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えるてん!エルフだけど、異世界だけど――ほぼ日常。  作者: ひなゆづ
転生直後編

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3/9

異世界ご飯は、食べ慣れた味。


Ep.3pまで毎日朝7時に更新!


リビングはきちんと片付いていて、生活感がある。

棚にはガラス製の瓶や薬草の容器がきれいに並んでいて、

ほのかに草の香りがする。

部屋の中央にはソファーと低めのテーブル、

その下にはネイティブ柄のラグが敷かれていた。


リリサ(エプロンをつけながら)

「ソファーに座ってて、すぐ用意するわ。」


ティナ

「は~い。」


そう言い残し、キッチンへ向かうリリサ。


ティナ(小声で)

「どっこいしょっと……ふぅ。」


ティナ(部屋を見渡す)

「(思ってたより、ちゃんとした“家感”あるな……」


部屋の片隅には、ブラウン管テレビのような物、昔ながらの黒電話のような物もある。


ティナ

「(なんか、わたしん家にちょっと似てる気がする……

じいちゃん、『壊れてねぇのに、買い替える必要なんかねぇ!』って古い家電ずっと使ってたもんなぁ)」


ぐぅ~……


ティナ(お腹をさすりながら)

「お腹すいた……朝からなんも食べれてないんだもん……」


ティナ(ハッとして)

「……いや、ちょっと待って。」


ティナ

「“異世界のご飯”ってどんなのが出てくるんだ……?」


ティナ(想像中)

「(魔物の肉とか……?

いや、あのリリサって人、エルフだよね。

エルフは肉食べないイメージ……)」


ティナ

「(ってなるとキノコ料理とか、サラダとかかな……

あ、この前読んだ漫画、“異世界ムカデ”とか“異世界カエル”食べてたな……)」


……


ティナ(背筋がゾッとする)

「無理無理無理ッ!! さすがにムカデは無理だって!!

でもじいちゃん、カエルは鶏肉みたいで美味いって言ってたような……」


ティナ

「(せめて……せめてカエルとキノコのスープとかにしてください……!)」


キッチンから、甘く香ばしい匂いが流れてくる。


ティナ(くんくん)

「あ、めっちゃいい匂い。

でもなんか、嗅ぎ慣れてるような……?」


---


しばらくするとリリサがお盆を持って、リビングに現れる。


リリサ

「お待たせ! さぁ、早速いただきましょう。」


ティナ

「(来たッ!初異世界飯! どうか、虫だけは勘弁して……ッ)」


リリサ

「口に合うといいのだけれど……」


本日の献立。


・お赤飯

・尾頭付き鯛の姿煮

・はまぐりのお吸い物

・タコの酢の物


……


ティナ

「……え?和食ッ!?」


ティナ

「そして祝い膳ッ!?

わたし今日、七五三だった?」


リリサ

「この世界ではね、お祝いに小豆ともち米を一緒に炊いた物を食べるの。」


ティナ

「こっちの世界もだよ!!

リリサさんが作った料理、わたしの世界での祝い膳フルコースだから!!」


リリサ

「あら、そうなの?

だって今日は、ティナがこの世界に来てくれたお祝いの日じゃない♪」


ティナ

「そうかもしれないけどさぁ……わたしのドキドキを返してよぉ……」


リリサ

「何を緊張してたの?」


ティナ

「だって異世界だよ!?よくわかんない魔物の肉とか、

ムカデとかカエルとか出てきそうじゃん!」


リリサ

「……失礼ね。

うちは普通の食事しかしないわ。」


……


リリサ

「ムカデは、非常食。」


ティナ

「ヒェッ!?」


リリサ

「冗談よ♪さぁ、冷める前にいただきましょう。」


ティナ

「心臓に悪い冗談はやめてください!!

(まぁ、普通の料理が出てきて良かった……のかな)」


ティナ&リリサ

「「いただきます。」」


……


ティナ、背筋良くピシッと正座。


リリサ

「あら……」


鯛の煮付けを丁寧にほぐす。


ヒレを取り

中骨に沿って身に箸を入れると

骨から白い身がほろりと離れる。


リリサ

「(この子、とてもお行儀よく綺麗に食べるのね。素晴らしいわ!)」



ティナ(煮付けをひと口)

「……なにこれ!? この煮付け、めちゃくちゃおいしいんだけど!?」


リリサ

「口に合ったみたいで良かったわ。」


ティナ

「このお吸い物も出汁が効いてるし……

わたしの大好物だったじいちゃん手作り“肉じゃが”を超えた……!」


リリサ

「ふふっ、それは良かった。

それよりあなた、お行儀よく食べるのね。箸の持ち方も完璧だし、魚のほぐし方も綺麗。」


ティナ

「あー。わたし、じいちゃん子なんで。

ご飯の食べ方とか、お残しとかすっごいうるさかったんですよ。」


リリサ

「なるほどね。教育熱心で良いおじい様だったのね。」


ティナ

「ですかね?食以外は割と適当でしたよ。」


---


食後。


ティナ&リリサ

「「ごちそうさまでした。」」


ティナ(ご満悦)

「ふぅ〜。お腹いっぱいで幸せ〜。」


リリサ(食器を片付けながら)

「食後の一服はコーヒー?それとも紅茶が良い?」


ティナ

「あ、緑茶はないんですか?」


リリサ

「ごめんなさい。うちにはコーヒーか紅茶しかないの。」


ティナ

「そっかぁ……じゃぁ、熱い紅茶で!」


リリサ

「はい、じゃぁちょっと待っててね。」


---


数分後。

リリサが湯気の立つ2つのティーカップを持ってくる。


リリサ

「はい、どうぞ。」


ティナ

「いただきます。」


――ズズズッ……!


ティナ

「はぁ〜、やっぱ食後のお茶はあっついのじゃないと!」


リリサ「……え?」


――ズズズッ……!


リリサ

「……あなた、紅茶をそんな音立てて飲むのね。」


ティナ

「え?だめなんですか?」


リリサ(小さくため息)

「いいえ、なんでもないわ……

(さっきまでお行儀よくご飯食べてた子と同一人物よね……?)」


ティナ

「???」


リリサ

「ねぇティナ、そろそろお風呂入りましょうか?」


ティナ

「あ、お風呂あるんですか!?

てっきり異世界だから川とか井戸で水浴びとか……」


リリサ(ピクっ)

「……この家には、ちゃんとお風呂もあるわよ。」


リリサ、キッチンの壁の方を指差す。

見覚えのあるデジタル表示の給湯器リモコン。


「運転」

「浴室優先」

「41℃」

「お湯はり」

「追い炊き」


――どこかで見たことあるボタン配置。


ティナ

「しかも全自動!!

わたしん家、まだレバーガチャガチャするタイプなのに!!」


リリサ

「さっき沸かしておいたから、すぐ入れるわよ。

先に行ってらっしゃい。」


ティナ

「完全に負けてる。うちより進んでる……」

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