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ルビーアイ・カタストロフィ  作者: アゲハ
4章 求める強さの先に……
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82話 宿命

何て事だ……







このシルバーチョーカーにどんな機能が付いているというの!?








最悪だ……








そして、いつも自分に言い聞かせている、最低の最悪を想定しなきゃ……








とにかく安易はダメだ








冷静だ








こんな時こそ、冷静になれ……








そう自分を落ち着け、考えを巡らせる








だが……








何かしらの機能を考えても、一つに結び付く








別の最悪を考え抜いても、また、そこに行き着いた








コレが、奴のやり方か……








専用の首輪……








専用の強固なアクセサリー……







専用の(じょう)……









最悪の








究極なまでの、不本意








私は








奴の手に()ちた……








そして








()()()()()()()()()()()()()……








これではモウ……








私は、戦えない……








そう理解した時、雫が落ちた








私の眼から雫が…… 溢れた




「どうしたの!?」




静かに涙を流す私を見た藍が、肩に手を置きそう言った




「ん…… ちょっと考え事してた……」



「急に涙流す考え事って何よ!?」



「大丈夫よ……」



「理由になってない!!」



「理由が無くなったのよ……」



「なんの!?」



「全部……」



「全部ってなに!? 意味解んないから!!」



「戦えなくなったの」







もう自暴自棄になってしまっていた



もう何もかにもをブチまけたくなった







「戦うって何と!?」



「敵と」



「敵って何!? 誰よそれ!?」



「それは……」








こんな時でも若干の理性が働くのは人間の(さが)なのだろうか……








それとも私の?








敵の名前を言ってはならない……








知られれば、藍が危険になるのは目に見えている








冷静さを少し取り戻した時だった








希望








そのような物にも感じる何かを掴んだ気がした








そうか……








そうだよね……








不安そうに見つめる藍を見て思った














何やってんだか……







もう諦めるなんて私らしくない!







そうだ、諦めるのは早い








今、諦めても何も解決しない








今、私が戦線離脱したら、それこそ藍だけが戦場に取り残される








藍を救うためには、まだ、諦めるわけにはいかない








状況は究極の最悪








これ以上、最悪って無いじゃん♪








最悪しかないなら、これから先は小さな最高を見つけるだけじゃん♪








なーんだ……








簡単な事だったんだ








コレもソレも大事な親友を助けたい一心で動けば良いだけじゃん♪








そっか……








藍のお陰だ








藍のお陰で、わたしはまだ、冷静でいられる








貴女を助けるために、まだ頑張らなきゃだ








そう、諦めるのはまだ早い








コレは








ある意味、()()の中の()()








私の()()()()()()()()()()()()()()()じゃ無いか!








生き延びる








生き延びてみせる








皆と……








そして








私は絶対に最後まで諦めない!!








「敵って誰!?」



藍が私の肩を揺さぶり、叫び散らしていた



「何でも無いのよ……」



考えを纏めてみても、はぐらかしようが無い



はぐらかせないなら、危険の無い程度に話すしか無い



そう思えた




「咲! 何でも無いじゃ、説明になってないって!!」



「うん、解ってる…… 今ね、私は…… 泉と私は、ある敵と戦ってる…… それは、世界を救う事なの…… 突拍子(とっぴょうし)も無い話だから、笑っても良いよ」



「笑うわけないでしょ!!」



そう言い、今も尚、強く肩に手を置く藍の目は真剣そのものだった



「そして!?」



「うん、敵の名前は言えない…… 危険だから」



「なんで!?」



「だから!! 危険なのよ!!」









叫声にも似た声をあげる藍に、私も怒声を掛けた



私の表情が今、どのようなものかは想像がつく



それでも、今まで見た事の無い私の表情に冷静を取り戻したのか……



藍はゆっくりと私の肩から手を下ろした



ただ、その瞳は、私の同じソレから離すことは無かった






「とりあえずさ…… 敵の名前が聞けないことは解った…… でもさ、泉と咲、2人だけで挑むの?」



「そうだよ」



「そうだよって…… 簡単じゃ無いんでしょ?」



「勿論」



「世界を救うんでしょ?」



「そうだよ」



「そんな簡単とは思えないけど……」



「勿論、簡単じゃ無いよ…… メインのバトルは私達…… でもね、サポートしてくれる人もいるし」



藍は首を傾げる



そして、言った



「誰? いや、大丈夫…… アーサーさんとライさんね?」








私は驚いた


なぜ、その答えに即座に辿り着いたのかと思ったのだ








「凄いわね…… そうよ、藍」



「やっぱりか…… それにね、咲って実は凄く強いでしょ?」



「どうして?」








彼女の前でルビーアイを発動した覚えは無い


必ず人目の無いところでしか使用してはいない、絶対に……


それはルビーアイを便利ツールの様に思っていた以前の私でも人前では使っていないのだ




藍は静かに口を開いた





「どうして、か…… なんとなく、かな?」



「なんとなく?」



「そう、なんとなくよ……」



「そんなので解るの?」



「解るよ♪ いつも咲と一緒に居るのよ? 普通と普通じゃ無いのと、その違い位はね♪」



「そっか…… 気を付けてたんだけどなぁ……」



「フフフ…… 初めて違和感持ったのは、ブラ騒動の時ね♪ ゲシュを追う貴女は、【2階の連絡通路から階段上】に走ったね」



「うん、覚えてるよ…… そうだったね」



「うん、私は【2階から3階に階段登ってから連絡通路】を西棟に走った」



「うん」



「私ね、結構全力で走ったのよ♪ なのに、貴女は私よりも遙かに早かった…… 距離は同じなのにね」



「なるほどね……」



「もう一つは、決定的だった」



「決定的なもう一つ?」



「そう、チーマーって言うの? ヤンキーに空き地で絡まれた事あるじゃない?」



「うん、あったね」



「あの時、貴女は私の頭を抱えて、胸に埋めてくれたよね…… 見ないように」



「うん」



「その時、聞こえないように耳も腕で塞いでくれた」



「うん、そうした」



「冷静なのは、()()()()()()からだよね」



「そうでもないけど……」



「うん、でもね、()()()()()()()()()()()の」



「変わらない? 何が?」



鼓動(こどう)がよ……」



「鼓動?」



「そう、心臓の鼓動よ…… 冷静過ぎたの、咲はね」



「そっか……」








言っている事が解った



頭を私の胸に埋め、耳を塞いだ



だから、()()()()()()()()()()()()()()んだ



そして、女性なら冷静で居られるハズも無い場所で、あり得ない程の冷静な私に完全な違和感を持ったのだろう



そんな状況でも冷静過ぎた私は、その程度の問題などどうって事も無いと……



それだけ、場慣れし、そして、状況を打破出来る強さがある、と



そう、感じさせてしまったのだ








「さすがね……」



私はそれだけ藍に伝えた


彼女はニコリと笑い、そして口を開く



「ねぇ、私に手伝える事は無いの?」









拒絶するわけでは無い



だが、一般人が勝てる敵では刹那も無い



だからあえて、私はこう言った









「ごめん…… 無いよ」









これ以上巻き込めない



その思いだけが強かった



何よりモウ、巻き込まれてしまったのだ



戦場から遠ざける方が都合は良い



私達は()()()()()に成り下がってしまったのだから……






ソレを痛いほど実感するのは、ようやく体温に馴染んできたシルバーチョーカーだった






「ねぇ、藍…… 今日…… 多分、この大学が戦場になるわ…… だから家に帰って欲しいの」



驚いた表情を即座に戻し、藍は笑ってこう言った



「イヤよ♪」



「なぜ!? 貴女、ココで死ぬかも知れないのよ!?」



私の心情とは真逆の優しい表情を藍は崩さない



「でも、戦場になるなら…… 咲だけ残すわけにはいかないもの♪」



「藍……」



「ん?」



「貴女、大した女性よね……」



「そう? 引くべき時で無いのなら、引くわけにはいかない…… そうゆう事よ♪ 咲も同じだからココで逃げずに戦うんでしょ?」








正直、それと同位では無い








私のは運命だ







いや、ソレも違う







宿命なんだ……







運命はその道に進んだ事によって変わる運勢







だから運命は変えようとすれば変えられる







二択を迫られた際、どちらかを選ぶ事の出来る権利を持っている







宿命は元より変えることの出来ない道筋







だから、その二択でどちらを選ぶ事になっているのか既に決まっているのだ







そう、つまり私のはもう決まっている事なのだ







だから逃げられない








だから逃げない







だから戦う






でも今だからこそ、解った事も有る






それは藍の強さ






宿命だから当たり前







それじゃ面白くない






つまらない三文芝居だ






だから覚悟を変えよう






胡桃ママと違い、私は先の事は見えない






今後どうなるかは、神のみぞ知る






ソレも違うか……






神は運命を変える力を持っているだけだ






だから、全てを知っているのは、【天】…… ということにしよう








でも、私はニア・ラピス







運命を変える力なら、私にだってその欠片を持っている








だから宿命に翻弄(ほんろう)されない覚悟を持とう







私に無くて、藍に有る物








心の強さ







私は藍に会えた事で、その強さの欠片を手に入れた







決まっているから戦うんじゃ無い







私に世界を救える力が在るから、私は戦場に行くんだ







自分の意志で……








もう、流されない







私は突き進む

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