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融合した世界  作者: 安藤ふじやす
4.それぞれの三年間
141/265

4-52.

 前話あらすじ

 森林の中を駆ける彰弘たちは魔物の血を嗅ぎ取り、そこからより警戒しつつ歩きで森林の中を進む。

 一方、ゴーレムと対峙していたリーベンシャータたちは魔石と血に狂った魔物と大型ゴーレムの戦いを静観し、彰弘たちが到着するのを待つことにするのであった。






 やはり、いつまでも見学とはいかなかったようだ。

 大型ゴーレムを含む魔物たちの乱戦に巻き込まれずに済んだことで、身体を休めることができていたリーベンシャータたち五人であったが、ついにその存在を相手に認識されてしまった。

「……当然、こいつが残るか」

 返り血に塗れた体躯をゆっくりと動かし、血走った目をリーベンシャータたちに向けたのはシルバーグリズリーだ。

 このシルバーグリズリーは邪神の眷属であるポルヌアが造り出した大型ゴーレムには及ばないものの十分に大型といえる魔物であった。あらゆる部分の筋肉が発達したその体高は三メートルを超え、そこから繰り出される一撃は四肢の先にある鋭く強固な爪のこともあり、並み程度の金属鎧なら容易く切り裂く。対象が岩であった場合は勿論粉々である。防御力についても相当なもので、硬い毛に覆われた強靭な皮膚により、出来が良い武器程度では掠り傷を負わせるのが関の山だ。

「希少種らしきなのが、ゴーレムと戦ってるのが救いと言えば救いかな。できれば、向こうの決着が付く前に、こっちを片付けたいけど……無理だよね」

 集まってきた魔物の種類と数から、自分たちに目を向けたシルバーグリズリーのことを当然と口にしたリーベンシャータの横で、ジェールが大型ゴーレムとの殴り合いを演じている一体の魔物を見据える。

 一時は百を優に超える魔物がいたこの場であるが、現在生きて動いている魔物は二体だけであった。その内の一体は先ほどまで事態を静観していたリーベンシャータたちに血走った目を向けるシルバーグリズリーで、もう一体は大型ゴーレムと戦っているシルバーグリズリーの希少種と思われる個体である。

 ちなみに希少種というのは、突然変異により生まれる特殊個体のことで、これらは大抵の場合において元の種よりも強力であることが多い。

 ともかく、今現在生きてこの場に存在するのは、リーベンシャータたち人種(ひとしゅ)の五人。邪神の眷属でああるポルヌアが造り出した大型ゴーレムが一体。そして魔物であるシルバーグリズリーが二体だけであった。

「口惜しいが無理だ。もうすぐサティリアーヌが来る。後少し時間がかせげれば十分だ」

 今の自分たちではシルバーグリズリーの防御を貫けないと考えているリーベンシャータは、この場での願望を口にするジェールに顔を向けずに言葉を返す。

 冒険者のランクCであるジェールだが、彼は罠師であり戦士などに比べると攻撃力は格段に落ちる。当然、同じ罠師であるフーリやウィークにもその力はない。

 一方、メアルリア教の二人にしても同じだ。力を奪われる前のリーベンシャータであれば可能であったが、今はジェールたちよりは多少上程度の力しかない。スティックについても似たようなものであった。

「了解。言ってみただけだよ。自分の力は分かってる」

 リーベンシャータの言葉にジェールが応え、フーリとウィークが頷く。

 スティックも理解しているので、「はい」と短く声を出した。

 この後、リーベンシャータたちは自分たちを敵と認識したシルバーグリズリーとの戦闘を開始したのである。









 シルバーグリズリーと戦う五人にとって、その攻撃は決して速過ぎるものではない。ただし、まともに喰らえば即死で、僅かに当たっただけでも致命傷になりかねないものであるだけに、その攻撃をいなし回避する行為は肉体的によりも精神的に多くの疲労を蓄積するものであった。

「これは、想像……以上に、きっつい、ねっ! っと」

 剣身が半分となった大剣でリーベンシャータがいなした豪腕が振り戻され、ジェールに襲い掛かる。それを危なげなく回避したジェールではあるが、通り過ぎた腕により発せられた風圧に冷や汗を垂らした。

「確かにここまで厳しいのは久方ぶりだ……が、どうやら来たようだ」

 シルバーグリズリーから目を離さずに応えるリーベンシャータの言葉に、ジェールは一瞬の疑問を浮かべるが、次の瞬間には理解を示す。

 ジェールの視界の左端を赤黒い光を放つ長剣を持つ男が駆け抜け、逆の右側を人の頭ほどの鉄球ようなものが付いた長柄の得物を持った女が走り抜ける。そしてその二人はシルバーグリズリーの両前足を攻撃射程に捉えるや否や、左右それぞれで自らが持つ武器を一切の躊躇いなく振り切った。

「グルォォォォオオオオオッ!」

 血と魔石により狂っていたためか、それともリーベンシャータたちに集中し過ぎていたのか、シルバーグリズリーは攻撃を受けた瞬間ではなく一拍の時間を置いて、後ろ足で立ち上がり怒りの叫び声を上げた。そしてそのままに攻撃者を屠ろうと行動しかけ、そこでようやく自らの両前足が使い物にならなくなっていることに気付く。

 シルバーグリズリーの右前足は辛うじて筋繊維で繋がっているが骨まで断ち切られていた。その場所は肩から少し下の位置であり、この場でそこから先を使うことはできない状態だ。一方の左前足は切れてはいないが、右と同じような位置を打撃で潰されているために、こちらもすぐに使える状態ではなくなっている。

「状況を!」

 シルバーグリズリーに攻撃を仕掛けた男女は結果を見ることをせずに、リーベンシャータたちがいる場所まで後退すると、女の方が声を上げた。

 この男女は彰弘とサティリアーヌである。

 なお、二人と一緒にこの場へと向かっていた残る四人と一体は、リーベンシャータとジェールの少し後方で戦いの援護をしていた三人の側に止まっていた。

「ゴーレムは邪神の眷属が造り出したやつで、魔物は魔石を回収できずにいた結果だ」

 謝罪や経緯などの詳しいことを今は説明する必要はない。最低限必要と思われることだけをリーベンシャータは口にする。

 それを聞いたサティリアーヌも必要なことだけを確認するために口を開く。

「ゴーレムの強さは?」

「元の私の半分といったところだろう」

 そうやって二つ三つ、この状況に必要なことをサティリアーヌが質問し、リーベンシャータが答えていく。

 そしてそれが終わるとサティリアーヌは警戒を周囲に任せ黙考し、それほど経たずに声を出す。

「アキヒロさん。私たちはゴーレムと、それからそいつと戦ってるシルバーグリズリーの希少種らしきものを倒しましょ」

 こちら側のことなど全く気にならないかのように、大型ゴーレムとシルバーグリズリーの希少種は未だに決着が付かない殴り合いを続けている。

 両者の実力は拮抗しているらしく、双方がそれなりに損傷し怪我を負っていた。

「リーベンシャータ大司教は、みんなとこっちのやつをやっつけてちょうだい。あれだけの出血だから長くはないと思うけど、早めに仕留める方が安心だし」

 叫び声を上げることをやめ警戒の目で睨みつけてくるシルバーグリズリーをサティリアーヌは指差す。

「分かった、と言いたいところだが。実のところ私は限界に近い。ジェールたちも厳しいだろうし、スティックも難しいだろう」

 途中休むことができたとはいえ、リーベンシャータは体力も魔力も文字通り限界であった。それらにはまだ多少の余裕があるジェールたち潜む気配ではシルバーグリズリーにまともに攻撃が通らない。スティックにしても近接戦闘は苦手な部類であった。

「それなら……アキラ隊長。これを」

 横で話を聞いていた彰弘が腰から吊るしていた血喰い(ブラッディイート)ではない、もう一振りの長剣を鞘ごと手に取り差し出すように持ち上げた。

 それは魔鋼の一種である白魔鋼(びゃくまこう)で造られた魔剣である。先ほど攻撃した感触から、この魔剣をアキラが使えば十分に攻撃を通すことができると彰弘は判断したのだ。

 なお、剣を使うといえばバラサもそうなのではあるが、実力はアキラの方が上であるために今回は彼に武器を貸すことが上策と考えたのであった。

「ショウヤはここでミレイヌさんの護衛を」

 指示に頷くショウヤを見た後でアキラは彰弘へと近寄り、一言「お借りします」と口にして魔剣を受け取る。それから即座に剣身を引き抜き、魔剣へと自らの魔力を流し込んだ。

「バラサもそこで周囲の警戒を。ミレイヌは俺とサティーが動いたら最大威力の魔法を手前のシルバーグリズリーへと叩き込め」

「ちょっと、このままやれというの!?」

「魔力枯渇で意識をなくしてもガルドの上なら逃げることもできるから、そのままだ」

 その返しを受け更に彰弘へ意見しようとしたミレイヌだったが、相手の言葉に余裕がないことに気付き、開きかけた口を閉じる。

 シルバーグリズリーも、そしてその希少種も、更に大型のゴーレムが油断のならない相手という証であった。

 ミレイヌが態度を一転させて魔法を使うための集中に入る。

 それを見てガルドに念話で改めてミレイヌのことを頼んだ後、彰弘は三体の敵へと目を向けた。

「手前のが魔法で倒れなかったらボクたちが後ろ足を攻撃でもして何とかしよう」

 ジェールが役割を口にすると、それまで一歩引いた位置に立っていたフーリとウィークが彼の横に並んだ。

 続いてスティックもリーベンシャータの隣へと進み出る。

「さあ、アキヒロさん行きましょうか。私たちは手前のシルバーグリズリーの横を抜けて、まず希少種をやりましょ。私が希少種を仰向けに倒すから、アキヒロさんは首を刎ねてちょうだい」

「難題だが……分かった。その後は?」

「希少種の結果を見る余裕はなさそうだから、私はすぐ大型ゴーレムに向かうわ。アキヒロさんが来るまでには胸部を攻撃できるようにしておく」

「全く方法は分からんが、了解した」

 ポルヌアの造り出した小型ゴーレムは全て、その胸部に力の源となるリーベンシャータから奪った力の結晶が埋め込まれていたことを、先のやり取りでサティリアーヌはリーベンシャータから聞いていた。

 大型ゴーレムの核がその場所にあるとは限らないが、同じ創造主から造られたゴーレムだけに大きさや強さは変わったとしても構造自体は同じであろうと予測したのである。

 勿論、構造が違う可能性はあった。その場合は核に拘らず、相手が動けなくなるまで破壊するだけである。

「サティー、タイミングは任せる」

「ええ」

 手前のシルバーグリズリーは自分の両前足を破壊した二人を警戒してか、未だ襲い掛かってくる気配がない。

 なのでサティリアーヌは、その向こうで殴りあう二体を注視する。二体の立つ位置を慎重に見定めているのだ。

 少しの間、殴り合う音と荒く激しい呼吸音だけが森林の中に流れる。

 そして好機がやってきた。

 シルバーグリズリーの希少種が完全に背中を見せ大型ゴーレムを殴る。それに対抗する大型ゴーレムが殴り返そうと腕を引いた。

「今っ!」

 サティリアーヌが鋭く声を上げ全力で動き出し、その後をわざと一拍を置いた彰弘が駆け出した。









 彰弘とサティリアーヌが動き、両前足を損傷したシルバーグリズリーを相手にする残りの者も行動を開始した。

 口火を切ったのはミレイヌである。

 ミレイヌは彰弘の言葉を真に受け止め、枯渇限界まで魔力を込めた魔法を放つ。それは彼女が好んで使用する火属性の魔法ではなく、大気を糧に現象を起こす風属性の魔法であった。

 手元で高密度に圧縮生成された大気の塊は、ミレイヌが伸ばした魔力の道に従いシルバーグリズリーの頭上へと向かう。

 そしてその圧縮大気が目的の位置へと到達するとミレイヌが叫んだ。

「跪きなさい! 『アトモスフィアバースト』!」

 言葉とともに急降下した圧縮大気は、その真下にあるシルバーグリズリーの頭に触れ破裂した。

 ミレイヌの今の実力では、シルバーグリズリーに外傷を負わせるほどの威力を出せるわけではないが、ある程度の衝撃を与えることはできる。事実、その魔法を受けた相手は衝撃で頭を揺らされ平衡感覚を幾分散らされた。

 ここで攻撃が終わっていればシルバーグリズリーは倒れることはなかっただろう。だが、魔法の影響が残っている内にジェールたち潜む気配の三人が左後ろ足に、メアルリア教のリーベンシャータとスティックが右後ろ足に攻撃を仕掛けた。

 頭を揺らされた上に両方の後ろ足に攻撃を受けたシルバーグリズリーは堪らず膝を折る。そしてそこにリーベンシャータが追い討ちをかけ、うつ伏せへと倒れこませた。

 ここまで進んだらシルバーグリズリーに助かる術はない。

 彰弘から借り受けた魔剣に可能な限りの魔力を注ぎ込んだアキラが、跳躍一つで倒れこんだ背中に飛び乗り、即座に首後ろから延髄目掛けて剣身を突き刺す。

 その一撃は致命傷であった。シルバーグリズリーは数度の痙攣の後、身体から生命をなくしたことを示す魔石生成の前段階となる靄のようなものを放出し始めたのである。









 両前足を損傷したシルバーグリズリーがうつ伏せに倒れ込んだのと同じ時、希少種であるシルバーグリズリーは仰向けに倒れる最中であった。

 大型ゴーレムに殴られ、力の方向が後ろに向かうと同時にサティリアーヌが身体を支える後ろ足の片方を払うようにロングメイスで激しく叩いた結果である。

 勿論、ただ倒して終わりではない。

 倒す要因の一つであったサティリアーヌは前言の通り、既にその場を離れているが、少しだけ遅れてその場に到着した彰弘がいた。

 天を掴むかのように両前足を空へと向けた状態で倒れこんでくるシルバーグリズリーの希少種の首に狙いを定めた彰弘は、おぞましさすら感じるような赤黒い光を放つ血喰い(ブラッディイート)を相手が倒れ切る前に振るう。

 その攻撃は見事相手の首を骨ごと斬り裂いていた。

 相手が十メートルを超える大型ゴーレムと殴り合いをできるだけの巨体なだけあって首を刎ねるまではいかなかったが、それ以上の攻撃は無意味となるだけの損傷を与えたのである。

 彰弘は動かなくなり靄を出すシルバーグリズリーの希少種を一瞥すると、マジックバングルから魔石を取り出し魔力を回復させた。枯渇まではいかずとも半分以上もの魔力を使ってしまったためだ。

 そうして魔力を回復させた彰弘は、今度は大型ゴーレムとサティリアーヌへと目を向け、思わず目を見開き動きをとめた。

 先ほどまでは壁か何かのようだった大型ゴーレムが今は一階建ての建物程度の高さになっていたからだ。

 そんな何がどうしてそうなったのかが理解できずに動きを止めてしまっていた彰弘にサティリアーヌの声が届いた。

「アキヒロさん。早くっ!」

 理由はともあれ、今が絶好の機会であることは間違いない。

 大型ゴーレムは両腕ごと地面に埋まっており、身動きできなくなっていたからだ。

 しかしそれは長くは続かないであろうことが彰弘には分かった。

 武器であるロングメイスを放り出し、地面に両手を着いているサティリアーヌの顔が非常に険しいものであったからだ。

 視るとサティリアーヌの両手から地中へと多量の魔力が流れ込んでいた。それはつまり彼女が魔法か何かで大型ゴーレムを大地に埋め固定しているに他ならない。

 彰弘は血喰い(ブラッディイート)に先ほどよりも多くの魔力を注ぎ込み駆け出した。

 そして大型ゴーレムの正面に立ち全力で刃を振るう。

「くそっ、硬ぇー、なっ!」

 血喰い(ブラッディイート)を全力で振るえるだけの魔力を残した以外は全て注ぎ込んだというのに、大型ゴーレムの身体を斬り裂くことが出来ない。リーベンシャータの奪われた力による核の影響で、ありふれた石であっても精錬強化された魔鋼以上強度を持つに至っていたのである。

 だが、彰弘の一撃は目標まで後少しのところまで食い込んでいた。

 一度剣身を大型ゴーレムの身体から引き抜いた彰弘は、即座に魔石をマジックバングルから取り出し魔力を回復させる。

 そして再び血喰い(ブラッディイート)に魔力を注ぎこみ、先ほど傷つけた箇所へと剣身を振り下ろした。

 寸分違わず振り下ろされた剣身は、先ほどの切れ目に沿い大型ゴーレムの身体に食い込む。

 果たして、その先には力の源となる核があった。

「届いたぞ!」

 切っ先に感じたそれまでとは違う感触に、彰弘は振り下ろしていた血喰い(ブラッディイート)を止め、刺突の形へと移行し気合の言葉とともに剣身を押し込んだ。

「あ、これやばっ。アキヒロさん退避退避ーっ! 後ろのみんなも伏せてー!」

 大型ゴーレムの核を突き刺すことに成功した彰弘の耳に、サティリアーヌからの危機を知らせる声が響く。

 彰弘は何かを確認する前に血喰い(ブラッディイート)を大型ゴーレムから引き抜き、全力で後方へと駆け戻る。

 サティリアーヌは自分が逃げれるだけの魔力を残し、それ以外を大地に送り大型ゴーレムの地上に露出していた部分を含めてできるだけ地下へと沈めてから、そこから離脱した。

 それから数秒後。

 この世界では自然現象にはない地震というものが狭い範囲ながら起こる。

 大型ゴーレムの核となっていたものはリーベンシャータから奪われた力を圧縮して結晶としたものであった。それが彰弘の攻撃により傷付けられ結晶としての形を保っていられずに暴走した結果であった。









 地面の揺れが収まり立ち上がった彰弘は思わず息を吐き出した。

 地震と呼べる現象を起こすほどの威力を持つものが地上で起こったとしたらどうなっていたか。近くにいたら最良でも大怪我で、最悪即死もありえた。

 そんなことを考えつつ彰弘は周囲を見回す。

 随分と地下深くまで大型ゴーレムを沈めたのだろう、周りの景色に大きな変化は見えない。

 だが人については三者三様であった。

 まず今回の最大の功労者であろうサティリアーヌは疲労困憊のようで、未だにで地面に突っ伏したまま「このまま寝たいー」などと気の抜ける言葉をぶつぶつと、そのままの体勢で呟いている。

 そのサティリアーヌ以外の元リルヴァーナ人たちは、初めての現象に遭遇したためだろうか、驚きを顔に表し辺りを見回していた。

 そして一方の元地球人たちは不謹慎かもしれないと思いつつ、どこか懐かしむような顔である。この世界には自然による地震という現象が起きることはないからだ。

 ともかく、一応ではあるが危機的状況は脱した。

 彰弘はそのことに再度息を吐き出し、ようやく肩の力を抜いたのである。

お読みいただき、ありがとうございます。



ねた

魔法であっても爆発は、それを意図しなければ起こりません。

今回のミレイヌの魔法も彼女が相手の頭周辺に、そうなるように魔力の線を張り巡らせていたから起こったことです。


ねた2

結晶の暴走で地震のようなものが起きたのは、作中世界の理とは違う世界の理を持つ邪神の眷属が作った結晶だからです。

仮に作中世界の者が同じような結晶を作れたとしても、ただ魔力が盛大に拡散するだけで終わります。

サティリアーヌが気が付いたのは邪神とその眷属の世界についての知識を神託により伝えられていたからです。

ちなみに、ある一定以上の権限のある神官などにも同じ知識は伝えられています。

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