一緒にいたい。
うーん、語りが幼いかもしれません。
仕方がないかな…。
一応十四歳の設定なんですけどね。
好き。
好きなの。
だから、もっと一緒にいてほしい。
部屋でひとり呟いてみる。
たぶん隣の部屋にいるおにーちゃんは寝ている。
寝ていなくても、聞こえていてもいいけど。
すき。
なんで気づいてくれないの?
こんなにも私はあなたが好きなのに。
朝だって、精一杯誘惑してみたのに。
…魅力ないのかな?
私たちには兄弟と示すものもない。
ほかに親戚もいないのだから世間体だって気にしなくていいではないか。
なのになんでそんな修行僧みたいに無反応なの?!
いやになっちゃう。
そこにあったクッションを抱きしめる。
顔を埋めてぽつり。
「すきだよ」
伝わらない。
言葉にしていないから仕方ないのかもしれないけど、少しは感づいてもいいんじゃないかな?
昔からおにーちゃんはあんまり表情を表に出すことはなかったけど、最近はましになってきたと思う。
私はおにーちゃんの笑顔に一目ぼれしたんだから。
おばーちゃんの家に来て、この家に来て半年たった夏の日のこと。
今でも覚えている。
私はその時夏風邪にかかってしまっていた。
おにーちゃんは無表情ながらも私を一生懸命看病してくれた。
その時の幼かった私は言ってしまった。
「おにーちゃん、かお怖い」
そのとき、おにーちゃんはごめんていった。
でも、ただのごめんじゃなくて。
「ごめん」
って、はにかんでいった。
そのあと、私は恥ずかしくて真っ赤になっちゃったんだけど、すごく素敵な、自然な笑顔だった。
あぁ、こんな顔もできたんだ。
そう思うと、なんだかおにーちゃんが愛おしくてすごく好きって思えたんだ。
おにーちゃんは私のことをどう思っているんだろう。
ふたり暮らしになってからあまり一緒にいない。
おにーちゃんは部屋にこもってしまう。
だから一緒にいられない。
私としてはすごくさみしい。
よし。
心の中でつぶやいて改めて口にしてみる。
「勝手に部屋に入るくらいいいよね、二回目だし」
私はおにーちゃんの部屋の前まで行き、深呼吸をする。
かちゃり。
ドアを開くとベットでおにーちゃんは寝ていた。
「仕事してると思ったんだけど…」
おにーちゃんは専門の知識がいるが家でもできる仕事をしている。
内容はよくわからないが、かなりの知識量が必要らしい。
一度聞いたことがあるがはぐらかされた。
使っている道具からして、絵描きか小説家だと思う。
鉛筆とスケッチブックと原稿用紙。
いったい何をしているのだろう。
今はスケッチブックにたくさんの羽が書いてある。
原稿用紙は白紙だった。
眼鏡を外していないので、仕事をしたまま眠くなって寝てしまったようだった。
電源入れっぱなしだし。
そう思ってスイッチを切る。
おにーちゃんは自分が思っているより格好良い。
ていうか世間一般から見てもかなりの美青年である。
年の割に落ち着いた雰囲気とさらりと揺れる髪の毛。
よく考えて選んでいないであろう黒縁の眼鏡も顔にあっている。
小さいころからきれいな顔立ちをしていたが、今は一層磨きがかかっている。
ベットで寝ているおにーちゃんの髪の毛に触れる。
そして撫でる。
男の子とは思えないほど艶やかな髪質で、かなり憧れる。
おにーちゃんは私の髪をきれいと言ってくれるけど、おにーちゃんのほうがもっときれいだ。
「んぅ…、誰?」
―――――やばっ
起きるとは思わなかった。
逃げようと思い立ち上がると手首をつかまれた。
怒られると思っていた。
しかし驚きの一言がおにーちゃんの口から放たれる。
「待って…」
海羽がかなり幼くなっちゃっいました。
おにーちゃんが手首をつかんだ後はどうなるの?!
その①海羽を抱きしめる
その②おばーちゃんと勘違いして甘える
その③勢い余ってKISS!?
いや、悪ふざけが過ぎました。
①と③は、そのあとが気不味すぎるような。
まあ、どうなるかわかりませんw