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転生はかすり傷に入りますか?――エルフJK、好物は干し芋。  作者: ひなゆづ
転生直後編

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ナンパ師は、たい焼きは要らない。


ポーション作りから数日後の朝。

フローレンス家のリビング。

ティナはソファでごろごろしながらテレビを見ていた。


アナウンサー

「本日の天気予報です。

城下町、湖畔の街、海辺の街は高気圧に覆われ、過ごしやすい一日になるでしょう。

一方、山間部では気圧の谷の影響で――」


ティナ

「(知らない土地の天気予報見ても、全然わかんないな)」


ティナ

「暇すぎ……

スマホがあればなぁ……」


リリサが研究部屋から出てくる。


リリサ

「ティナ、ちょっといい?」


ティナ

「うん?どしたの?」


リリサ

「おつかいをお願いしたいの。」


ティナ

「おつかい!?一人で!?」


リリサ

「どうせ暇でしょ。

私は別の用事があるから、

街の薬局屋さんに届けてほしいものがあるの。」


ティナ

「薬局屋さん?

ドラッグストアとは違うとこ?」


リリサ

「本当はドラッグストアにもポーションを置いてもらえればいいんだけどね……

“確信の持てる成分表明”をしないといけないのよ。

私のポーションは企業秘密だから無理なの。」


ティナ(煽り顔)

「ははっ!

企業秘密って……あの梅シロップが?」


リリサ(ピクッ)

「あれもれっきとしたポーションよ!

魔力の抽出方法がたまたま一緒だっただけで――」


ティナ

「はいはい。

いいよ!

おつかい、行ってあげる!暇してたし!」


リリサ(ジト目)

「……」


リリサ

「……じゃぁこれ、薬局屋さんに届けて。」


リリサ、一枚の封筒を差し出す。


ティナ

「はーい。

じゃ、行ってきまーす!」


リリサ

「ちょっと待ちなさい!

その格好で行くつもり?」


ティナ、パジャマ代わりの白ワンピ。

髪は寝起きのまま、寝癖でうねってる。


ティナ

「え?だめ?封筒届けるだけでしょ?」


リリサ

「だめ。

髪とかして、おつかいコーデしてあげるからちょっと待ってなさい。」


ティナ

「……はぁ……(めんどくさ……)」


---


湖畔の街。

行き交う人々で賑わう商店街。


髪型はリリサに弄り回されハーフアップ。

淡い水色のブラウスにネイビーのカーディガン、

グレーのプリーツスカート姿のティナがメモを片手に歩いている。


ティナ(メモを読む)

「この商店街の奥の方に薬局屋さんがあるのか。」


ティナ

「まったく……

リリサが『ポニテかしら、それともツインテ?』『黄色ワンピも可愛いし……』

なんてあーでもないこーでもないしてたからだいぶ時間たっちゃったよ……」


ティナ

「もうお昼前だし……お腹すいてきたなぁ。」


その時、焼きたての小麦粉の香りと、砂糖が少し焦げた香ばしい匂いが漂ってきた。


ティナ(くんくん)

「良い匂い〜……どこだ?」


ティナが匂いのする方向へ目をやると――


ティナ

「あ!たい焼きだ!!」


たい焼き屋の移動販売が来ていた。


ティナ

「(リリサに少しお小遣いもらったし、ひとつ買ってこ)」


ティナ、たい焼き屋の列に並ぶ。


自分の番。


たい焼き屋

「はいらっしゃい!たい焼き何個?」


ティナ

「ひとつで!」


たい焼き屋

「ありゃ!こりゃぁ可愛いエルフの嬢ちゃんが来たね!

たい焼き1個ね!ちょい待ち!」


ティナ(調子乗る)

「あはは!可愛いだなんてぇ〜!

その通りですけど〜!」


たい焼き屋

「はっはっはっ!

嬢ちゃん可愛いし、面白いからひとつおまけしてやるよ!」


ティナ

「えッ!?いいんですか!?

やった〜!!」


たい焼き屋

「特別だぞ〜?300円ね!」


ティナ

「ありがとうございます!」


たい焼き屋

「はいよ〜!またおいで!」


---


購入したたい焼きの紙袋を片手に商店街を歩くティナ。


ティナ

「(早速ひとつ食べよ!)」


紙袋からたい焼きをひとつ取る。


ティナ

「(“頭から食べる派”と“しっぽから食べる派”で派閥があるけど……)」


ティナ

「(わたしは、背びれから食べる派。)」


そんなどうでもいい様なことを考えていると――

背後から肩を叩かれた。


ティナ

「わぁッ!?

びっくりした!!」


振り返ると見知らぬ魔族の男がいた。

モヒカン頭に、ピチッとした革ジャン、肩にはトゲのスタッズを付けている。

平和な世界に一人だけ世紀末から来たような外観。


ヤンキー魔族 (にやにや)

「お姉さん可愛いね!!

良かったら今から遊ばない?」


ティナ

「え?

すみません、ちょっと用事があるんで。」


ヤンキー魔族

「そんな冷たいこと言わないでさ〜。

ちょっとそこでお茶しようぜ〜?」


ティナ

「お茶?お茶なら緑茶が欲しいなぁ。

やっぱたい焼きには熱い緑茶がセットじゃないと。」


自慢げにたい焼きを見せびらかすティナ。


ヤンキー魔族(困惑)

「え? 」


ティナ

「?わたし、何か変な事、言ってます?」


ヤンキー魔族

「い、いや?

お姉さんギャグセンあるなーって思っただけ!

ギャグセンあるし、しかもめっちゃ可愛いとか最高じゃん?」


ティナ

「そうなんですよ〜。

わたし、可愛いですよね。いまだに鏡見るとびっくりするんですよ。

『この可愛い生き物が自分!?』って!」


ヤンキー魔族

「……」


ヤンキー魔族

「(……ヤバい子に声かけたかも……)」


ティナ

「……?」


ヤンキー魔族

「(でも見た目は完璧だし、アホっぽそうだからワンチャンあるんじゃね?)」


ヤンキー魔族

「ま、まぁ、ちょっとお茶するだけだからさ!付き合ってよ!!」


ティナ

「だからぁ、用事があるんで無理です。」


ヤンキー魔族

「そんなこと言わずにさぁ。

今から行こうよ!

てか、お姉さんめっちゃ良い匂いするんだけど!

まじヤバくね?」


ティナ

「え?そうですか?」


ヤンキー魔族

「うん。マジ良い匂い!

これ、他の男達もだまって見てないでしょ〜。」


ティナ

「(良い匂いってなんだろ?

香水はつけてないしシャンプーとか?)」


ティナ(ハッとする)

「(良い匂いってたい焼きのことか!

……って事はこの人、カツアゲ!?

匂いに釣られてわたしのたい焼きを狙いに来たんだ!!)」


ティナ

「……」


ヤンキー魔族

「ん?どうしたの?黙っちゃって。」


ティナ、紙袋を背中側に隠す。


ティナ

「……たい焼きはあげないよ?」


ヤンキー魔族

「へ?」


ティナ

「さっきから可愛いとかお茶しようとか言ってきてさぁ!

実はわたしのたい焼き狙ってたんでしょ!?

これはあげないから!」


ヤンキー魔族 (ぽかん)

「……はぁ?」


ティナ

「そんな食べたいなら、あっちで移動販売来てるから、そこで買いなよ?」


ヤンキー魔族 (思わずツッコミ)

「いや、いらねぇよ!!」


ヤンキー魔族 (後悔)

「(見た目に釣られたけど、やっぱこのエルフ、

やべぇ奴だ……変な奴に絡んじったな……)」


その時――


???

「そこ!!さっきから何してんの!!」


二人が声がした方に目をやると、人間の黒髪ショートカットの少女が一人、両腕を組んで仁王立ちしていた――


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