11話 光と闇の戦い
不定期更新なのでブックマークお願いします!
第一章も中盤です!楽しんで行ってくださいね!
エリシアが怒りと憎しみを込めた声でノクトに話し掛ける。
「あなたはゼルクの弟で間違いないわね。」
「ゼルクの弟?いったいなんのことだ?」
エリシアが聖剣の先端をノクトに向ける。
「とぼけないで。あなたの内に宿るそのぶっそうな魔力を見れば分かるわ。あなたの中にはあの忌々しい闇属性のマナが流れている。」
「適当なことを言うなよ!なんだよ闇属性って⁉︎」
「正直に言えば楽に殺してあげる。もし嘘をつくならば痛ぶって殺すわ。」
エリシアが剣を振るうとノクトはそれを避けた。そして二人は剣を交え合った。
ライナが戦闘を始めた二人に近寄って叫ぶ。
「戦いを止めて!」
ライナの叫び声でエリシアはいったん戦闘を中断した。
「キミは良い人だとおもう。目を見れば魔王軍の人じゃないって分かるから。でもどうしてノクトを襲うの?」
「あなたは何も知らないだけよ。こいつは亡き魔王の子で、ゼルクの弟よ。」
「そんなわけないよ!」とライナが叫ぶ。
「私は以前にこいつと戦ったことがある。私が本気を出しても殺せなかった。それほどにこいつの闇魔法は強い。」
「ノクトは魔法を使えないの!だからノクトは努力して剣を極めたんだよ!」
するとエリシアが鼻で笑った。
「私はこのゴミクズが剣で戦っているところを見たことがないし聞いたこともない。」
エリシアはそう言い終わると再び戦闘を開始した。
二人の激しい斬り合いが続く。ライナはその速さに驚いた。猫人族の目は速い獲物もしっかりと捕える。
しかしその目を使っても二人の姿を追うのは難しかった。それくらい二人の剣は早い。しかし誰がどう見てもノクトが押されていることは分かった。
刃が交わるたび、金属が悲鳴を上げた。火花が散り、刃が風を裂いた。
ノクトの剣が横に弾かれた瞬間、エリシアは踏み込む。そして光の残滓をまとった剣が斜めに振り抜かれ、ノクトの頬を掠めた。
切り裂かれた空気が遅れて風を生み、砂塵が舞い上がる。
速い。反応が追いつかない。ノクトは歯を食いしばり、足をずらす。剣を構え直す間もなく、次の一撃が迫る。
エリシアの剣筋は淀みがなかった。ひと振りひと振りが、信念そのもの。
ノクトは防御一辺倒に回る。受け流すたびに腕が痺れ、手のひらの感覚が薄れていく。光の斬撃が視界を焼き、刃の音が鼓膜を刺す。
「……っ!」
エリシアの剣が、ノクトの黒い外套を裂いた。布が宙を舞い、白い閃光が闇を照らす。
踏み込もうとした足が一瞬止まる。その一瞬の迷いを、エリシアは逃さない。
剣が正面から叩き込まれ、ノクトの身体が大きく後ろへ弾かれた。
地を転がる。呼吸が乱れる。肺に空気が入らず、心臓だけが激しく鳴っていた。
エリシアは剣を下ろさない。その青い瞳には、揺らぎのない決意が宿っていた。
ノクトは血の滲む唇を噛み締め、立ち上がる。そしてまた激しい剣の打ち合いが始まった。
エリシアが一歩、踏み出す。その足音と同時に、光の粒子が舞い上がる。空気が張り詰め、周囲が静まり返った。
ノクトは構え直す。すでに腕は限界に近い。だが退くわけにはいかなかった。
まだ自分には死ねない理由がある。この国を救わないといけないのだ。
再び剣と剣がぶつかる。鋼の衝突音が大地を震わせた。
ひとつ、ふたつ、みっつ。連撃は嵐のように続く。
光の斬撃がノクトの剣を削り取り、二つの剣が交錯するたびに、世界が眩暈を起こすように揺れた。
ノクトの足が地を擦る。反撃の隙を狙うが、届かない。エリシアの剣圧が、まるで神の裁きのように襲いかかる。
「私があなたを殺してみせるわ!」
怒声と共に、エリシアの剣が閃光を放つ。
ノクトはそれを受け止めようとした。だが次の瞬間、甲高い破砕音が響いた。
パキィン――!
ノクトの剣が根元から折れた。残った半身の刃が宙を舞い、闇の中で儚く光る。
エリシアの剣が、ノクトの喉元に突きつけられた。その光は、怒りに燃える炎のように震えていた。
ノクトは剣の残骸を見下ろした。このままでは殺されてしまう。もうアレを使うしかない。自分の体がどうなろうが、俺は生き残らなければならない!
ノクトはエリシアから距離を取った。そして呪文を詠唱する。
「闇呼ノ印――現れよ、漆黒の杖。」
世界が、息を止めた。言葉が放たれた瞬間、空気が裂け、音が消えた。
次の瞬間――地を這う闇が渦を巻き、天へと伸び上がる。闇の柱の中心で、黒い光が凝縮していく。
やがて、その中心から一本の杖が姿を現した。光を拒むような深い黒。表面には紅い脈動が走り、まるで生きているかのように鼓動していた。
ノクトが手を伸ばすと、杖は自らの意思で彼の掌に吸い込まれるように収まった。
瞬間、世界が震えた。大気がうねり、地平線が歪む。ノクトの体を包む漆黒のオーラが爆発的に広がり、その中心から、闇の羽根のような光の欠片が舞い散った。
エリシアは息を呑んだ。その光景は、まるで――堕ちた神が再び目覚める瞬間のようだった。
ノクトの瞳が静かに開く。
「久しぶりの感触だ。」
ノクトはゆっくりと杖を掲げた。黒い魔力が杖の先端から漏れ出す。
それは煙でも炎でもない。闇そのものが、形を持ち始めたのだった。
「黒焔葬」
呪文を口にした瞬間、大地が軋んだ。ノクトの足元から黒い波紋が広がり、地表を這うように走る。
草が瞬く間に黒灰と化し、風までもが焦げた匂いを帯びた。
杖の先に宿る黒焔がエリシアに向かう。そして彼女の周囲は黒焔によって炎上していた。それは、まるで世界の色を塗り潰す静かな葬列。
ライナやゼルマン、ミレオがこれまでに見たことのない魔法を見て呆気に取られている。
ライナは初めて見た黒焔魔法にこの世の末を感じるような恐ろしさを抱いた。
あの魔法は何?まるで本当に魔王みたいな魔法だ。もしかするとノクトは本当に魔王軍の関係者なの?
「もし今度俺に攻撃したら、お前のことをこの魔法で燃やし尽くす。」
「とうとう正体を現したわね。でも私の目的は変わらない。粛清を始めるわ。」
黒焔が円を描き、ノクトの周囲を守るように舞い始める。その中心でノクトの影が二重に揺らめいたのだった。
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