特異(得意)なバスケで異世界攻略 第19話
よし!成功だ!回復スキルを手に入れた俺は上機嫌でお酒を飲んでいた。5杯ほど飲んでご機嫌さんになって来た時、後ろから大きな声で喧嘩が始まった。
『このクソアマ!こっちが下手に出てたら調子に乗りやがって!一度痛い目を見せてやる!』と冒険者っぽいおっさんが、背の低いローブのフードを被った女の子?っぽい子にブチ切れていた。
その小さい子の声は聞こえなかったが、おっさんに何か言っているようだ。その何かにキレたおっさんはいきなり剣を抜いて小さい子に向かって振り上げた。俺はヤバいと思いスキル【速攻】を使ったが、間一髪間に合わなかった。おそるおそる振り下ろした剣の先を見るとさっきまでそこにいた小さな子は見えず、後ろから光が走ったと思ったらおっさんに直撃し、おっさんは間も無く気絶した。
俺は慌てて後ろを見ると、物凄く幼い顔をした巨乳の小さな女の子が仁王立ちしていたのだった。その女の子は何かぶつぶつ呟いたと思ったら、おっさんの懐を漁り取り出した財布をカウンターにいる店主に放り投げ店から出て行った。
なんか凄いのを見たなと思い、少し酔いの冷めた俺も店をでようと店主に会計を頼んだ。その際さっきの子を知ってるか尋ねたら、超有名な魔法使いで通称”閃光のカフカ”という女の子らしい。雷魔法が得意な年齢不詳の女の子で極度の男嫌いで有名なのだそうだ。 それにしても凄かったなぁと思いながら、明日の護衛依頼も早いので宿へと戻った俺は少し早めの眠りに着いた。
次の日の朝、街の出口まえにある広場で依頼人の商人テトリさんと合流し簡単な挨拶を済ました後、スグに出発した。行きの道中は特に何もなく昼過ぎには無事に目的の町の”ニッカ”に到着した。
明日の朝一出発予定である帰りの護衛まではフリーだという事なので、俺は少し屋台巡りをした後酒場へと向かった。少しほろ酔いまで飲んだ後、マスターのお勧めの宿を取り眠りに着いた。
朝になり待ち合わせ場所に行き少し待つと、テトリさんがやって来たので出発する事にした。帰路の約2/3程進んだ所でお昼休憩を取っていると、遠くから悲鳴が聞こえて来た。
何事かと思い声が聞こえた方を見てみると、遠くの方で土煙が上がっている。俺は嫌な予感がしたので、テトリさんに少し離れる事に了承を取ってから、全力疾走で現場に向かった。
ステータスが爆上がりした俺は一瞬で現場に着くと、そこには盗賊に囲まれた1台の高級そうな馬車があった。馬車の周りには護衛と思われる兵士が数人倒れていた。その周りを囲む盗賊は30人はいるだろうか。
俺は範囲魔法スキルを造っていない事に後悔しながらも、状況を打開するために先制攻撃をしかけた。スキル【速攻】で一番近くにいる盗賊を倒し、魔力を300程込めた【チェストパス】で直線上にいる盗賊を軒並み消し飛ばした。勢いで魔力を込めすぎてオーバーキルになったのは少し反省か。さらに【ユーロステップ】で間合いに入り【レイアップ】で止めを刺すコンボで視界に入る盗賊を次々と倒していった。
気が付くと盗賊は残り3人になっており、いかにもボスって感じの厳つい盗賊が両手を上げしゃべりかけてきた。
『お前は一体何者だ?全く見た事の無い面だが、勝てる気がしねぇ。ここは一つ見逃してくれないだろうか?もちろん今回の”依頼”は諦める。さらにアジトにあるお宝も全て差し出す。これで許してくれないだろうか?』と尋ねて来たが俺は何のためらいもなくボスっぽい男の体を【チェストパス】で吹っ飛ばした。
気持ち悪いが証拠の為にそいつの頭を【バスケット】に収納した後、横で腰を抜かしている雑魚2人にアジトの場所を聞き出した。びっくりするくらいあっさり喋った雑魚2人は近くに落ちていた縄で縛り上げ、襲われていた馬車の様子を見に行った。
馬車の周りに横たわっていた兵士達はもう手遅れだったが、かろうじて立っている血まみれの1人の兵士に”高級回復薬”を飲ませた所で馬車の幌が開いた。中からは非常に気品のあるオーラを纏った美少女とその子を守るように前に立った女性2人が出てきた。前に立った女性は俺の事を見た後、『あなた様は冒険者様でしょうか?』と尋ねて来たので、「ああ、そうだ。盗賊は全て倒したから心配しなくていいぞ。」と答えると安心した様子で、『ありがとうございます。本当に助かりました。貴方様がいらっしゃらなければ、”ティア王女”の御身がどうなっていたか。命の恩人でございます』
「ええええええっ」テンプレ来たけど心の準備がぁぁ…。