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公爵令嬢行方不明になる  作者: 悠月
19/19

19

キルシュタイン公爵領。

新しく領主代行となったティアナは引き継ぎも終えると治安維持を目的とした軍隊の訓練を先に行うことにした。


「まずはゴロツキ撤去よね。それに弱い兵士なんていらないし。弱い兵士に食わせる飯はないから鍛えるよー。指揮官も全員腹括れ。」


剣、槍、弓、騎乗全てティアナは才能を振るい兵士を叩き上げていく。無理難題を課すのだが、各地で捕縛された軽犯罪者の男は強制士官となる。軍属とさせられるのだが、訓練内容が血反吐はいてもおかしく内容。

ティアナは男なら鍛えろー。と、命令を出す。反抗してティアナに殴り掛かる人間はあっさり投げ飛ばされる。骨も折らず筋も傷めさせず脱臼もなく叩きのめす姿は鬼神の如く。


「文句があるなら私と勝負よ。勝てたら訓練やめるわー。」


新参者や部内試合で勝ち抜いて自信が付いたものがティアナに勝負を挑むが瞬殺される。新参者は一瞬だが、勝ち抜いたものは時間をかけて楽しむようにしている。猫が餌をいたぶって殺すように。


他にも学舎では貴賎問わず基本的な識字、算術を教え、人体の不思議、栄養失調や病気の説明など生きていく上で必要なことを教える。

民に税を課すが、生活が潤うようにインフラ整備など領主として順風満帆であった。

そして疫病や安価でまともな医療を受けれるように医者に後進を育てるように命令を出した。


「こんな暴力領主、だから嫁ぎ遅れるんだよ!!」


「あんた、何を領主様に言ってるんだい!!!」


そりゃ結婚もしないで政治家してるけどなぁ。多分結婚して子供作っても両親と同じ道を辿るし、リヒトとユフィリアの子供がいるから別にいいのよねー。リヒトは子供よりユフィリアにべったりだし、子供と喧嘩するって何してるんだか。


ティアナは政務に戻ろうかな。と、館に戻ると使用人が驚いた顔で執務室にお客様が・・・と、震えていた。


「変質者?」


ティアナは扉を開けて中に入ると1人の青年が1人で優雅に茶を飲んでいた。


「何してらっしゃるのでしょうか、陛下。」


「お忍びの視察だ。勝手知ったる公爵家だからな、邪魔してるぞ。」


ジークだった。仕事は忙しいらしいが、自分の時間を作るほどには落ち着いてきたらしい。北の王の領地となっていた所は妃が故郷故に便宜を図ったらしいが、ジークは兵を向かわせ領地として整えて基盤を整えてから税を取るようにした。最低から普通に押し上げた。


「視察って何の・・・何も無いわよ。」


「公爵がティアナの婚姻相手を模索していてな。」


「ユフィリアが男の子も女の子も産んだでしょ?」


「あぁ。私も後宮を作ったが、子女の手習いの場として提供しているだけだし・・・誰もあそこに放り込まれて孤児院で無償労働にいかされたり身分問わず掃除させられるとは思わないだろうし。」


「・・・何やらせてるの。」


「妃はまだ考えてないが、後宮に娘を入れるならこちらで使うと先に言ってある。女官として、侍女として使うなど一言も言っていないからな。民草の生活を知ってもらうために慈善労働をさせている。薬草の手入れの畑仕事か孤児院か選ばせてるぞ?」


「貴族のお嬢様が出来るわけないでしょ。」


「即刻帰る娘と自分のしたいことと似てるからと残るものと分かれている。」


「で?」


「后になってくれ。勝負は簡単だ。今から毒を私が飲む。ティアナが負けを認めないとの悲しきかなキルシュタイン公爵家は国賊となる。」


「うわー最低。」


「その実力があって自分より強い男などいるか!!権力は使ってないぞ?毒の信用性は俺の知識だな。解毒できるか?」


「私が奪って捨てる。」


「勝負は私が飲むか飲まないか。毒が一つだと思うなよ?」


ドヤァ。そっちが無理難題ふっかけるからこっちだって得意分野で無理難題ふっかけてやるといった流れだ。


「・・・参った。嫁げばいいんでしょ?本当にムカつく男。」


「最初に無理難題を言った自分を恨むんだな。」


ティアナはリヒトに引き継ぐかな・・・と、面倒くさいと欠伸をした。リヒトの子供がそれなりに成長すればリヒトは宰相に就く。レールは出来上がっている。

ジークはニコニコとティアナの隣に座りすっかり伸びてしまった髪を撫でる。


「即位してから待った・・・やっとちゃんと言える。」


「ん?」


「好きだ。不幸にさせない。后として、剣として死出の道まで一緒にいてくれ。」


「・・・あんたが怖いよ。ジーク。移り気すれば良かったのに。」


「無理だった。お前の個性が強すぎて他が霞むんだから仕方ない。」






ティアナ・キルシュタインは后として王の隣に立つことになる。后は後宮が監督で世継ぎとかの話になるのだが、王の剣は騎士団の中にいた。


「生温い!!立て!!男だろ!!」


後宮でのお嬢さま以上の扱いに息を詰まらせて兵士を鍛える名目で身体を動かしていた。

それは騎士団、軍隊の能力の底上げになっており、本人のストレス発散でもあった。


「怖いな、ティアナ・・・」


「陛下が后の枠に押し込めたからです。姪が決めた事なので今更何も言いませんが、孫は何時になったら見れるのでしょうか。」


公爵からの圧力が凄かった。ジークはどうだろうなぁ。と、はぐらかすしかなかった。授かり物だし。


「子供か姪を選ぶことになれば姪を選びます。子供が必要なら適当な娘を選びなさい。」


「そうする。ティアナは失いたくない・・・」






「何で毎晩来るの!?」


「ティアナを甘やかしに。冗談だ。私が触れたいから押しかけてるに過ぎない。」


「叔父様とこっち見て何の話?戦?」


「政だ。雑談レベルの他愛のない話しだよ。ユフィリアの所は安産だったな・・・」


「三つ子だから安産かどうかは分からないけど。リヒトはユフィから離れなかったって聞いたかな。そういえばジーク、結局聞けてなかったんだけど、異母と弟どうしたの?」


「禁断症状でても放置していたら勝手に死んだ。俺と同じ目に合わせようかと思ったのに・・・ティアナ、手首の隠す必要あるか?」


袖を捲ると手首に同じところ何度も切り裂いた跡だけが残っている。昔怪我したと言えば納得するような傷だ。

ティアナはうるさい。と、隠そうとしたがジークはその傷跡を舐めた。


「!!」


「痛むのか?」


「・・・思い出すと痛いくらいよ。」


「手首の傷を見なくていいくらい多忙になってもらうしかないな。俺の寵愛なんていらないだろう?俺が愛して束縛するだけなんだし。羽をもぐ事をしてるんだ、鳥籠では後悔はさせない。ティアナと2人の時は王様は辞めていたい。一人の男としていたい。」


「ただのジークなら全然奥さんになって良かったのに。回りくどい面倒な人。」


「無職になる時は一緒だ。その時は馬で遠乗りはどうだ?温泉探したり畑を耕して薬草作り。」


「いいねぇ、さっさと引退して?暇で退屈なのよ。」









ジーク・レオンハルト王の時代は先代の王と異なり、即位までの経緯が謎であり、キルシュタイン公爵令嬢を后とし、子を授かり、成人するまでの間でしか在位はなかった。子供に恵まれ譲位すると后と共に王宮の記録から消えていた。隠居するために王宮奥に消えたとも言われているが真実を知っているのは当人達だけであった。

在位の間の功績は偉大なものであった。民衆への福利厚生を充実させ、民の為に動いた王であった。その心根は子供にも継承され、血脈が途絶えるまで続いたという。


「ジーク、猪取ってきたよー。」


「肉より野菜取ってこいよ!!!畑に食べれるのあったはず・・・」


「なかったら買えばいいじゃん。馬でスグだし。」


「何のための自給自足だ。何で森の小屋で定住なんだよ。場所おかしいだろ・・・」


「狩りしやすいし。ジークしかいないし。」


狩りがきつくなったら引き払うと言っていたけれど、この生活は暫く続きそうだ。


「そうだな、お前が罠を使いだしたら街に、王都に帰るからな。身体にがた来てるんだし。」


「介護はまだ受けたくないー。」


「介護とは言ってないだろ。ティアナ、食べたら少し休むか。子供の悩み相談文が溜まってるのだけど。」


「どうせリヒトの所の子供と色恋で揉めてる内容でしょ?無視無視。お母様は旦那様との時間を優先してるので。」


「一応読んでからな。真面目だったら返事いるだろうから。」


「流石、治薬の王様。」


王と后がいるのは最初に出会った森にある小さな小屋だとは誰も知らないだろう。知っているのは伝令で来る街の人間だけ。代わりものの夫婦は周りに連れ戻されるまで自然と暮らしたとされている。

ティアナ・キルシュタイン公爵令嬢の正式な記録は学園中退から記録がほとんど無く、深窓の令嬢という扱いであったが、真相を知っているのは王1人だけであった。




〈終〉


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