3月21日(月) エメラーダ
昨日の中華料理屋、初めて行ったところだけど、当たりだった。特にチャプスイが絶品だ、豚のモツもたっぷり入ってて。お前もうまいうまいって食ってただろう。また今度は、ゾンビ臭くない時に行きたいな。
あの配信者達、明らかにこっちを挑発してた。お前がどれだけ言って聞かせても、最終的にはトラブルになってたに決まってる。俺はもたついていた物事を、ちょっと早く進めて終わらせただけだ。
それに、ゾンビを壊したことなんて、これが初めてじゃない。奴ら自身も、実は仲間のことなんかどうでもいいんじゃないかと思う。211号室の客だって何も言ってこないし。
あの時履いてたオールデンだけど、頑張ってベビーパウダーを振ったり、ミンクオイルを塗ったりしてみた。でも結局染みと匂いがどうにもならなくて捨てることにした。気に入ってたのに悲しい。
今朝6階で、マンハッタンに会った。彼女もゾンビは嫌いだそうだ。ただ、彼女の言ってるゾンビって、ブードゥー教の呪術師が使役してた奴隷のことみたいだけど。
メモを渡したら、喉を詰まらせるほど真っ赤になってた。お前が会いたがってるって言ったら、やっぱり恥ずかしくて、遠目に見てるだけでも一杯一杯だって。
どうしてそんなに上がっちゃうのか聞いたら、438日前に、部屋へ入った彼女の前で、ディックを露出してマスターベーションし始めたミイラ男を、懲らしめてくれたからだって。お前、優しいんだな。彼女、すっかりファンになってるよ。
チェリーにはレタスのことを謝っておいたし、少しでも気分がマシになればと思って、ほうれん草の種も渡しておいた。お礼にってまたラディッシュをもらった。ミスター・スプリッツァーはラディッシュが嫌いらしいし、彼女も食べないそうだ。なのに何故育ててるんだろう。
カラスは見つけ次第殺しておくよ。最上階までのベランダや非常階段へ、満遍なくフンを落として回ってるのは間違いなくあいつだと思う。
サイレント・サードの爺さんの部屋に、ラリった716号室のミス・ウィング・ハートが入り込んで、ちょっとした騒ぎになった。爺さんが発砲したから、また煙探知機が鳴って、フロントへの問い合わせが3件。今回はミス・ウィング・ハートもバスローブを着てたから、いい的になったらしい。幸い2人とも怪我はなくて、壁に穴が空いただけで済んだ。修理費用は爺さんのお兄さんへ請求してある。
爺さんは相変わらず相手を怒鳴りまくってたけど(今回ばかりはそれも当然だと思う)ミス・ウィング・ハートは泰然としてた。すごい。
515号室、ルームサービスでバースデーケーキ(1ピース)を0時に持って来て欲しいってオーダー。母子で、息子さんの誕生日らしい。ケーキ屋に注文済みだけど、何となく、ここへ宿泊していることを知られたくなさそうな素振りだ。もし彼女らへ連絡が来たら、繋ぐ前に確認した方がいいかも。
1313号室はベッドをハリウッド、それでおねしょパッドを敷くこと、あるだけ全部出していいってクロックから許可をもらってる。宿泊者は一人だけど、スモウ・レスラーみたいにデカいタコ型の人魚だ。
中庭を通りかかったら、水盆の中に、赤い小さなミトン型の手袋が片方沈んでいた。これまで水盆の中は氷が張っていることも多かったし、ちっとも気付かなかった。誰かの忘れ物らしい。子供用か、それともドワーフか妖精のものかもしれない。もう取りに来ることはないだろうし、捨てようとしたら、ロベルタが「そんなのなんだか冷たいよ」って、洗って洗面所に干してある。彼女はそういうところが心優しい。解放使い魔(編註:魔法使いのところで一定の契約期間を定めて奉公した後、自由になった使い魔)だから、他人の気持ちを推測して、寄り添おうとしてしまうんだろう。俺にはない資質だから、偉いと思う。
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