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11月13日(日) アコーダンス

 100歳の壁なんざ迷信だ。或いは、それこそ子育てに疲弊してすっかり腑抜けた野郎が、女房を前にしても勃起しないことに対する言い訳として考え出したんだろう。俺達みたいな自由に生きている男には、そんなもの立ち塞がるはずもない。


 お前がうじうじと足りない頭がパンクするまで考えたがるのは、この急激な気温低下と、日照時間の減少が原因に決まってる。日光浴をしろ、仕事に支障が出ない範囲で。ビタミンDをもっと摂れ。いや、お前はサーモンやツナをそれだけ食ってるのに、なぜうつ病になるんだ。おかしいだろう。

 あと、運動不足だと筋肉が強張って憂鬱が悪化する。何なら今日の勤務終わりにジムでしごいてやる。


 トーピードからは金を受け取ってる。言ったろう、彼女はそこの辺り、律儀な性格だ。

 ミスター・モナコはここに来る前、例の透析治療を受けていたらしい。あれを女ゾンビにやったら、やり方次第では何とかヤレる気もする。いや、俺はとてもじゃないがそんな気は起きんが、トーピードはどうだろうな。彼女はまともじゃない。


 ゼップの件はマタタビ入りグラスでラリってたお前の幻覚だ。お前は酔うなり暴れるなりしてテンションが上がると、空想や願望を実際にあったことと認識する悪癖がある。

 あの時俺達がいたのはホテルじゃない、俺の家だぞ。お袋が留守で、ライブの興奮も冷めやらぬまま羽目を外そうと、引っかけた女の子を連れ込んだんだ。デトロイトの裏通りにバンドメンバーが来るなんて、ちょっと考えたらあり得ないと分かるだろう。

 俺だってあの晩は幻覚を見た。便器にしがみついている時、背後でアリ・マッグローが入浴してたんだ。その間、バスタブの縁に座ったスティーブ・マックィーンが、イライラしながら煙草を吹かし続けていた。確かに俺はマックィーンのファンだが、そんな都合のいいことは起こらないと判断できるだけの理性は持ち合わせている。


 お前もこのホテルに居着いているヤク中みたくなりたくなかったら、ちゃんと現実を直視して働け。


 フリッパーは生きてる。死にたい死にたいと駄々を捏ねているだけだ。さっき覗いた時は、髪を緑に染めていた。ベットの上で。枕シーツも絨毯も大惨事、今頃精神安定剤の飲み過ぎでぶっ倒れているだろうから、枕までカラーリング剤が染みている可能性がある。

 とにかく金は全部付けておけばいい。財布がある奴は得だな。


 ミス・ウィング・ハートもベッドから転げ落ちて足を挫いたから、定期的に氷を持ってきてくれとのことだ。サイレント・サードの爺さんは日々の細々した支払いについて、彼女の分も支払おうとするが、ミス・ウィング・ハートは断っているらしい。事実、彼女の支払いが途切れることはない。これもまた、ホテルの不思議の一つかもしれんな。


 608号室の死体もヤク中だ。しかもパープル・デルマーの。マンハッタンがやってきて、そいつは食べない方がいいと忠告してきた。若くて健康そうな見た目だから俺にくれてやろうとしたそうだが、失敗したんだと。そんな気を遣わなくていい、死体はもう冷蔵庫にたくさんあるからと言ったんだが、マンハッタンは「遠慮はしないで。私、尽くしたいタイプなの」と埒が開かない。参ったな。今SRには、彼女の作った屍が4つ入ってる。業者が引き取りにくるのは明日だ。お前も食いたいなら持って帰れ。


 カリカリの犬の名前はグレイハウンド。バスと同じ名前の。あれはクロックが特別に許可を出してる、知り合いらしい。家具を食い破ったり、絨毯の上で用を足したりしない、利口な犬だとシルキー達から聞いてる。ただ、1017号室の客があの犬に噛まれたと苦情を言ってきた。1015号室のヴァンピールが落とし物をしたので、部屋に入って置いて行こうとしたら襲われたんだと。推して知るべしだ。話し合いは本人達に任せてある。


 指定の歯科医はメースン通りのゼル・デンタルクリニックだ。


$1,362.31

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