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マッサージなんてほぼ〇〇

おまたせしました、テストが終わりようやく再開できます


 アドベントチルドレンといえばFFシリーズの映画だった気がする。確か……7か?シリーズの中でも人気が高かったはず。

 太古の昔、人類の半分程が娯楽を楽しむ時代に出現した娯楽のメディアミックス作品というものだった……と習った。

 本編は初代プレイステーシ○ンで発売されたとか。ラスボス、主人公共に人気を誇るとか。リメイクもされていたか。


「偶然見つけたんですよ」

「それは……すごいな」


 白露がブルーレイを機材に入れてモニターの電源を入れて戻ってきた。相変わらず胸は頭の上に乗っている……集中できるのか?

 マイナーとは言えないものの映画としての知名度は大したことはないはず……しかも大分前の映画だ。

 そんなものがこの作りかけのような都市に落ちているものなのか?そもそも……見れるのか?


「始まりましたね」

「おぉ〜」


 アクションシーンは素晴らしい。ただ……なんというか、掛け合いに知識を求められる割には用語の説明が少ない。

 白露もそんな感じの反応をしている。事前知識が無かったのは意外だ。てっきり知っているのかと思った。


「どうでしたか?」

「浅瀬しか知識のない個人からすると、ん?といった感じだ」

「ですよね〜、でもアクションは良かったですよね」

「これが化石技術なんて信じられないクオリティだ」


 今の映像作品のクオリティが非常に気になる出来だった。白露も満足出来ているようだし、それ程差はないのかもしれない。

 質には……な。記録媒体は間違いなく進歩しているだろう。あらゆる五感を刺激できる媒体になっているだろう。


「今日は牛丼です」

「早い、安い、品質は……」

「最高の長月牛丼です」


 白露がドヤ顔で牛丼を机に置いた。9月牛丼……何故9月なんだ?神無月とか他に派手な名前の月あったろうに。

 早い安い品質は最高……そんな店でどうやって厳しい競争を生き抜いていくんだ……他の激安店に駆逐されそうだが。


「ちなみに9月7日には限定のサービスがありますよ」

「月見牛丼でも出るのか?」

「違います」


 隣に座った白露がご丁寧に胸からブザーを取り出して不正解の音を鳴らした。一体この谷間にはどんな不思議空間が……?


「私が裸本日の主役襷(しゅやくたすき)ファッションになります」

「誕生日か、そうか、その日なのか」


 まさに、白露の侯に生まれた……それとも意識を持ったのか。それは分からない、とにかく運命を感じる名付けだ。

 裸襷……エロさというよりは、奇天烈な絵面の方が記憶に残りそうだ。すぐに想像できた自分が恐ろしい。


「この名前はそういう意味でも気に入っているんです。この名前を思い出すと、人間特有の文化を思い出しますから」

「なるほど……」


 文化と言った時、一瞬顔を曇らせていた。何か嫌な思い出があったのか、それとも辛い時にこの名前が支えになったのか……。

 話の内容的に考えれば後者に思えるが、もしかすると両方かもしれない。どちらにせよ文化に拘りがあるのは分かった。


「凄く、素敵な名前です」

「そうだな……名付け親のセンスが光っている……あ〜ん」

「ん、でしょう?あ〜ん」


 白露の口の動きから、唾で艶めく使用済の箸、そして最後に口を開いたときに覗く口内に目が行ってしまう。

 口は決して性的な部位ではない、食事の為だけの器官だというのに、なぜこうも目を引くのか……。


「玉ねぎにすら拘りを感じる。あーん」

「肉も主様が食べやすいように極限まで柔らかさを追求しています。はい、あーん」


 確かに柔らかい。手間暇が尋常ではない程掛かっている。それでも、もう胃の容量が残っていない。


「ごちそうさまでした……ふぅ」

「お粗末さまです」


 白露をじっと見る。俺は白露がいつも食べ終わっていない内に席を立つ。だが、白露はすぐに追いついてくる。

 残っていたはずのご飯がどうなっているのか……今日、確かめるしかないだろう。


「ど、どうしましたか?」

「別に……綺麗だと思っているだけだが」

「真っ昼間からそんな///」


 白露が頬に手を当てニヤニヤしながらクネクネしだした。体柔らかいな……ご飯が、もう無くなっている……!?

 捨てた……?それはない、と信じたい。よく見ると口元にご飯粒が付いている。まさか、この短時間で……完食、したのか?


「白露、ちょっとじっとしてて」

「え、は、はい///」


 白露の口元に付いているご飯粒を取って白露の口に入れる。俺の胃にはもう何も容量はない。


「……何もしないんですか?」

「今からしたらもったいないだろ……」

「確かに……焦らしに焦らした意味があまりありませんね」


 今日は性的接触が解禁になるとはいえ、本番は出来ない……つまり、今日が最も悶々とする日ということになる。

 そんな日に真っ昼間から始めてしまったのでは、自分を抑えられないということを、お互いよく分かっている。


「何しましょうか」

「白露、ちょっと背中を向けてくれ」

「こうですか?」


 丈夫でしなやかな鎧と見紛う白露の背中が見える。いい鍛え方をしているのがよく分かる。凝っていそうな肩だ。

 揉みほぐし甲斐がありそうな背中だ。ちゃんと労わなければやる気もなくなる。適度に労わなければな。


「ふんっ」

「んっ……ふぅ……くっ……いいですね」

「それは、ありがとう」

「おぉおっ……ふぅ……ふくっ」


 白露の関節付近の筋肉を肘で押していく。痛みに悶ているような声を出しているので少々心苦しいが、続ける。

 本人も褒めてくれているからそんなことはないのは分かっているが、気分的な問題だ。


「んんっ……くぅっ……ふぅ」

「今度はこっちを」

「ぉおおっ……ぐ……んんんっ」


 腰と背中の間を踵で押していく。凝り固まっている。体のこの部位はよく使う。念入りにやらなければ。

 白露が下で悶ている。健康の為に心を鬼にしなければならない。白露のためにも頑張らなければ。


「ふぉっ……んおぉつ……」

「ぬぅぅ」

「おおぉぉっ……ふぐっ……ぬっ……」


 白露の声が少し固くなっている。こういう声は嫌いではない、むしろ好きだ。綺麗な顔で格好いい声……いい。


「ふぅ……終わった」

「んん……いい感じです。ありがとうございます」

「やりたくてやったことだ」

「そうですか……ありがとうございます♪」


次は一週間後です

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