表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/32

24.魔法創造師

誤字,脱字報告受け付けております。

見つけた際は遠慮なく報告して頂けると幸いです。

感想,レビュー等大歓迎です。

ブックマークも是非お願い致します。

 

「……なんで?」

 何度か口をパクパクさせた後,ベリーがそんな言葉をしぼり出す。

 それに対して,リリーナとキャサリンの良い笑顔が返ってきた。

「知りません。私達が聞きたいんですよ」

「そうだよ? 魔法をつくり出せる人物なんて,歴史上数人しかいないんだから」

 呆れたように首を振るキャサリンに,ゆめが首を傾げて質問を投げる。

「じゃあ,魔法を創れる人がいなかったら新しい魔法が出来ないの?」

 その質問に,ベリーも興味をかれたような表情になった。

「実はねー,そうとも言えるんだよね。私も必殺魔法とか創ったりしてるけど,あれは派生型。だから創った本人にしか使えないんだよね」

「その点,魔法を創り出せる人……魔法創造師まほうそうぞうしが創った魔法は,呪文を覚えて馴染なじめば誰でも使えるんです」

 そこまで聞いて,ふとベリーが疑問符ぎもんふを浮かべる。

「あれ? じゃあ私の魔法って派生型じゃない? なら別に存在しない魔法を使ってても」

「おかしいんですよ」

 おかしくないんじゃ? と言おうとしたベリーの言葉がさえぎられた。

 ぽかんと口を開けるベリーに,リリーナは苦笑交じりの笑みを浮かべる。

「では試しに,ベリーの思う最初級のお菓子魔法を出してみてください」

「? 良いけど……」

 首を傾げつつ,ベリーは手元に魔力を集中させた。

 それから一瞬の間を置いて,魔力が小麦色のてのひらくらいの薄い板に変化する。

「すご……。本当に無詠唱で,魔力の流れも安定してる」

 感嘆したようなキャサリンの声に,ベリーが首を傾げた。

 リリーナが「魔法を無詠唱で行使こうしすると,魔力が不安定になって失敗しやすいんですよ」と答え,自らの杖を出す。


「ベリーの思う最初級魔法はクッキーなんですね?」

「うん。一番なんか出しやすいんだよね」

 ベリーが食べられない手元のクッキーをうらめしそうにながめながら,小さく頷いた。

 リリーナはそれを聞いてから,軽く杖を振る。

 その場に,ベリーの身長ほどの半透明の板が出現した。

「これはお馴染なじみ私の最初級防御魔法【聖なる防御(シルトゥエーレ)】です」

 ベリーはハッとしたように板を見て,そんな名前だったんだ……と言いたげな表情になる。


 それに苦笑しつつ,リリーナは言葉を続けた。

「ここで問題です。私のこれと,ベリーのクッキー。共通点は何でしょう?」

「はい! 薄くって,硬い!」

 ゆめが元気よく答えると,リリーナは小さく微笑む。

「惜しいです。良いところに目をつけてますよ」

 キャサリンは答えがわかっているのか,嬉しそうな顔でゆめを見ていた。

「えーと,食べられない!」

「それは当然でしょ。離れましたよ」

 ベリーがバッサリ切り捨てられて,わかりやすくショックを受けた顔になる。

「……ヒント。ベリーが最初にクッキーを出したのはいつ?」

 呆れたようにリリーナが呟くと,ベリーはぱっと顔を輝かせて思案し始めた。


 それを横目に,ゆめが得意気に胸を張る。

「それ,ゆめわかるよ! ゆめも居たもん!」

「え……? ゆっちゃん……?」

 キャサリンが困惑したような表情になった。

 それを無視して,ゆめは笑顔で続ける。

「ゆめをおそってきたまものさんを倒した時! ゆめ見てた!」

 数秒固まっていたベリーが,ようやく思いだしたように口元を抑えた。

「正解です。正確には,魔物が飛んできたのを防いでいましたね」

 リリーナが優しい笑みを浮かべて拍手する。

 そして,ここまできたらわかるでしょ? と言いたげな視線をベリーに向けた。

「えーと……,あ,守るやつってこと?」

 コテンと首を傾げて答えると,リリーナが小さく笑って頷く。

「そうです。私は元々,ベリーが幼い頃から自分の身を守ってもらうために,防御を中心とした魔法を教えていました」

 そもそも私が教えられるのが防御くらいなんですが,と付け足しつつ,視線を遠くに投げた。

「……ベリーが魔法に異常なまでの才能を持っているのは,何となく勘付いていました。ですが,防御魔法は一向に上達しなくって……」

 防御魔法に失敗して部屋を一つ爆破したことを思い出したのか,ベリーがそっと視線を逸らす。

「ですがまぁ,旅に出て謎が解けました。ベリーは別の魔法に適正があったということです」

 それを聞いて誇らしげにしつつ,ベリーはあれ? と首を傾げた。

「……それの何が,私の魔法が派生型じゃないって話につながるの?」

「……思い出してほしいんですが,私は今“防御を中心とした魔法を教えていた”と言いましたよね?」

 リリーナの言いたいことがわからず,ベリーは曖昧あいまいに頷く。

「派生型というのは,自分が極めてきた魔法を変化させるものです。ベリーが極めてきたのは,お菓子魔法ではないですよね?」

「そーだね」

 こんな時ばかりは,ベリーの鋭い勘がえない。

 頭の片隅かたすみで理解したのに,気付かないふりをしているのかもしれないが。


「そもそも大前提だいぜんていとして,お菓子を操る魔法というのは存在していないんですよ」


「……え?」

 今度こそ,ベリーの表情が驚愕きょうがくに変わった。

 琥珀こはく色の瞳をこぼれんばかりに見開き,反論したそうに首を左右に振る。

「で,でも,グラッセリアの建物は魔法で出来てるでしょ? あれはお菓子魔法じゃないの?」

 それを聞いて,リリーナはわずかに表情をゆるめた。

「確かに,建物は魔法で作られていました。ですが,あれは厳密げんみつには“物質を創造する魔法”であり,“お菓子を創造する魔法”ではないんです」

 ほへーっと言いたげな表情で,ベリーが何度か頷く。


 そこで,ん? と首を傾げたのは,いつの間にか生徒側に回っていたキャサリンだった。

「物質を創造する魔法って……伝説級のあの魔法? じゃあグラッセリアを建国したのって……」

 驚きと困惑が混じったキャサリンの問いに,リリーナは小さく頷く。

「はい。世紀の大魔女カランティその人ですよ」

「えぇぇ!?」

 キャサリンが頓狂とんきょうな声を上げて,夢落ちしかけていたゆめが飛び上がった。

 それでも眠り続けるリオンの貫禄かんろくに感心しつつ,ゆめはもう一度微睡(まどろ)み始める。


 一連の流れを微笑まし気に眺めていた三人は視線を戻して,講義を再開した。

「……カランティって誰?」

 ベリーが取りつくろわず尋ねると,リリーナは持っていた杖を取り落としかける。

 信じられないと言いたげに頭を抱えた後,かがみ込んでベリーと視線を合わせた。

「カランティという方はですね。ベリーが幼い頃に行方がわからなくなった大魔法使いで,最後で最強の魔法創造師と言われています。グラッセリアの建国者であり____」

 リリーナは,そこで少し逡巡しゅんじゅんするように言葉を切る。


 興味津々という目で続きを待つベリーに,少し困ったように眉を下げて続けた。


「____ベリーのお祖母様ですよ」


最後までご覧頂きありがとうございます。

一言:ベリーの魔法談義継続。

   つまらないリオンは終わるまで起きません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ