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最初の言葉

これにて「おばあちゃん家」完結となります。


タイトル修正

すみません……タイトル未定で投稿していました。

タイトル考えて居たまま半分寝ながら投稿……そのまま寝落ちしてました。



翌日。

父が乗ってきたバンの後ろで、出発の準備が始まった。


ジョンが袋を咥えて軽快に車まで運んでいく。

マリはそれを受け取ると無駄のない動作で荷物を積み込み、ジョンはまた家へと戻っていった。


「 助かるよ、ジョン 」


ユウキがぽつりとつぶやくと、ジョンはひと振り首を上下に振る。


( ほんとよく働くなジョン! )


海人かいとは心の中で感嘆する。


車には「 対魔仕様車 」と書かれたステッカーが貼られていた。

タクシーのマークと似ているが、黄色い二重線の枠で囲われているのが違うところだ。


( 対魔仕様車って…… タクシー運転手じゃないとダメってわけじゃないのか?

 それともパパンが対魔免許証持ってるってこと? どういう基準なんだろ、これ )


くるくるとジョンが往復するうちに、荷物はどんどん積み込まれていく。

最後にマリが「 カサカサ 」と音を立てる袋を詰め込んだ。


( あれ、絶対あの梨だ……! )



「 本当にお世話になりました 」


父が深々と頭を下げる。


「 またいつでも来いよ! なんなら住んでもいいぞ! 」


祖父は豪快に笑った。


「 ……それは遠慮させていただきます 」


父は苦笑いで返す。

和やかなやりとりを見ていると、おばあちゃんが思い出したように声を上げた。


「 あ、そうだわ夏菜。海人ちゃんも歩けるようになったし、転んで頭を怪我しないように簡易サポーター持って帰ったら? 夏菜が赤ちゃんの時のがまだあるのよ 」


「 えっ、まだ残ってたの? 」


母が目を丸くする。


「 ちょうどいいわ! 短い期間しか使わないし、買うかレンタルするか迷ってたの 」


「 あるなら助かるでしょ。 ちょっと待ってね、小物入れに入れてるから出すわね 」


そう言ったおばあちゃんは、なぜかジョンの顎をがしっと掴み、そのまま口の中へ腕を突っ込んだ。


( ――え、え、なにしてんの?! )


いや、ジョンがロボットなのは分かってるけど…… 馬の口に腕を突っ込むって、ビジュアルが強烈すぎるんだけど!


「 はい、これね 」


にっこり笑って取り出したのは、小さな丸い穴の開いたバッジのような物だった。


「 これがあれば、転んだ時に頭にクッションシールドを展開してくれるの。 頭を怪我しなくて安全よ 」


「 助かるわ。ありがとう。 最近歩き出したから、ちょうど必要だと思ってたの 」


母がほっと息をつく。

説明によれば、頭が何かにぶつかりそうになると、一瞬だけクッション状のシールドを展開して守ってくれるらしい。


……すごいな。こういうところ、妙に科学が進んでるんだよな。


……ってかジョン、小物入れまで兼ねてたのか! お前、なんでもありだな!



◇◇◇



父が運転席、マリは助手席へ。

母と俺は後ろの席。俺はベビーシートにジャストフィットして、車はゆっくりと出発した。


「 仕事、結構大変だったんだね 」


母が声をかける。父はハンドルを握ったまま、少しだけ肩をすくめた。


「 まあね。 どうしてもセキュリティ関係は、こういうことがあると駆り出されるから…… 」


そんな両親の会話を聞きながら、俺は窓の外を眺める。

都市シールドを抜け、車は林道へ。


( 来るとき、ここで中型が出たんだよな……。 まさか、また出たりとか……? )


と一瞬身構えたけど、幸い何事もなく、有料道路へ入った。途中で止まったサービスエリア。


フードコートでは、旅行客たちが興奮気味に話している。


「 いやー、あの先で通行止めだったんだよ! 」「ほんと、スタンピート大変だったよね 」


そんな魔物トークが繰り広げられていた。


車に再び乗り、俺は途中で寝落ちして、気づいたときにはもう家についていた。


「 ……あ、カイくん、起きちゃった? お家に入ろうね 」


母の声で、俺は寝ながら運ばれてる途中で目を覚ました。


マリは相変わらず粛々と荷物を運び入れている。

俺は先に家に入り、母に麦茶を飲ませてもらった。


( なんか…… すごかったな…… )


おばあちゃん家は、おじいちゃんのキャラとジョンと、もう色々と情報があって、ものすごくすごかった。

スタンピードのは怖かったけど、翌日には何事も無いように日常が始まっていた。


楽しかったし、驚いたし。ワームが肥料だったってのもびっくりだ。


この世界の生態系はまだ全く分からないけど、とにかく“すごい”の一言だった。


そんなことを思っていたら―― 梨がちょこちょこと目の前に来た。


「 ……あっ、梨が一個逃げちゃった。 」


母のんびりした声が聞こえる。


( また行きたいな。 今度は…… ワームを見ても、ちびらないように頑張ろう……! )


そう心に決めて、俺は目の前を移動している梨を捕まえる。

ちょうど母とマリが梨を取りに来て、俺のすぐそばにいたマリに梨を手渡した。


「 マリ、はいっ 」


「 …… 」


「 ……カイくん、喋ったぁ! 」


母の大きな声が響く。


( あっ…… やっちまった!! )


俺がこの世界で最初に発した言葉は、ママでもパパでもジージでもなく

ーーー「 マリ 」だった。



今年は海人の物語は終了になります。

来年より、少し成長した海人の物語を書かせていただきますのでよろしくお願いします。


宜しければ別作品

「洗濯機ポータル~蓋を開けたら異世界ですか?!~」

https://ncode.syosetu.com/n8682lb/

こちらもよろしくお願いします。

(全く方向性が違うお話となっております)

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