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伊予天正の陣戦記  作者: 赤城康彦
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戦記 二十一


 目を閉じ静かに永遠の眠りについた元春のなきがらを、なんとも言えぬ気持ちで見つめているその背後で。

 炎はいよいよ金子城をつつみこんで、熱風が山から吹き降ろす風とともに元長らをなでてゆく。

「もう害を加えぬと、周囲に触れてまわれ」

 その命を受け、家来らは周囲を駆け巡りながら「もう害は加えぬ」と叫んで回った。

 しかし、それを聞いても領民らはにわかに信じられなくて、元長の軍勢から遠くはなれて、怯えているのと怒りとをないまぜにした面持ちで眺めていた。

 なにより、燃える金子城を見て、この世の終わりが来た思いに駆られてやまなかった。

 領民の感情の気配を肌で感じ取って、やむをえぬと元長は大きく息を吐きだし。小早川隆景に金子城を落としたことを伝えるために使いをやった。

 それから野営の支度をするとともに僧をあつめて燃える金子城に向けて読経をさせ。

 読経を受ける金子城は、それで安堵するように炎に飲み込まれるがままに力なく崩れ落ちていた。

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