1 人魚姫の物語
どうも・・・いつかはやりたいと思っていた話です。
なお、作者は別に物語の批判をしたいわけではなく・・・ただ単に人魚姫が可愛いがられる物語が書きたいだけなのであしからず。
人魚姫の話を皆さんはご存じだろうか?
ある時、沈んだ船にいた王子を助けて、その王子に恋をした人魚姫は、魔女に声と引き換えに人間の足を手にいれる薬をもらい、彼の元に行くが・・・彼は自分を助けたのは近くの修道女だと思っており、似ている人魚姫を変わりに可愛がっていたが、実は修道女だと思っていたその女は隣国の姫で、縁談が来た王子は人魚姫を捨ててあっさりその姫と結婚してしまった。
その時に、人魚姫は本来は泡になって消えるはずが、姉から「王子を殺せば再び人魚に戻れる」と言われて迷った挙げ句に・・・彼女は愛おしい王子を殺せずに泡になって消えてしまう・・・・というのが大筋のストーリーだ。
まあ、この後に、風の精霊になって二人を祝福するという話もあって、悲恋扱いをされるわりには前向きな話らしいが・・・俺は昔からこの話を聞いていると思うことがある。
なんで人魚姫は幸せになれない?
いや、もちろん、王子が気づかないことも無理はないし、確かに助けたのはその姫様だから、色々と状況的にも仕方ないとは思うが・・・それでも俺はこの話を聞くとそう思わずにはいられない。
これだけ王子のために献身的な人魚姫に気づかないでのうのうと他の女にいく王子に頭にくるし・・・ぶっちゃけ、確かに話としては面白いし、恋愛としてはいいとは思うが、それでもハッピーエンド主義者の俺としては人魚姫には是非とも幸せになって欲しかった。
もちろん、最後はなんだかんだで人魚姫にとっては納得のいく結末だったのだろうが・・・どうせなら王子と人魚姫には結ばれて欲しいとさえ思えた。
そんなことをきっかけに俺は、異世界ものとかで他種族が出てくると人魚を推していたし、ヒロインに人魚がいるものには飛び付く習性がいつしか出来ていた。
原作をバッシングするつもりはないし、いいとは思っても・・・やっぱり納得のいかないことは世の中いくらでもあるだろう。
だから、そんな不満はいつしかそんな形で放出されていったのだ。
だからこそ・・・なのだろうか?
「あの・・・大丈夫ですか?」
美しいその声と・・・上半身は女性で下半身は魚の、そう・・・本物の人魚に出会えたことには感動を覚えた。
そして、俺は・・・
「ありがとう。君は人魚かい?」
「え?は、はい・・・あの・・・あなたは人間の王子様なのですか?」
「うん。そうだよ。助けてくれてありがとう」
異世界に転生して王子となっていた。