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ルビーアイ・カタストロフィ  作者: アゲハ
2章 泉
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8話 逆インサイダー

人通りの少ない郊外


その林


砂利道を優先しながらも、結果ソコに追い遣られる


完全に想定したコンビネーション


コイツらは()()()()()()()()()()()()()だ……


私達は、奴らにとっての獲物(ターゲット)


そして奴らは狩人(ハンター)


この程度の狩猟(ハンティング)など軽い物だ


奴らの処刑場(トラップ・ポイント)に辿り着いてしまったのだろう





私達に背後から声を掛けてきた





「ヘイ! 止マレ!」



そんな言葉で止まるつもりは無かったが、私は意志とは裏腹に……


足を止めていた


【音】が聞こえたのだ


恐怖を(あお)る音が……


ガチャリと響く、撃鉄の音色





私は彼らに背後を向けたまま、肩からエリスを目の前へと下ろす


そしてクルリと追跡者(チェイサー)に向き直り、エリスを背後に置いた


目に飛び込んだ光景


やはりか……


そう、私は納得する


あの撃鉄のメロディー……


彼等は()()()()()()()を私に向けている


ソレは、拳銃


3人の黒いサングラスを掛けた黒服の男達が、3人とも同じ姿を私に向けていた


3つの銃口が私を狙っていた


だが妙だ


彼等が握る拳銃はベレッタ等のハンドガンタイプでは無い


奴らが手にしていたのはリボルバータイプだった


ハンドガンタイプは銃弾数が多い


だが、弾の口径は小さい


リボルバーの弾丸はソレよりも大きい


殺傷能力はソノ比では無い


それでも普通所持するなら、大きさといいハンドガンタイプが一般的


それなのにも関わらずリボルバー……


コレは相当、射撃の腕に自信が有るようね……






3人の男


その拳銃を冷静に見る


銃筒の隣にチラリと輝く2つの弾が弾倉に見えた


つまり、左右2個ずつ


上下に1個ずつ


計6発の弾丸、か……


ソレが3人…… 計18発……








やれやれ……








ご大層な事だ……








女性2人にココまで準備するとは……







いや、腕にも、脚にも自信の有る3人……


ゴールド・ファンド社の闇を(にな)って居るのが、コイツらか……?


随分本気の様ね……



「…… 貴方達…… 何のつもりなの……!?」



私は奴らに言い放つ



「答エル必要ハ…… 無イ」



静かに彼等は、そう言った


サングラスが邪魔で表情が見えない


心の変化は()()()()()()


出来ればソレを確認しながら交渉したかったのだが……


ソレは難しそうだった



「理由も無く追ってきた…… って事は…… 無いよね……」


「アア……」


「でしょうね…… 拳銃向けられちゃ…… ね」


「コンナ姿デナラ…… モウ解ルダロ?」


「ええ…… で、何……? 何を強制させたいって事……?」


「背後ノ娘…… 父親二伝エロ…… ()()()()()()…… ソノ取引ヲ止メロ…… ソレダケデ解ルハズダ」


やはり…… 株……


ゴールド・ファンド社の差し金なのが確定したか……



「私さ…… 株の事はよく解らないけど……」


「ア?」


「そういった購入株の情報提供ってインサイダーって云うんじゃ無い? あ…… 提供されたわけじゃ無いから…… 力で抑えるのは…… 逆インサイダー的な?」


「面白イ娘ダ…… ソンナ言葉ハ無イゾ」


「面白がってくれたなら…… その代金に見逃すとか……」


「無イナ」


「でしょうね……」



冗談は受け取っても御礼は無し…… と……


当たり前だけどね……


(はかな)い願いか……



「ナア…… 後ロノ娘…… Yesカ、Noカ……?」



本当ならこの場でYesと口にすれば丸く収まるが……


ソレで済むとも思えない


さて、どうしたものか……


その時だ


ザッと云う音と共に背後に居たエリスが私の前で大きく手を広げた!



「エリス!! アンタ何やってんの!?」


「ゴメンネ、泉…… コレ、私ノ問題ヨネ…… 巻キ込ンジャッテ本当二…… ゴメン……」


「そんな事は良いのよ!! 私の後ろに! 早く!!」



私を守るかのように手を大きく広げ、前に立つ彼女は首を振った



「ダメヨ…… 私ガ(なん)トカシナキャ……」



そう言って彼女は黒服達に目を向ける


私の目に映るエリスの後ろ姿


その足


ソレは端から見ても解るほどにがガクガクと震えていた



「Yesト言イ…… オ前ノ父親ガ実行スレバ、事ハ迅速二終ワル」


「デモサ…… ()()()()サレテ…… 無事ッテ事ハ…… 無インデショ……」


「サテ、ナ……」



エリスの言う事は(もっと)もだ


こんなに露骨に強迫している


ココを【Yes】と言って収めたとしても、警察に通報されれば問題が露呈する


ソレは奴らにとってのリスク……


彼らにとっての最善は、(さい)たる2つの条件が施行される事だ






1つ目に、エリスの父親がソノ株取引をしない事


2つ目に、この強迫の件が(おおやけ)にならない事






1つ目は簡単だ


親の気持ちが【Yes】になるだけ





だが2つ目は困難


この問題により、通報される危険性は大きい


奴らに必ず必要な安全は、()()()()()()()()()()()()()()()()()を握る事なのだ


だからこそ、エリスが()()()()()()()()命ダケは助かる


彼らの最高はエリスの親に彼女の声をたまに聞かせながら、()()()()()()を証明させる


だが、()()()()()()()()()()()()()()事が何よりの安全だ


つまり、今、最悪なのは私に対する()()()()()()()()()


エリスを潔く誘拐するには、私は()()()()


私は奴らにとって、価値は無い


誘拐するメリットは無い


だから、いずれ殺される


だが、エリスが奴らに付いて行く判断をするまで手足を撃つ


その程度の(えさ)


さて……


何が私にベストだ……?


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