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最期、そして現在。

これで過去編終了です。


おばあちゃんの家で過ごすようになって5年。

海羽とも兄弟的な関係を築き上げてきた。

「おにーちゃん、毛布とって」

「はい」

「おにーちゃん、ご飯はまだ?」

「今すぐ作る」

「おにーちゃん、本」

「どうぞ」

う、うん、兄弟的な関係を築き上げてきた。

主従関係とか思ったやつは勘違いだ。

俺たちは兄弟だ。


しかし、元気だったおばあちゃんも年々衰弱してきている。

数年前から医者に通ってもらっている。

その医者にはもう長くないといわれた。

それについては海羽も知っている。

そして、おばあちゃんも多分気が付いている。

気が付いていないふりはしているけど、早朝はいつも窓の遠くをどこか寂しそうに眺めている。

この5年で俺たちは成長してきたはずだ。

そう思って、海羽も俺も口には出さないがかなりおばあちゃんがいなくなってしまうことを不安に思っている。

俺たちふたりでは何もできない。

それは、おばあちゃんが床に臥せてから痛いほど理解しているつもりだ。

海羽もやることはきちんとやっている。

俺もやることはきちんとやっている。

それでも、何かが欠落している。

何かはもうわかりきっているのだけれども。

それは、もうどうやっても戻ってこない。

おばあちゃんの病気は治らない。

おばあちゃんは、そのうち死ぬ。

わかってる。

それでも、その日はやってくる。



その日はなぜか早く目が覚めた。

なんでだろう。

わかってた。

海羽も起きてきた。

虫の知らせってこういうことなのかもしれない。

おばあちゃんは幸せそうに眠っている。

もう起きてこないけれど。

窓の外も眺めてないけど。


おばあちゃんは死んじゃった。


海羽も俺も口にはしない。

でも、理解はしている。

もうだれにも頼っていけない。

ふたりで生きていくしかないと。



おばあちゃんの葬式は、俺と海羽とおばあちゃんの3人で行われた。

誰も泣かない代わりに、空は大泣きだった。

いや、雨のおかげで涙が見えなかっただけかもしれない。


葬式の夜はふたりで寝た。

向かい合って誓った。

ふたりだけでも、立派に生きていこう、と。

次からはふたり暮らしの開始です。

おばあちゃんの家で、どう暮らしていくのかしら…

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