一家に一人、便利な万能魔王
「ほあぁ……」
終わった。終わってしまった。
あれだけあった沢山の芋の仕分け。今日一日で終わらせるのは無理だなぁと思っていた芋の山が。
宙に浮かんだ長爪の指が、ひゅーん、ひょい。
それで、終わり。
………。
……は?
いや意味わかんない。
私も魔法の存在は知ってるよ。村には魔法使いも居る。
でも、その村に居るお婆ちゃん魔法使いが言ってたんだ。
「魔法は、何でも便利に楽が出来る力じゃないよ」と。
幼い頃に魔法使いに憧れて、教えてもらいに突撃した時だ。
何でも出来る魔法は無くて、ただちょっと風を吹かせるだけでも、お婆ちゃん魔法使いの家にあった椅子を動かすだけでも、とっても難しい魔法を使わないといけない。
だから魔法を使うより、団扇を扇いだり、手で椅子を引いた方が早くて楽ちんなのだそうな。
だから、何でも魔法で済ませようとするのではなく、自分に出来る事は自分の力で行った方が良いのだと。
幼い私の頭を撫でながら、お婆ちゃん魔法使いはそう教えてくれたのだ。
それなのに。
今、この指は何をしたの?
「ふむ。こんなものか?娘よ、これで詫びぐらいにはなっただろうか。」
まさか。
もしかして。
…本当に?
宙から飛び出た謎の指男。
自称:魔王で勇者に親しげで。
おなかが減ってるらしい不審者。
もしかして、本当に……。
………うーん。
でもまぁ、とりあえず。
「………豆の仕分けも残ってるんだけど?」
「そちらもか。まぁ、構わんとも。」
豆の仕分けもやってもらお!!
こりゃあ楽ちんだ!!!ヒャッホウ!!




