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開演予告 【死にたくない。】
――死にたくない。
震える手を握りしめ、祈るように合掌する。
魔王はただ、見ていることしかできない。
今日、勇者を楽しませることができなければ――魔王は死ぬ。
目の前に映し出されているのは、勇者一行の映像。
近くの草むらには、魔王の召喚したゴブリンが潜んでいる。
「そろそろだ……!頼んだぞ……」
「あいよ。任せときや!」
魔王は、2人のゴブリンに命運を託す。
彼らは草陰からゆっくりと勇者一行の前に姿を現した。
――パァンッ!
水風船の弾けるような音が、魔王の鼓膜を刺激する。
映像から伝わる光景に、魔王は目を背けずにはいられなかった。
――なんだ……これは。
ゴブリン達は、笑いの作り方を教えてくれた。
「ワテらに笑わせられない生き物はおらへんでっ!」
それを聞いたときは、この上ないほど頼もしかった。
彼らのネタなら、きっとあの勇者でも楽しましてくれる。
そう、思っていたのに……
雲ひとつない青空の下。
――ゴブリンの首が、宙を舞っていた……




