罰ゲーム
手札はあと2枚。それに対して相手は1枚。ニヤニヤした顔で僕を見ている。勿体ぶってカードを行ったり来たりする細い指先。悟られないように真顔で応じる。
これかな?と見上げる顔にどうかな?と余裕そうな表情で返す。残った二人の真剣勝負。先に終わった面子は退屈そうに本を読んでいたり、テレビゲームを始めていたりと時間を潰している。手持ちにあるのはハートの6とピエロのジョーカー。僕の顔を伺いながら滑らかに指が揺らめく。
引き抜いた手に持つのは、ふざけた顔したジョーカー。手持ちの六つのダイヤは寂しそうにしている。さっきまでの真顔を壊して、アイツはニヤリと笑った。
しかし、まだ勝負は終わってない。別れた真っ赤な二人を再会させないために、二枚のカードを素早くシャッフルする。アイツは余裕そうな顔をして待っている。その顔を、絶望に染まらせてやる。
差し出されたカードを見比べても、裏面では全く区別がつかない。探るように指を泳がせても相手の顔色は少しも変わらない。舌打ちしたくなるのを堪えてこっちも笑ってやる。全てお見通しですよと笑う。少しでも相手の心を乱せたらこっちの勝ちだ。たかがババ抜き、されどババ抜き。負けた時の罰ゲームのリスクは高い。意を決して引き抜いたカードの表には、また会ったねとピエロが嗤っていた。
ジョーカーを引き抜いたバカ野郎は隠すことなく舌打ちをした。それを見てると笑えてくる。見えないように背中でカードを混ぜて、オレの前に差し出す。こちらから見るとどっちがどっちかわからない。しかし相手の顔色を見ればわかる。少し焦っている。その焦りから心の防壁がボロボロと壊れていく。指を動かせば手に取るようにわかる。少しだけ目が見開く。息が詰まる。指先が震える。余裕を持って引き抜いたそのカードには、騙されたなとピエロが嗤った。
完




