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転生少女の異世界のんびり生活 〜飯屋の娘は、おいしいごはんを食べてほしい〜  作者: 明里 和樹
飯屋の娘に転生した現代人が、ただ賄いを食べるだけのお話。

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3.ここまで長かった……(八歳児談)、なのです


 さてさて気を取り直しまして、お次はいよいよ本日のメイン、木製の深いお皿になみなみと注がれた乳白色のスープに一口大に切られた具材がゴロゴロと入った、クリームシチューのご登場であります。


 お箸から木製のスプーンに持ち変えてゆらゆらと湯気を立てるシチューをそっと一匙ひとさじすくうと、ふぅふぅと息を吹き掛けて冷ましてから、すうっと口をつける。野菜とお肉の旨味が溶け出した、濃厚だけどクリーミーな熱々とろとろのシチューの味が口いっぱいに広がって、自然と頬が緩むのを感じながらこくんと飲み込む。ん~~、美味しいです!あー、なんていうか栄養が身体中に染みていく感じといいますか、うん、カロリーを摂取して力がみなぎってくる感じがしますね!


 お次は目に鮮やかなだいだい色のにんじんを掬ってかぷりと口にすると、柔らかく煮込まれたにんじんの優しい甘さがじんわりと広がる。にんじん……甘くて美味しいなあ……。前世の私は子供の頃は苦手だった気がするけど、記憶があるからか今のわたしは普通に食べられます。というか貴重な甘味かんみなのです。むしろ好きなのです。


 続いて一口大のじゃがいもをシチューごと掬いふーふーしながらかぶりつくと、かじって崩れたじゃがいもにとろとろのシチューが染み込み、ホクホクのお芋と熱々のシチューの旨みが合わさって大変ようございます。お芋さん……おいしいです……。

 今度はあまり入ってないお肉を探して掬い上げ一思いに口に入れると、煮込まれてトロトロになったお肉が口中で溶けるようにちぎれ、豚肉の旨味と脂身がじわーっと広がります。うん……お肉……おいしいです……。


 いやいや……ここまでくるのは長かったのです(しみじみ)。


 うちはご飯屋さんなので包丁やお鍋なんかの調理器具は金属製の物がありましたけど、ガスコンロなんて文明の利器は当然あるわけもなく、まきを燃やしてファイアー! なかまどがこの世界のメインコンロでありましてですね、火力の調整も何もあったもんじゃなかったのですよ……。《火》の魔法も試してはみたんですけどね。こっちは火加減自体は簡単だったんですけど、一定の火力を長時間出しながら料理もするという同時進行は、ちょっと……今のわたしには難しかったんですよねえ……。


 どうしようかなー? と悩んでいたところ、知り合いのお姉さん──実はわたしに魔法を教えてくれている美少女先生なのですが──から「貴族の料理人は魔石を使うのですよ」というお話を聞き、「魔石って何ですか?」と聞いたところ、なんでもざっくりと説明すると魔法を封じ込めておける石というものがあり、それがあれば誰でも魔法が使え(しかも設定すれば出力調整も可能)、貴族の料理人はそれをコンロ代わりにしているという事を教えてくれました。その上「余っているからどうぞ」と、小さい魔石までくれたのです……!


 そうして貰った魔石に火の魔法を込めて、竈を改造し、火力調整が可能ななんちゃってコンロが完成し、ようやくこのシチューはできあがったのです。


 ……それと一応ですね、いくらくれると言ったからといって、無料タダで貰うのは気が引けましたので「お金払いますよ?」と言ったんですけどね。うん……値段が……ね……? 小さい魔石ですが、子供どころか大人でも平民には厳しいお値段じゃないですかねアレ……(遠い目)。


 そういうわけで! 子供らしく素直にありがたくいただきました! わたし転生者ですけど、今は一応子供だからね、仕方ないね。……仕方ないね!(大事な事なので二回言いました)


 先生にはあとで何かお返しすればいいです……よね?

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