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カレーうどん作って戦争終わるなら美味いものだよね

 わたしとガーリックの戦いが終わったのを見計らったかのように、村のみんなが姿を現した。

 流石というべきか、ラオウさんとメラチャルさんに怪我はない。

 メンマも竹槍一本で立ち向かったわりにはこれといった外傷無し。

 最も出てきた近くの森林には何人か全裸になった女エルフが転がっているけど。

 わたしはメンマに肩を貸してもらい、ガーリックの下へと歩いていく。

 ガーリックはミリアにグレイビーボートを取り上げられていたようだ。

 動けないはずなのに。それでも獰猛な野獣が如き敵意をわたし達ダークエルフに向けていた。

 森林からエルフが続々と現れる。

 その手には拳銃。まだ戦意を捨てていないようだ。

 ラオウさんが声を響かせた。


「戦争は俺たちの勝ちだ!」


 ラオウさんはガーリックの手を掴んだ。

 風船が破裂するかの如く他のダークエルフたちも口々に勝どきをあげる。


「やれっ! 貴様らっ! 私に構うなッ! 撃てッ!」


 ガーリックはエルフたちに指示を飛ばす。

 エルフたちもそうしたそうに銃口を向け、ガーリックがいるからか自然と下げていた。


「やれっ! やらんかっ! くっ、覚えていろよダークエルフ共! 私の怨恨は終わらない。怨嗟は続く。必ずや貴様らダークエルフ共にカレーを食わせてやる!」


「言ってろ。お前はこれからホブゴブリンの部屋でたっぷり食わされるんだよ。きつねうどんを」


 一触即発の雰囲気。

 ラオウさんがガーリックを引き摺って行く。

 エルフたちに怨恨が渦巻く。

 これだと前の戦争と同じ。

 いや、それ以上の。

 わたしは歯痒そうな表情をしたミリアを見て思い出す。


 ――だからより一層、あんたを我儘にしてやりたくなったわ!


 気づいた時には、わたしはメンマの肩から離れて大地に背を付けていた。

 青く曇った空を見ながら何でもなくただ呟く。


「カレーうどんが恋しい」


 ラオウさんの足が止まる。

 ダークエルフとエルフ、全員の目がわたしに注がれた。

 けれどわたしは構わず続ける。


「カレーうどんを食べたい。うどんにカレーを掛けた料理が食べたい」


「そ、そうよね! 私もそのカレーうどんって奴食べてみたかったのよ!」


 ミリアがここぞとばかりに賛成してくれる。

 メラチャルさんが一歩踏み出してきた。


「何を言うかキリシマ! カレーを食べるなどそんなの許されることではないぞ!」


「カレー粉って小麦粉が入っています。そう考えると、うどんも実質カレーなのでは?」


「それを言ったらほとんど全部うどんとカレーになるぞ! うどんはうどん! カレーはカレーだ!」


「どっちでもいいです。わたしはカレーうどんが食べたい」


 ラオウさんがわたしを真上から見下ろしてくる。

 失望とかではない。族長らしい威厳のある表情で。

 ゆっくりと口を開いた。


「お前は、その我儘のために何千年と続くダークエルフの文化に傷をつけるのか?」


 わたしは上半身を起こさせる。

 そしてラオウさんの目にしっかりと焦点を合わせた。


「文化のためにあと何回戦争をするんですか。あと何回、子どもには関係の無い禍根を残すんですか?」


 わたしはもういい。

 やっぱり英雄願望なんて持つものじゃない。

 こんな毎日毎日緊張感まみれな戦いに繰り出されるのは二度とごめん。

 わたしは戦闘狂じゃない。何事も無く家に帰りたい。

 ツッコミもいい。

 だからと、わたしは揺るがぬ決意を持ってラオウさんに言い放つ。


「わたしは平穏無事な生活を送りたい」


 ラオウさんは何も言わずに口を一文字に結ぶ。

 そのまま数秒ほど、わたしと目を合わせ続ける。

 そうしてラオウさんが下した決断は、ガーリックから手を放すことだった。


「ラオウ!」


 メラチャルさんが信じられないとでも言わんばかりに突っかかる。

 ラオウさんは腰に手を置いて豪快に笑いだす。


「まぁまぁ良いじゃねぇか! 今回の一番の功労者はキリシマだ! キリシマがカレーうどんを食べたいって言うなら、まぁ食わせてやろうじゃねぇか!」


「だがなラオウ――」


「それにっ、俺は自分で自分が情けねぇよ。俺の意固地が子どもを傷つけるなんて。しかも子どもに諭される形で気づかされるなんてよ。俺も焼きが回って来ちまったみてぇだ」


 ラオウさんはわたしの両脇に手を入れて立ち上がらせてきた。

 よろめくわたしにミリアが肩を貸してくれる。

 ラオウさんがこの場にいるすべての者に聞こえるほどの声を出す。


「この戦争は終わりだ! 帰ってカレーうどんとやらを食うぞッ!」


「「「「「「ウオオオオオオオオオォォォォ!!」」」」」」


 メラチャルさん以外のダークエルフたちが号令に続いた。

 唯一声を出さなかったメラチャルさんはラオウさんに苦笑を返していた。

 メンマに肩を貸してもらったガーリックが憎々しげに言ってくる。


「貴様どういうつもりだ。こんなことしたところで私の怨恨は消えんぞ」


 わたしは口元に指を当て、少し考えたふりをしてから言う。


「わたしは本当に平穏な生活を送りたいだけ。それに良いじゃない。これ、全ダークエルフがカレーを身体に入れるってことだよ」


「……ふん。これで勝ったと思うなよ」


 顔を逸らして言っても説得力ないよ。

 なんて、言ってもあれだよね。

 かくして全エルフとダークエルフを巻き込んだ戦争、きつねうどんVSマトンカレー戦争は終わりを告げる。

残り一話で完結です。

いやほんと、身内のノリ全開ですね。

大喜利安価で作ったのが10割原因ですね。

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