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ルビーアイ・カタストロフィ  作者: アゲハ
5章 その名はカタストロフィ
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105話 タイムリミット

ライの眼は、真っ直ぐ藍を見据えていた




「ジャア、モウ一度聞クケド…… ドッチニ…… 死ンデ欲シイ?」



「選べるわけ無いでしょ!!」




逸らした目線をライに合わせ、そして叫ぶ藍


その瞳には涙が(にじ)んで居るのが見える




「選ベナイ? ジャア2人ハ何ノ為二戦ッテルンダ?」



「それは……」




藍は言葉を止めた


今度は目線を外さずに、(にら)む様にライを見ていた




「だって…… だって…… 龍斗おじ様は…… 私の……」



「…… 藍…… 質問ヲ変エルヨ…… ドッチニ()()()()()()()()?」



「どっちも…… どっちもよ!! 死んで欲しいわけないでしょ!!」



「ソウカ…… 君ハ…… ソノ()()()()()()()()()?」



「え? 龍斗おじ様が私のお父さんをルビーアイにして…… 必要無くなったから…… だから……」




そこまで言った藍を、ライは手を向けて(さえぎ)


そして、言った




「モウイイ…… 言ワナクテ…… ツライ思イヲサセテ申シ訳無イ…… ダガ、今ノ…… 少シ冷静ニナッタ藍ダカラ言ウヨ」



「な、何をよ……」



「ソノ悪魔ガ言ッタ言葉ハ、()()()()()()()()…… 自分ノ都合二合ワセタ話…… ツマリ、()()



「な、何を根拠に……」



「僕ハ真実ト心ヲ…… ()()()()カラネ」



「真実と心……?」



「ソウ、真実ト心サ…… 少シ長イ話二成ルガ、聞クカ?」





ライは静かにそう言った





「どうせ聞か無いと言っても…… 話すんでしょ……」





そう言って苦笑いを浮かべる藍に向けたライの表情は冷静そのものに見える





「ソノ時ハ…… 話ス時ヲ間違ッタト思ッテ、言ウノヲ止メルヨ…… ソレト同時二、2人ノドチラカヲ…… 君ハ、殺スダケサ」








ワナワナと震えていた








藍が震えていた








ヤケになって言った言葉を後悔した








どうしようも無い苛立ちを無理に抑えた








そんな顔に見える








「ごめんなさい…… 聞くわ……」



「ソウカ、アリガトウ」



「いえ…… 教えて……」




コクリと頷き、ライが淡々と話し始めた




「龍斗サンハ、アル日、ソノ悪魔ノ元二連レテコラレタ…… ()()()()()ンダ…… ソシテ、恐ロシイ計画ヲ知リ、逃ゲタ」



「誘拐!?」



「ソウダ…… ソシテ、逃ゲタ先デ…… 今ノ両親ト出会イ、養子ト成ッタ…… 子供ノ居無イ家庭…… 一人息子サ…… トテモ深イ愛情ヲ頂イタソウダ……」



「それがどうしたのよ……」



「両親ハ…… 子供ガ産メ無カッタ…… ダカラ養子ナンダゾ……? (ひと)リ…… イツモ独リ…… 小学生ト成ッタ時、公園デ独リ座ッテ居ルト、随分年上ノ男性ガ声ヲ掛ケ、遊ンデクレタソウダ」



「…… それも誘拐に繋がるんじゃないでしょうね……?」



「違ウヨ…… タダ、最初ハ警戒シタ…… デモ、本気デ向カイ合ッテクレル男性二…… 警戒心ハ薄レ…… ()()()()()()()ヨウ二成ッタ」



「ある感情……?」



「オ兄サン」



「お兄さん?」



「ソウ…… 兄ガ居タラ、コンナ感ジ? トネ」



「いつも…… 独りだったから……」





コクリと頷くライがまた口を開く





「高校入学…… ソコデ、会ッタ…… 仕事ノ話ナド無カッタカラ聞カ無カッタ…… ソノ男性ハ…… ()()()()ダッタ」



「え!? その男性って……?」 



「君ノ父親ダ」



「そ、そして……?」



「ウン…… 教師ト生徒…… ソンナ関係二成ッテモ、弟ノ様二付キ合ッテクレタ…… ソシテ、アル日、知ッタ」



「何を!?」



「ソノ()()()()()()()()()()()事ヲサ」



「また、捕まる…… と?」



「ソウ…… ダカラ眷属(けんぞく)ヲ創ロウトシタ…… ヤリ方ハ見タ事ガ有ッタカラ…… デモ、説明ヲ受ケタワケジャ無イ…… 危険度(リスク)…… ソレヲ知ラナカッタ」



「リスク……」



「体力…… 精神力…… ソシテ、才能」



「それが無いと……」



「失敗スル…… ソシテ、ソレヲ知ラヌママ…… 君ノ父親二話シタ…… 彼ハ快ク味方ト成ル事ヲ同意シテクレタソウダ」



「お父さん…… 優しい人だったのね……」



「ソウダネ…… 君ヲ見テイレバ解ル」



「有り難う……」



「タダ、ヤハリ…… 才能ノ点デ問題ガ有ッタ…… 失敗シタンダ…… ソシテ、()()()()()



「鬼……」



「アア…… 眷族作リノ過程デ、結論トシテ…… 桜子サンヲ殺ソウトシタ…… ダカラ……」



「殺したのね…… 咲のお母さんを救う為に……」



「結果、ソウナル…… ソウシナケレバ…… 意識ガ無クトモ殺人者ダ…… 自分ノ失敗デ…… 大切ナ人ガ…… ソレダケハ止メナケレバ…… ソンナ思イダッタロウ」



「そう、ね……」



「ソシテ、コレハ僕ノ考エダケドネ?」



「え?」



「眷属二シテカラ…… ()()()二鬼ト成ッタ…… 直グデハ無ク、ダ」



「だ、だから……?」



()エテタンジャ無イノカ? 龍斗サンガ失敗デ…… 傷付カナイ様二ネ」



「解らないわ…… 当事者じゃ無いもの…… そう、当事者じゃ無い…… だから、貴方の言葉を全て信じるわけにもいかない」



「構ワナイ…… ダガ君ハ、モウ【思イ】ヲ受ケ取ッテイルヨ?」



「いつよ!? 【思いを受け取ってる】って!? そんな事無いわ!!」





藍は叫んだ



その藍に対して正反対とも言える表情をライは見せた



実に冷静だった





「イヤ、有ル…… 家二来タ時二、君ハ何ヲシタ?」



「咲子の家に? 食事よ……」



「ソシテ?」



「食器を洗ったわ……」



「ソノ後ハ?」



「チェスを見てた」



「ソウダネ…… ()()()()()()()ロウ?」





藍は目を泳がせて居た


考えを纏める為だろうか……


だが、その目が直後、1点に止まる


その瞳に映っていたのは、ライだった





「え? あの日…… あの日は…… そう言えば、『チェスにはドラマがある』って……」



「ソウ……」



「絆…… クイーンは伴侶…… チェスのシステム…… 味方で居て欲しかった…… 大切だった…… 自分が未熟で相手の事を思ってやれなくて…… 結果、戦場から離れた……」



「君ニハ真実ヲ…… モウ伝エテ居タンダヨ……」



「そんな…… そんな……」





声を震わす藍は、その華奢(きゃしゃ)な両手を口にあてた



悲しみを堪えている



そんな藍の頭に手が乗る



優しくポンポンとライが撫でていた





「コレガ真実ダ…… 後悔シテモ、シキレナイ…… ソンナ気持チデ…… イツモ龍斗サンハ墓参リヲ…… スルソウダ」





今尚、口元を両手で覆っている藍の目が驚きで見開く



何かを思い出した様に、彼女は言った





「お墓…… お母さん、昔言ってた…… ()()()()()()()()で、知らない二つの花が一輪ずつ…… 供えられていたんだけど名前解るかなって…… 調べたら、モルセラ…… そしてキンセンカ……」





ライはニコリと笑う





「ソレハ龍斗サンガ(そな)エタ物ダロウネ……」



「そ…… そんな……」



()()()ッテノガ有ルラシイネ? 僕ハ解ラナインダ…… 知ッテタラ教エテクレナイカ?」





藍の瞳には大粒の涙が(こぼ)れまいとしていた





少しの間が空いた時、藍は言った





「キンセンカは…… 【別離の悲しみ】…… モルセラは…… 【永遠の感謝】……」



「ソッカ……」





そう言ってライは、少し微笑んだ





「僕カラ伝エラレルヨリモ前二…… 君ハ母親カラ伝エラレテ居タンダネ…… 龍斗サンノ【心ノ欠片(かけら)】ヲ……」








藍は泣いた








大きな声を出して、泣いた








ごめんなさい、ごめんなさいと……








パパの名を織り込んだ謝罪をしながら、繰り返し、泣いた








「もうヤメテ!! 龍斗おじ様は悪くなかった!! 何も…… 何も悪くなかった!!」






藍が叫んだ



咲子が藍に微笑む



そして彼女に歩み寄り、頭を撫でた






「ゴメンね咲! ゴメンね!! 私がバカだった為に…… (つら)い思いさせて……」



「いいのよ」





咲子は今も、優しく頭を撫でる



私達の戦いは終わった



咲子と……



これで戦わなくて済む……



そう思った







咲子を見た私は不意に視線を移した様を見る



その瞳はライに向けられた



視線を交わすライは、目を閉じ、首を振っていた



何の合図!?



咲子が私に視線を合わせた



そして言った






「今は17:23…… ()()()()()()()ね……」






タイムリミットってなんだ!?



貴方は何をしようとしてるの!?





「咲…… タイムリミットって……?」





藍が咲子を見る






「うん、真実が伝えられて良かった…… でもね…… まだ、止まれないみたい」



「と、止まれないって!?」



「まだ、()()()()()



「何がよ!? ハッキリ言って!」



「遂行されなければならないのよ…… B……」



「Bって何よ!?」





藍を見ていた咲子は笑顔を向け、そして私に向き直った表情は冷徹だった



B……



プランB!!



プランBが遂行される!!?



あの顔は()()()()()()プランだ!





直後だ





脇腹を抱えたアーサーが叫んだ





「咲子、待テ! 何故ソコマデ【プランB】ヲ実行シタインダ!?」





アーサーに振り向いた咲子が無表情に応える





()()()()よ」



「最善二繋ガルノカ!? ソレガ!!」





アーサーは私を見た



焦りの表情が痛いほどよく解る



切迫した何かが行われる



そう直感した



アーサーが私に叫ぶ





「泉! 逃ゲロ!! プランBハ……」





そこまで言った時だった





アーサーの上半身がすっぽりと【紫色の球体】に飲まれた



全身に鳥肌が()()()()()()






コレは……






ヤバイやつだ……






「コ、コレハ……!? マサカ…… 咲子!!!??」





意外と取れる声を上げるアーサー



だが、直後、その口元までその球体が飲み込んだ



それを見た咲子が口を開いた








「余計な事は言われちゃ困るよ……」


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