街レポ部活、初活動はチェーン店。
昼休み。
ティナ、カレン、リオナの3人は、昨日と同じく机を寄せ合って昼食中。
ティナ(お弁当を食べながら)
「――って事で、昼休みにミラ先生が部活の説明に来てくれるって!」
リオナ(サンドイッチを持ちながら)
「まぁ!
では早速、本日の放課後から探索が出来ますわね!」
ティナ
「今日から“ぶら探”発足だねー!」
リオナ(きょとん)
「……ぶら探とは……?」
ティナ
「“放課後ぶらり探検倶楽部”って長いじゃん?
略して“ぶら探”!」
カレン(もぐもぐ)
「あはは!
何か“ブラジャー探検隊”みたいでやだ〜!」
ティナ
「はは!
カレンには必要無いもんね!」
……
カレン(ピクッ)
「……は?」
空気が凍りついた気がした。
リオナ(固まる)
「……あら……?
なんだか少し、空気がひんやりした気がしますわ。」
ティナ(硬直)
「……ごめん。
ほんとごめん。」
カレン(真顔)
「ティナ、今2回目ね?
3回目から許さないから。」
ティナ
「え、何が……?」
カレン(少し赤くなって)
「……胸の話。」
ティナ
「あ、はい……
気をつけます……」
……シーン……
リオナ(必死に話題を逸らす)
「ミ、ミラ先生、少し遅くありませんか?
覚えていらっしゃるといいのですが……」
ティナ(焦り)
「た、たしかに!
少し遅いね!」
カレン(ちょっと不機嫌)
「ん〜、
真面目な先生だし、そろそろ来るんじゃない?」
――ガララッ。
ミラ先生
「ホワイトロックさん、フローレンスさん、
ヴァレンシュタインさん、遅れてごめんね……
ちょっといいかな……」
カレン
「ほら来た!」
ミラ先生
「あ、まだご飯食べてた……?
ご、ごめん、ご飯食べ終わってからでいいよぉ。」
ティナ
「今でも大丈夫ですよー!」
カレン(もうケロっとしてる)
「うん!
てかミラ先生、もうご飯食べました?」
ミラ先生
「え?まだだけど……」
カレン
「じゃぁ一緒に食べません?」
ティナ
「そうそう!
一緒に食べながら説明してくれればいいじゃん!」
リオナ
「賛成ですわ!
ぜひ、ご一緒にいただきませんこと?」
ミラ先生
「い、いいの?
じゃぁ先生もご飯持ってくるね。」
ミラ先生、弁当を持ちに一度退出。
ティナ
「(先生、ありがとう……命拾いしたよ……)」
リオナ
「(命拾いしましたわ……)」
カレン(ニコっと笑顔)
「早速だけど、今日はどういった活動にしよっか!」
ティナ
「え?出席取ったら帰りた――」
リオナ(ティナを遮って)
「わたくし、気になるお店を見つけましたの!」
カレン
「お!いいねリオナ!
どこ行きたい?」
ティナ(ムッとして)
「……」
リオナ(目を輝かせ)
「昨日、帰宅中に馬車の窓から見えた
“マクドンナルドン”というお店に行ってみたいのですわ!」
カレン、表情が一気に曇る。
カレン
「え?マック……?」
ティナ
「マックか〜、そういえばわたしも行ったことないや。」
リオナ(にっこにこ)
「ええ!
ピエロさんがいらっしゃって、手を振ったら振り返してくださいましたの!」
ティナ
「マックなら帰り道の途中だし、いいんじゃない?」
カレン、あきらかに挙動不審。
カレン(目を泳がせて)
「マ、マックならさ……!
いつでも行けるし、また今度にしない……?」
ティナ
「ん?
カレン、もしかしてマック嫌い?」
カレン(テンパりMAX)
「べべ、別にッ!?
嫌いじゃないけどッ!?
むしろジャンボマック好きだしッ?超好きだしッ!?」
ティナ
「……どしたの?」
リオナ
「まぁ……?」
3人の近くの席で弁当を食べてた女子が割って入る。
女子生徒
「カレンちゃん、怖いの苦手なんだって。」
ティナ&リオナ
「「え?」」
女子生徒
「マックの“ドナルドン”も怖いんじゃない?」
ティナ
「え、めっちゃ意外なんだけど!
いつもどうやって買ってたの?」
カレン(うつむきながら赤面)
「お母さんに買ってきてもらってた……」
ティナ
「あぁ、テイクアウトね。」
リオナ
「でも優しそうなピエロさんでしたわよ?」
カレン
「あいつ……“目が笑ってない”……」
ティナ
「ブフッ!
たしかに!
不気味っちゃ不気味だよね!」
カレン
「なんなの!?
『ランランルー!』って!?
意味わかんないッ!」
リオナ
「ランランルー……?
ランランルーってなんですの?」
ティナ
「ごめん、わたしにもわかんない。」
リオナ
「???」
リオナ(しょんぼり)
「でも……
カレン様が苦手でしたらマクドンナルドンは諦めますわ……」
カレン
「……」
カレン(意を決して)
「……いや、行こう!
せっかくリオナが行きたいって思ったところだもん!」
ティナ
「おぉ!男気!
さすがカレン!」
カレン
「男ちゃうわ!」
リオナ
「……大丈夫ですの?
無理なさらなくてもいいですわよ?」
カレン
「だいじょぶだいじょぶ!
ただ――」
ティナ
「ただ?」
カレン
「“拳が出そう”だったら全力で止めて?」
ティナ
「それは無理。」
リオナ
「無理ですわ。」
――ガララッ。
ミラ先生(弁当とノートを持って)
「みんなぁ、お待たせ〜……」
ティナ
「おっ!来た来た!
ミラ先生、わたしの机半分どうぞ!」
ミラ先生(空いてる椅子を借りて着席)
「あ、ありがとぉ〜……」
ミラ先生
「えっと、まずは放課後ぶらり探検倶楽部の部室なんだけど……
隣の空き教室を借りられたよ。」
カレン
「おぉ〜!
部室まで用意してくれたんだ!」
ティナ
「でも校外学習って名目でしょ?
部室いる?」
ミラ先生
「い、一応ね……
レポート作ったり、どこに行くか決めたりする時に使う感じで……」
ミラ先生(ノートを広げて)
「それと、これがレポート用のノートね……
おすすめスポットとか、感想をみんなで書いて提出してね。」
カレン
「ふむふむ!」
ティナ
「これくらいなら楽勝だね!」
ミラ先生
「じゃぁ早速だけど……
今日はどこに行くか決める?」
リオナ
「本日の目的地なら先ほど決まりましたわ!」
ミラ先生
「そ、そうなの……?
どこに行くのかな?」
リオナ
「マクドンナルドンですわ!」
ミラ先生
「え……マック……?」
リオナ(目を輝かせて)
「あのピエロさんとお話しに行きたいのですわ!」
ティナ
「わたしも行ったことないんで、少し気になってます。」
カレン
「2人が行きたいみたいなんで頑張ります!」
ミラ先生(胃がキュッと)
「さ、さすがにマックはなぁ〜……
もっとこう……落ち着ける場所とか……不思議な所とか……」
リオナ(テンション下がりながら)
「……だめですの……?」
ミラ先生
「う〜ん……
部活動の内容が買い食いだと、さすがに……」
リオナ(しょんぼり)
「そ、そうですわよね……」
リオナ(涙目)
「かしこまりましたわ……」
カレン(リオナの肩に手を乗せて)
「リオナ、しょうがないよ!
また今度、休みの日に行こ?」
ティナ
「そだね、休みの日に予定合わせて行けばいいじゃん!」
リオナ(ハンカチを持って)
「そう……ですわね……」
……
ミラ先生
「(あ……どうしよう……
私がだめって言ったから、ヴァレンシュタインさんが……
泣いちゃいそう……)」
ミラ先生
「(『生徒たちに楽しい時間を過ごさせるのが教師の役目』
って執事さんが言ってたよね……)」
……
ミラ先生
「あ、あの……!
やっぱり、マック行ってもいいよ……?」
リオナ(ぱぁぁぁッ!)
「まぁ!よろしいのですの!?」
ティナ
「やったじゃん!リオナ!」
カレン
「よしッ!
あたしも腹括った!ドナルドンぶっ飛ばす!」
ティナ
「罪の無いピエロぶっ飛ばすのやめれ!」
ミラ先生
「あはは……
レポートはちゃんと書いてね……?」
3人
「「「は〜い!」」」
ミラ先生(胃がキリキリ)
「(レポート内容がマックの食レポになりませんように……)」
ティナ
「そういえば、ミラ先生も一緒に来るんですか?」
ミラ先生
「さ、さすがにマック行ったら他の先生に怒られちゃうかなぁ……
先生は部室にいるよ……」
ティナ
「そっかぁ。
じゃぁ3人で行くことにしよ!」
カレン
「よーし!
ジャンボマックセット3個注文しよ!」
リオナ
「ふふ、
楽しみですわ!」
ミラ先生
「あまり……
遅くまで遊んじゃだめだよ……?」
リオナ
「遊びじゃありませんわ!
れっきとした部活動ですわよ?」
ミラ先生
「あ、そ、そうだよね……
ごめん……」
――ぶら探発足!
ミラ先生の胃壁は無事でいられるのか?




