(2)
あたしには好きな人がいる。
サッカー部のユキト君。
言うまでもなくユキト君はカッコイイ。
人気もある。
あたしのような平凡な子と付き合ってもらえる確率なんて0%だ。
正攻法じゃ無理なのはわかってる。
でも、あたしには「絶対恋愛マニュアル」がある。
だから、絶対に大丈夫だ。
「いやいや、そんなに甘いものじゃないんだけどな」
突然、声がした。
でも、周囲には誰もいない。
「ほら、ここだここ」
注意深く辺りを探ると……
あたしはびっくりした。
声は本から聞こえていたのだ。
いや、正確には聞こえているんじゃなくって頭の中で鳴っていた。
しかも表紙には表情すら浮かんでいる。
「あん? 俺様が何者かって? だから、お嬢ちゃんが手にしている本だよ。それくらい分るだろうが。まあ、本のオバケとでも思ってもらえればいいさ…
「幽霊なのかって? 全然違うね。オバケは”化け物”のこと、つまり俺様は本の”代わりの物”なのさ…
「まあ、そんなことはどうでもいいってことよ。とにかく今回はお嬢ちゃんが俺様の読者ってワケだ。そして俺様の読者ってことは恋愛の手ほどきを必要としてるってことだろ…
あたしは黙ってうなずいた。
何にせよ、この本に不思議な力があるのは絶対だ。
だって、しゃべってるんだもん。
きっとあたしの恋を叶えてくれるに違いないと思う。
「じゃあ、まずルール説明からいこうか」
本のオバケが言った。




