40話 制約破棄
小さな私の町
それでも建物位は建ち並ぶ
私達は楽しく、時折、何をしようかキョロキョロと周りを見渡しながら歩いていた
少し前を歩いていた私は妙な喪失感を感じた
気配が消えた……
不意に後ろを見る
藍の姿が無かった
慌てて数歩、藍の居た場所に駆け寄り辺りを見る
建物の隙間、路地
何者かに引きずられる藍の姿を見た!
私は走った!!!!
路地の先に全力で!!!!!
隙間の先が開ける
そこには空き地があった
だがその空き地の四方はコンクリートの建物に阻まれた袋小路だった
その中央に、男3人の姿
その1人の手は藍の口を塞いでいる
藍が危ない!!
そう思った時には、私は3人の間に割って入っていた
根拠も作戦も無い
ただ、助けたかっただけだ
大切な友達にその後、何が起きるかは簡単に想像出来た
私はコンクリートの壁と背中との間に藍を匿い、3人と対峙する
男達が口を開いた
ニヤニヤしながら品の無い笑いを見せる
「なんだぁー? よく見たらこっちの女も中々じゃん!」
「マジだな…… 上玉2人かよ! ククククククク……」
「でも俺ゃ、後ろのが良いわ! そっち貰うぜ!」
気分の悪い会話
大通りからは随分走った
叫んでも無駄だろう
「叫んでも無駄だぜ? ココは俺らの溜まり場だからなぁ! 何も聞こえねーよ!」
解っている、そんな事は!
気持ちの悪いその口を閉じろ!
今も私達に背中を向ける彼の両手にはサバイバルナイフが2本、握られていた
あまり刺激して、藍に危害が及ぶ事を避けた私は無言を貫く
睨むだけは、睨む
その顔に、ニヒヒと笑う男達
(藍、時間稼ぐから逃げて!)
私は背中の藍に小声で話した
(そんな事出来るわけ無い! 咲を置いて行けないよ!)
小さく怯えた藍は顔をブンブンと振り、私の提案を拒絶する
違うのだ
藍を逃がしたいのは勿論だ
ただ、見られたく無いだけだ
私独りなら、この程度の状況、簡単に打破出来る
大切な友達だからこそ守りたい
私なら助けられる
私だから助けられる
今が自分に課した制約を破る時
ルビーアイを使うべき時は今……
でも解っている
藍も私を大事な友達だと思ってくれているからこそ、ココから逃げないのだ
悔しかった
もっと周囲に気を配っていれば
もっと藍とずっと途切れず話をして居れば……
暇を潰す材料探しに、周りの景色に、注意を向けて居なければ……
後悔だけが頭を巡る
男達が私達に下劣な笑みを浮かべ、近寄ってくる
もう、ダメだ
やるしか無い……
胡桃ママ、ごめん!
ママ、パパ達…… ごめん!!
私、大切な友達守るために……
人前だけど……
ルビーアイ、使うね……
大切な友達なの、ホントにずっと友達で居たいの……
もう、この子が私を【人】として見てくれなくても良い
それでも私は藍を、守りたい




