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ルビーアイ・カタストロフィ  作者: アゲハ
4章 求める強さの先に……
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80話 ウェイトレス

突然掛けられた声



誰?



一人の女性が走ってくる



よく見ると水色のメイド衣装を着ていた



見覚えは無い



てか、メイド姿で平然と校内を動ける人を知っていたいとも思わない……



てか、藍以外のカレッジメイト(大学友人)は知らない……



彼女は私に駆け寄ると、ハァハァと息を切らし、曲げた体躯の両膝に両腕を立て、肩を上下させていた








よく見ると、()()()()()()()()が握られている







誰だろう……?



やはり知らない



というよりも()()()()()()が、正しい







誰? と聞くのも失礼だろうと判断し、私は応答した







「どうしたの?」



「ハァハァ…… うん…… ハァ…… ちょっとね、急だけど…… 頼みたい事があるの…… ハァハァ……」



「頼みたい事?」



彼女は深呼吸して、息を整え立ち上がった



「ハァハァ…… スゥーーー…… ハァーーーー…… うん、そう! 頼みたい事!」



「何?」



私は首を傾げる



「実はさ、急にメンバー足りなくなってね…… 人手が欲しいのよ!」



「何の?」



「私達のトコで出店する(もよお)し物なんだけどね、そのメンバーになって貰えないかと♪」



正直、あまり関わりたくないし、高田教授にウサマルの事を問いただしに行かなければならない



「ゴメン! あまり時間ないんだ!」



そう断った私の両腕を彼女が掴む



「ダメ! 咲子さんって催し物関係の仕事、何もしてないじゃん!」







う……!!







痛いトコを突いてくる……







どうしようも…… 無い、か……





「じ、じゃ…… 少しだけね……」



「やったー!!!」



「で、何すれば?」



「これよ♪」



そう言った彼女は、クルリとその場で旋回した



「メイド衣装?」



「そ! メイドカフェよ♪」















はい!?!?!?!?







「ちょっと待てぇーーーい!!」



「な、何!? 大きな声で!?」



「私にメイドカフェのウェイトレスやれって!?」



「そだよ?」



「無理無理無理無理無理無理むーーーりーーー!!!」



素っ頓狂な顔の彼女にも解るように、大振りに思いっきり首を振る



「少しだけでも良いから♪」



「ヤダヤダヤダヤダヤダヤダ!!!!!」



「ヤレヤレヤレヤレヤレヤレ!!!!!」



「ホントヤだ!!!!」



「何もしてない人が、そーゆー事言うんだぁ???」



「ちょ! 何その顔!! メッチャ(にら)んでるじゃん!」



「だって、何かしらの事するのは義務よ?」



「くっ……!!!」



「You are 義務!!!!」



「適当な英語作んな!!」



「でもさ咲子さん、ホント義務よ? 学校に通報されても文句言えないよ? いいのね? ホントいいのね??」



「くっ…… 何そのニヤニヤした顔!!??」



「さあ? ケケケッ」



「ケケケッって…… ハァ…… 解ったよ…… ホント少しだけね!! 少しだけだよ!!」



さすがに心が折れた



反抗の糸口すら掴めない



そういえば、藍も私が適当に動いて逃げ回るって言ったとき、『恐い事いうねぇ』と言っていた……



コレが、そう言う事か……



「で、何すればいいわけ?」



「うん、コレ着て♪」




向けた手には紙袋があった


私はその紙袋を受け取り、口を開く


そこに見える衣装は()()()()



「あれ? 水色じゃ無くて、黒のウェイトレス?」



「そう♪」




そう言いながら彼女は私から視線を外し、背中を向けた


袋の中の衣装を取り出した私は違和感を感じずには居られない


明らかに彼女の纏う、フリフリ付き、水色のメイド服とは質量が違いすぎる


そして材質までもが違っていた




「コレって……」



「ん?」



「とりあえず、コッチ見なよ……」



「え?」



「コッチ見ろって…… 山田さん……」



「いや、佐藤ですけど……」








よし、わざとらしくなく名前は手に入れた







そして……







「佐藤さん、コレ、メイド服じゃ無いよね?」



「え? ホントに……? おかしーにゃー……?」







いや、あんたのはわざとらし過ぎる……







「コレ、()()()()()って奴じゃ無い?」



「へ、へーー…… ボンテージってゆーんだーー? とりま着てみたら?」



「着れるか!! アポ!!!!」



私は思いっきり頭を引っぱたいた




「痛ったーー!!! 何すんのよ!?」



「そんな事より、何させたいのよ!? (むち)もって女王様ってか!? こんなモン着れるか!!!」



「えーーーーー!!!!」



「そーゆー事か! コレだから着るはずだった人、逃げたんでしょ!?」



「そ、そんな事ないよ?」



「声が上ずってるから!」



「もう! 着てよー!!」



「ムリ!!!」







面倒だ…… こんな事したくなかったのに……







私は首元のチョーカーを少し上げ、胸元のボタンを少し外した







「昨日、釘に引っかけちゃって、首元からお腹位まで傷付いてるから、尚のことムリ!!」



「あやや! 大丈夫?」



そう言い、佐藤さんは少し申し訳なさそうな表情を見せる



「痛みはもう無いけど、私も女性よ…… 嫌な物はイヤ!」



「そっか…… 傷が無ければ着ても良いって事だけは解ったよ……」



「そっちかい!! その顔、申し訳ない顔じゃ無く、残念な顔かい!!!」



「んーーー、どっちも? 的な?」



「どっちか一つにしろー!!」



「じゃ、残念な方で!」



「力強くそっち選ぶな!!」




とりあえず、どーにかこーにかボンテージを着る事だけは避けられた


にしても、フリフリ付き水色メイド服だったとしても、罰ゲームの様な物だ……


まあ、コレで大学からの評価が落ちない事だけは助かったとも言える


ただ、飲み物を運ぶだけで良いなら気楽だ





私は簡単な客対応レッスンを受けた








am11:04








メイドカフェの教室には続々と大学生や一般人が入店してきた







「いらっしゃいませー♪」



カフェ内からも声が飛び交う


ご主人様とか言うカフェじゃ無くて良かった……


そんな安堵の溜息がこぼれる


ワタワタと動き回り、次々と飲み物を運んで居ると、急に声を掛けられた




「え? え? えーー!? 咲…… なの?」




振り向いた先に居たのは、藍だった




「藍! 助けて!!」




私は藍にすがりつく


藍は、おもむろにポケットから携帯電話を取り出した




「携帯電話? どうしたの?」


「いや、カワイ過ぎて!!」



そう言った藍は、携帯電話のレンズ部を私に向けるとパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパシャ!!!


と、音を鳴らす



「連写撮りかよ!!」


「連写撮りよ♪」


「助けてってば!!」


「私も仕事残ってるもん!」


「そんなぁ……」


「ガンバ!!」



そう言いガッツポーズを見せた藍は教室から姿を消した


私の、すがり付いて居た手だけが……


寂しく空を彷徨(さまよ)っていた



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