない。
しかし噂というのは、どこからでも漏れるものだし尾ひれが付くものでもある。加えて言うならば六花たちの実力や交友関係が普通ではないのだから、トレアスが開口一番にこんなことを言うのも分からないではなかった。
「それで、どのような話でしょうか?」
自分の言葉への反応を見ていて中々本題に入らないトレアスに、苦笑を復活させた彰弘が問いかける。
するとトレアスははっとしたような表情をした後で話し出した。
「東の森林の深部にダンジョンができました。そのため、ここにいる潜む気配の三人と一緒にアキヒロ殿とウェスター殿は、そこ攻略してもらいと考えています、という話をしたかったのです」
「個人への指名依頼ですか」
「そうなります」
珍しい、というかまずない形であった。
パーティーを組んでいる者たちの中の一人にだけ指名依頼が出され、またそれを受けたとなると、その指名され受けた者と残りのパーティーメンバーとの間に亀裂が入る可能性がある。亀裂だけならまだ修復の可能性はあるが、別のパーティーと一緒に依頼となれば、下手をすると指名された者は二度とそのパーティーに戻れなくなるなどのいろいろな影響が出て、最終的には冒険者ギルドが批判されることになりかねない。
指名依頼を受けた者以外にはその依頼を遂行する実力がないと、依頼を出した側も受けた側も言っているのと同義なのだから当然の結果といえよう。
だから普通は冒険者ギルドもそのような指名依頼は出さないし、例え貴族からの依頼であっても受理しない。また冒険者側も仮に指名依頼があったとしても、それを受けることはまずなかった。
なお、彰弘の場合、実力のことでパーティーに亀裂が入るようなことはないのだが、それとは別の問題が挙がってくる。彼への精神的な依存解消などの目的もありグラスウェル魔法学園に通っていた六花たちは、それを克服しているが一緒にいたいという想いは欠片も損なわれていない。そのため、自分たちの意思により一時的に離れることには我慢できるのだが、余所の何かにより離れさせられることについては強烈に反発するのだ。そしてその反発する先は当然余所の何かへ向かうこととなり、彼女たちの実力と交友関係故に周囲に小さくない影響を及ぼす確率が高い。
ちなみにウェスターの場合は、アカリが六花たちほど苛烈ではないこともあり、多少の期間離れて行動したとしても、彼が無事でいれば特に問題はない。
「それだけ実力を買ってくれているってことなんでしょうが、仮に指名依頼が出されたとしても、今は受けるつもりはありませんよ」
「そもそも何故私たちなのかが分かりません。普通に潜む気配の方々と他のランクC以上のパーティーとで組ませれば良いだけの話ではないですか? それにダンジョンのことは正直よく分かりませんが、そこまで急がなければならないのですか? そこが分からない限り、私も受けるつもりはありません」
ジェールが階段上で予想したように、彰弘の答えはトレアスにとっては厳しいものであった。
六花たちのことを考えると、今の状況で彼女たちから離れて行動するのは良くない結果を招きそうだと思ったのである。
ウェスターの場合は彰弘とは状況が違うために、明確な理由さえあれば受けても良いと考えたが、現段階で受けようとは思っていなかった。
「昨年の大討伐の影響により、今深遠の樹海の浅い部分はそれまでとは比べ物にならないくらい素材の入手が容易になっていて、官民ともに注力しています。それに伴いランクD以上の冒険者や、また多くの兵士がそちらに割かれているのです。勿論、全てが深遠の樹海に行っているわけではありません。通常なら問題ない程度はグラスウェルに残ってはいます。しかしダンジョンを攻略するには些か実力が足りないであろう、そういうわけです」
深遠の樹海に多くの冒険者や兵士を向かわせていることが今回の話の要因であるが、一概に冒険者ギルドや総合管理庁などの対応を責めることはできない。魔素溜まりの発生は大討伐と同様に、いやそれよりも低い確率でしか発生しないからだ。
今回の件は運が悪かったといえるかもしれない。
一息付いたトレアスは続きを待つ彰弘たちを見て話を続ける。
「急ぐ理由は過去の事例に鑑みてできるだけ早く誰かを送り込まねば攻略が容易ではなくなる可能性があるからです。魔素溜まりからできるダンジョンは、発生から一日で縦横百メートルほど広さを持つ空間を生成すると記録にはあります。そしてもし階層型なら二日目には一日目と同じ広さの二層目ができ、一層目はひと回り広くなる。もし階層型でない場合は、階層こそ増えはしませんが一日ごと五割ずつ広さが拡張していくとありました。幸いなのは魔素溜まりから生まれたダンジョンは、ダンジョンが生成したもの以外が侵入している間は拡張を鈍らせるらしいことです。また今回の魔素溜まりがそれほど大きくなかったことで、何をしなくても辛うじて常識的な範囲で拡張が終わるだろうということです。ただ、それでも最後まで何もせずにいると攻略にはランクA相当の実力者を複数向かわせる必要が出てくるかもしれません。だからこそ可能な限り早くダンジョンに実力を持った人たちを送り込みたいのです」
「ところで、ダンジョンが広がりきった後、放置しておくとどうなるんです? 今の話を聞く限りでは広がりきろうが攻略してなかろうが問題なく思えますが」
彰弘の至極当然の疑問に自分が必要な情報を話していなかったことにハッとしたトレアスだったが、その彼が答えようとする前に別の者が口を開いた。
「何もしないとダンジョン内の魔物が外に出てくるはずです、アキヒロ様。一年や二年でそうなるわけではないようですが、数十年単位で放置していると溢れ出てくるとトラスター様の著書に書かれていました」
「そうだね。クリスティーヌ様の言うとおりだよ。といっても、ボクも文献でしか知らないんだけど。だから早くに攻略してしまう方が良いんだ。攻略しちゃえばダンジョン内の魔物は少し弱体化するし、星の記憶産のあれこれの品質も落ちるようだけど、魔物が溢れ出てくることはないらしいからね」
日数が経てば経つほど攻略が難しくなり危険度が上がっていくダンジョン放置することはできないが、下手にここで依頼を受けることを了承して六花たちと一時的に分かれた場合、彼女らが何もしないで待っているとは思えない彰弘は無言で悩む。
そんな彰弘を見ていたジェールは一つの提案を思い浮かべ口に出した。
「焦りすぎて必要なことを言い忘れた支部長さんがアキヒロさんとウェスターさんを選んだのは、二人なら希少種だらけのダンジョンでも通用すると思ったからだよね?」
「焦っていたのも必要なことを言い忘れていたのも事実ですが、改めて言われると凹みますね。……まあ、ジェールの言うとおりです」
「そこで一つ提案なんだけど、アキヒロさんのパーティー全員とボクたちに、後もう一つくらいパーティーを加えて行くのはどうだろう? 氷姫ことカスミちゃんたち四人は魔法使いとしたら、そこらのランクDじゃ太刀打ちできないほどの力がある。それ以外のクリスティーヌ様たちの魔法もボクは訓練場でしか見たことないけど、ランクDに近いものがあった。アカリちゃんの弓も、そっちの侍女さんの動きも悪くない。やることを限定させれば、より安全に確実にダンジョンを攻略できると思うよ。あ、追加の一パーティーは主に魔法使う際の護衛で。昨日逃げ帰ってきた彼らの話じゃダンジョンの中にいたのは東の森林にいた魔物の希少種だけだってことだし一考の余地はあるんじゃないかな」
「なるほど。魔法で倒せなかった魔物を俺らが屠ればいいわけだ。背後はガルドに任せればいいから、護衛の数は人数分いらない、と」
「そうそう。どう、支部長さん?」
彰弘としては妥協できる話である。
無論、危険であるためにできるなら六花たちと一緒に行くのは避けたいところであったが。
「……仕方ないですね。今はそれが最善かもしれません。護衛役はこちらで声をかけます。兵士に頼むというのも手ですが、あちらはあちらで準備しているでしょうから、やはりここは冒険者にしましょうか。……明日朝には依頼を用意しておきますので、第二の鐘がなるころに、ここ北東支部まできてください。ああ、北支部への連携はしておきますので、そこは気にしないでください」
六花たちの力量というよりは、その年齢や冒険者としての経験を考えて彰弘とウェスターだけに話を持ちかけたトレアスだったが、結局は首を縦に振る。
他に手がなかったこともあるが、断罪の黒き刃に所属する彰弘とウェスター以外のパーティーメンバーの顔に笑みが浮かんでいたことも提案を受け入れることにした理由の一つでもあった。
勿論、彼が罪悪感を覚えなかったわけではない。だが現状での最善手は間違いなくジェールが提案したそれであったのだ。
「分かりました。それはそれとして、いくつか確認したいことがあります。良いですか?」
「ええ、勿論」
とりあえず方針のようなものが決まったことで依頼内容の詳細やダンジョンの攻略など諸々のことを彰弘やウェスターは確認していく。
この中には予想以上にダンジョン内の敵が強かったり特殊な構造をしていたりで、六花たちを連れて行くのが危険すぎる場合は彼女たちをグラスウェルへ戻すという内容も含まれていた。
六花たちにしても無理に付いて行き自分たちのみならず彰弘たちをも危険に晒す行為は本位ではない。そのため、このことを彼女たちは特に異論なく受け入れていた。
無論、支部長もそしてジェールたちも了承済である。
そんなこんなで結構な時間を費やし彰弘たちの確認が終わり、支部長がこの場の終了を合図した。
「さて、そうと決まったならできることをやろうか。とりあえずメアルリア神殿に行って何人か手伝ってくれないか頼んでみよう。後は魔石を確保して……今日は休むか」
「そういえば、アキヒロさんにはそんな伝手もあるんだねー」
「手伝ってくれるかどうかは分からないけどな。声をかけてみるだけだから、そう手間じゃない」
彰弘に次いで他の者も立ち上がる。
そして全員が全員、極端な強張りなど見せずに会議室を後にした。
一人会議室に残されたトレアスはそんな彼らを見て、少しだけ笑みを浮かべ無事に終わることを願ったのである。
お読みいただき、ありがとうございます。
ねむい
二〇一八年 六月十七日 〇〇時四十分 修正と追記
修正:人名:
誤)ジュール
正)ジェール
追記
依頼に関しての確認を行ったことを下部の方に追記
勿論、彼が罪悪感を覚えなかったわけではない。だが現状での最善手は間違いなくジェールが提案したそれであったのだ。
↓追記はじまり
「分かりました。それはそれとして、いくつか確認したいことがあります。良いですか?」
「ええ、勿論」
とりあえず方針のようなものが決まったことで依頼内容の詳細やダンジョンの攻略など諸々のことを彰弘やウェスターは確認していく。
この中には予想以上にダンジョン内の敵が強かったり特殊な構造をしていたりで、六花たちを連れて行くのが危険すぎる場合は彼女たちをグラスウェルへ戻すという内容も含まれていた。
六花たちにしても無理に付いて行き自分たちのみならず彰弘たちをも危険に晒す行為は本位ではない。そのため、このことを彼女たちは特に異論なく受け入れていた。
無論、支部長もそしてジェールたちも了承済である。
そんなこんなで結構な時間を費やし彰弘たちの確認が終わり、支部長がこの場の終了を合図した。
↑追記終わり
「さて、そうと決まったならできることをやろうか。とりあえずメアルリア神殿に行って何人か手伝ってくれないか頼んでみよう。後は魔石を確保して……今日は休むか」
「そういえば、アキヒロさんにはそんな伝手もあるんだねー」
「手伝ってくれるかどうかは分からないけどな。声をかけてみるだけだから、そう手間じゃない」
彰弘に次いで他の者も立ち上がる。
そして全員が全員、極端な強張りなど見せずに会議室を後にした。
一人会議室に残されたトレアスはそんな彼らを見て、少しだけ笑みを浮かべ無事に終わることを願ったのである。