1月9日(日) エメラーダ
言いたいことはいっぱいある。
まず、あのシャンデリアが壊れたのは、半分くらいお前の責任だ。お前がミス・ブルーレディの部屋へ行っていなかったら、俺が一人であのヴァンピール達へ対応する必要もなかったわけだし。というか、最後の一人の頭にアイアンクローをかけて外へ投げつけたのは俺じゃない。ドアのガラスを割ったのはお前だ。
俺はあんな妖婦のどこが魅力的なのか、ちっとも分からない。確かにミス・ブルーレディって、見た目は若く見える、美人だ。でも俺達の5倍くらい生きてる魔女なんだし。何だかおっかない。うっかりしたらカエルにされそうな気がする。
お前は女性のあしらいが上手で、勃起するのが趣味みたいなものだから、好きにすればいいと思う。でも責任逃れは許さない。別にクロックへチクったりはしないけど。
さっき見積書を見せて貰ったら、ドアの修理代と合わせて6,900ドル。半額だから3,450ドル。ピサンから出す。絶対に。
ミイラ男もベビーサークルの客も別に何も余計なことはしなかった。いや、ミイラ男は、多分またトラブったのだと思う。朝の7時過ぎから1時間くらい、妖精の女の子が、フロントのソファに腰掛けて独りで泣いていた。汚れたコンバースを突っかけていて、靴下を片方履いていなかった。羽も隠しきれずに、うっすら見えていることにも気付いていないくらいだ。一応声をかけたけど、ほっといてくれって言われて、ただ、チョコレートを売っている場所を尋ねられたから、角の店を教えた。
その時に山ほど買ってきたみたいで、もう12時間は呼びつける電話が掛かってこない。
ドアの修理が遅れるらしくて、さっきやっとコートを着る許可が出た。昔のドアボーイが着てたぺらぺらの奴でも、何もないよりマシだ。20時のチェックアウトが始まるまでに許可が出て良かった。
寒くて仕方なかったけれど、これで何とかなる。お前みたいに平熱が105℉(40.5℃)ある種族と違って、俺はあんな吹き込む風に耐えられない。フロントに立っていたら眠くて眠くて仕方がなかった。客がいない時に事務所の入り口でハンギング・ニートゥエルボーをやってみたから辛うじて目が開いていたけれど、それでもすごく眠い。ロベルタも2時の精算も合わせるのに時間が掛かってた。もしかしたら俺がルームサービスをつけ忘れたかもしれない。誰だっておかしくない、ずっと冷蔵庫の中みたいだったんだから。
ミスター・イムホテップはいつも通り出たり入ったりしていて、フェアリーもあれっきり部屋に篭りきりだ。でもあと4泊するうち、最終日はケーキをサプライズで部屋へ持ってくるようにって注文だけど、彼女はその日までいるんだろうか。もしかしたら違う女かもしれない。前にも似たようなことあったから、確認したほうがいい。
雪掻きは駐車場が終わった。除雪車が来る前にもう一回、正面玄関の方だけやっておいて欲しい。
あと、ゴルフバッグが4つ届いたからバックヤードに置いてある。明日入る1203号室と1204号室の客の分だ。そいつらはウーバーじゃなくてタクシーを回してくれってメモがある。
コートを着ていても全然寒い。これを書いる間も指がかじかむ。事務所のストーブが壊れてるのを何とかしてくれないかな。ダイヤルをずっと最高温度にしておかないと火が消える。でもさっきクロックが出勤してきたから、勿体無いことをするなってオフにされた。せめてフロントに電気ヒーターでも置いてあれば助かるのに。
別にお前は青白くなんてないと思う。スプレーしてるのかと思ってた。
あと、ホイストがヨーロッパ旅行のお土産でウエハースを持ってきたけど、多分お前が出勤する時には無くなってると思うから、ロッカーに入れておいた。あんまり甘くなくて、うまかったよ。
アルクディアはネクタイを返してくれない。それどころか、俺のポケットチーフを取られた。なんて奴だ。
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