表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
救世の闇魔法  作者: なまけもの先生
打倒ヴァルグラン編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/68

50話 ユリウスの覚悟

いつもお読み頂きありがとうございます!

 リュカは瀕死だった。ライナが悲鳴を上げる。ミレイユは何とかしてこの二人を向こうの壁まで連れて行きたかった。しかし自分すらも目の前の少年に殺されてしまう未来しか見えなかった。ミレイユは水魔法を発動してエルに攻撃するが、この天才剣士には一つも傷を与えられない。


(駄目だ。もう自分たちは殺されてしまう。)


その時だった。大量のガラクタがミレイユの側に飛んで来た。そしてそれが旋回するように上空の方に積み重なっていく。そしてガラクタの巨人兵が出現した。


 ミレイユのすぐ側にはユリウスがいた。彼は魔力の使いすぎで顔が青ざめている。もう体力は限界に近づいていたが、第二の壁がもう既に激しい攻撃を受けていたので、自ら最後の壁の前に立って戦っていたのだった。


「俺の兵士に二人を運ばせる!ノエルが負傷者の救助をしているから、彼の回復魔法を信じよう。ミレイユは俺のサポートを頼む!」


 ユリウスの生成したガラクタの兵士がライナとリュカを担いで壁の向こうへと走っていった。


 ユリウスは魔力を限界に使用していたが、彼の背後にはノエルが出現させた雪の精霊がいる。ユリウスの倍ほど背が高い精霊は、ずっと彼の魔力回復に努めていた。


ユリウスはレオンに叫んだ。


「レオン!一緒に戦おう!分かれていては負けてしまう!まだ一緒に戦うほうが勝算があるはずだ!」


 レオンたちは少し離れたところでヴァイスと戦闘中だった。ユリウスはレオンたちと合流して、先にヴァイスを倒す方が得策だと考えた。でないと自分とミレイユが力を合わせてもエルに勝つのは難しいだろう。ユリウスは更に巨人兵を生成した。


 エルはユリウスの生成した巨人兵二体と戦闘を開始した。流石のエルも簡単には倒せず、少し苦戦していた。更にガラクタの兵士が何十体もやってくる。兵士は一斉にエルの方に向かった。


 エルはガラクタ兵を薙ぎ払いながら、巨兵の肩へ跳び乗った。刃が走る。瓦礫の首が嘘みたいに落ちる。


ミレイユの背筋が凍る。


(このままじゃ――ユリウスが……!)


ユリウスは青い顔で息を吐き、唇の端だけで笑った。だが、その目はまだ死んでいない。


「ミレイユ……勝ち筋は、あっちだ」


視線の先――レオンたちがヴァイスと激しく打ち合っている。あそこに合流して、先にヴァイスを落とす。そして総力でエルへ向き直る。それしかない。


ユリウスは震える指を地面へ突き立てた。


廃骸巨神はいがいきょしん魂縫たまぬい――“鎖陣さじん”!」


 ガラクタが地面から立ち上がる。それらは兵士ではない。槍でも盾でもない。鎖だった。瓦礫と鉄骨で編まれた鎖が、蛇のようにうねりエルの足首に絡みつく。


エルは一瞬、足を止めた。


「……拘束ですか。でも遅すぎますね。」


切る――はずだった。だがその鎖は切っても切っても次の鎖が伸びてくる。ユリウスが無理矢理にガラクタの魂を繋ぎ直していた。


 ノエルの雪精霊が背後で光り、ユリウスの魔力回復を必死に支える。それでもユリウスは膝が笑っていた。


「ミレイユ……合流する。俺の右を」


「でも、エルが――」


「今は倒せない。倒すのは、全員が揃ってからだ」


ユリウスは歯を食いしばり、最後の指示を飛ばした。


「巨人兵二体、エルの前進を止めろ。他の兵士は壁を作れ。俺たちは走る!」


 ガラクタ兵が一斉に並び、即席の防壁になる。巨兵が腕を振り上げ、エルの進路を塞ぐ。


その隙に――ユリウスとミレイユは走った。


 レオン側では、ヴァイスが余裕の笑みを崩していなかった。ヴァイスは無傷だがレオン達はそこそこの負傷を負っていた。


「小賢しい。虫が群れたところで、私の魔力は削れない。」


 雷が落ちても、ジャンの剣が入っても、ヴァイスは致命だけは避けた。受け流し、弾き、押し返す。


そこへ、酔っ払いのマルクがふらふらと歩き出した。


「……まだ終わってねぇのかよ。飲む暇ねぇじゃんか。」


 酒瓶を振る。滴が落ちない。液体が宙で踊り、渦になる。


「マルク、前に出るな!」とジャンが叫ぶが、マルクは肩をすくめた。


「前とか後ろとか……酔うとどうでもいいんだよ。今日死ぬなら今飲む!」


――瞬間、酒が霧になる。甘ったるい香りが、戦場を侵す。


ヴァイスが眉をひそめた。


「……幻惑?」


「違ぇよ。酔わせるんだ」


マルクが指を鳴らす。


酩酊術式メイテイジュツシキ――『濁酔領域だくすいりょういき』」


 ヴァイスの足元から、薄い霧が這い上がる。吸った瞬間、視界が歪む。判断が一拍遅れる。


 レオンが牙を剥いた。


「今しかねぇ!!」


 雷が落ちる。ジャンが燃え盛る剣を持って踏み込む。ミレイユが合流してすぐ、激しい水魔法の衝撃波を叩き込む。


――そこへユリウスが滑り込んだ。


「全員、同時に叩け! 間を与えたら駄目だ!!」


ユリウスがガラクタに魂を持たせて、ヴァイスの足を拘束した。


ミレイユが叫ぶ。


「レオン! いける! 今なら当たる!!」


レオンの雷が、ただの光じゃなくなる。

重さを帯びた一撃になる。ヴァイスが初めて声を荒げた。


「馬鹿な――!」


雷撃直撃。更にジャンの剣が肩口を裂く。ミレイユの攻撃も直撃する。


ヴァイスは一瞬だけ膝をつくも直ぐに立ち上がった。

今日もありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ