第7話 煮えたぎる怒りは収まることを知らない
魔人が襲来してきても、カイト様は非常に落ち着いていた。
いやいや、魔人が攻めてきているんだ!下手したら国が滅ぼされるッ!
〜〜〜
アルドがそう考えたのは間違いではない。
古来より、人類は魔物、特に魔人に苦しめられていた。
そのため、
人類は集団行動をした。
武器を作った。
魔法を開発した。
能力を身につけた。
祈りを捧げた。
そして人類はついに、並みの魔物は倒せるようになった。
だが、それでも魔人は倒せなかった。
彼らは個体一人一人が強く、そのうえ「知性」があったからだ。
それ故、人類との争いは絶えなかった。
そこで一部の人類と魔人は同盟を結び、お互いにお互いの世界に干渉しないよう決められたのだった。
そして今に至る。
だがこの魔人侵攻によりこの均衡が大きく崩れようとしていた。
〜〜〜
幹部たちが慌てふためく中、彼だけは微動だにしない。
いや、むしろ少し笑っているようにも見える。
何か秘策があるのだろうか、、、
ドン・ハーン一行が城壁の見えるところまで侵攻した時、その城壁の上から大勢の人影が見られた。
魔人たちの動体視力を借りてみるに、彼らはその長い棒を持っている。
それだけでなく、大きな円柱も兼ね備えているようだ。
何やら見たことのない物ばかりだ。
成果を挙げて帰らねば!!
名はリチェイン=ユーリアン(47歳)、独身。グレート教幹部「No.5」のうち一人。光を司る。
「この世の秩序を保つ」そのために全てを捧げる男。
このためならなんだってやる。
だからこそ彼の大切な養子を一人、派遣させた。
名をドン・ハーンと言う。
彼は街中の路地裏で発見された。
まだリチェインが当時、グレート教の兵士として街を巡回してた時のこと。
路地裏の隅で、立ったまま微動しない少年を一人、見つけた。
話しかけても、親の所在を聞いても、無言のまま、ただその場に立ちすくむ少年。
何度気にかけようとも口を閉じたままであった。
気味悪いので、そこから立ち去ろうとした時、彼は気づいた。
少年は、涙していた。
確かに、確かに、
音も立てず、静かに、泣いていたのだ。
見捨てる訳にはいかない。
リチェインはその少年を養子にしようと決心した。
寒い日の朝のことであった。
少年は当時5、6歳であっただろうか。
生年月日がわからないので確かめようがない。
だが、それくらいの年で拾われたのだ確かだ。
彼は初め、無口であった。
何事に対しても口を開かず、顔色を変えず、いつも何かに怯えているようであった。
しかし、共に生活するにつれて心を開いていき、
いつしか少年はグレード教の重要職に着いていた。
正義感が人一倍強く、誰とでも親しく話すことのできる温厚な人柄である。
ドン・ハーン(21歳)
その頃にはリチェインも最高幹部の一人となっていた。
最高幹部職となり、慌ただしい日々が続く。
そのせいもあってか、だんだんとドン・ハーンに対して当たり強くなっていた。
彼をグリーニィ国へ送ってから18日目、遂に彼が帰ってきた。
しかし、付き添いの大男の魔人たちは疲れきっており、
眼帯をつけているもの、足を引きずるもの、流血しているもの多数。
当の彼は、全身ほとんどを布で巻き付けてられていた。
魔人たちは皆泣いていた。
リチェインは怒りで震えた。
なんか悲しい話になりやした。




