表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/62

024 身分証を作ろう

人間、テンパると大した質問が出来ない事が判明した。

俺だけじゃない、他の四人も困っている。


『さて、話は終わりか?』

「あっ、えっと、どうでしょう? サイデル、何かあるか?」

「えっ?! 私ですか?! い、いえ、ありません」

「そこの二人は?」

「「ありません!!」」


領主さんもテンパってるし、サイデル師団長も困ってる。


『それで、こいつの身分証は作れるのか?』

「はい! 私の権限で作成致しますので、ご心配されませんように!」

『心配などしておらぬ。少し気になっただけだ』


う~ん、この会話、傍から見てるとツンデレっぽく思えるな。

でもドラゴンの内情は「こいつが街に行けないといつまでもここに居るだろ!」だと思う。

ついでに「人間に討伐に来るなと言え!」ってのもあるだろう。そしてそれは俺の任務になりそうだ……。


「では早速戻り、準備をしたいと思います」

『そうか。では我が送ろうか』


ドラゴンが送るだと?!

俺の時は自力で行け!だったのに!!


「いえいえいえいえ!! 滅相も御座いません!! バトリエル殿にも来てもらわなければなりませんし!!

 来た時と同じようにバトリエル殿に送ってもらえたら幸いです!」

「俺ですか? いや、良いですけど」

「悪いが頼む。という事なので、ご遠慮させていただきます」

『そうか。判った』


って事で、俺がまた皆を運ぶ事になった。




で、暗くなる直前には戻れたんだけど。

全員で領主さんの館に来ております。

俺以外の面々は、めちゃくちゃ暗いです。どうしたん?


「疲れた……怖かった……死ぬかと思った…………」

「や、優しいドラゴンで良かった…………」

「大変な事を沢山聞いてしまった……どうしよう…………」

「……人間ってちっぽけな存在だなぁ…………」


凹んでる! 見事に全員凹んでるよ!


「え~と……」

「ん? あぁ、そうだった。

 手続き等は明日やる。今日は俺の屋敷に泊まってくれ」

「あ、ありがとうございます」

「晩飯も用意させる。服も色々支給しよう。風呂もあるから、入って良いぞ」


食事、服に寝る所、更には風呂まで!

あざーっす!


「皆も今日はご苦労だった。もう解散しよう。

 悪いが明日また来てくれ」


こうして本日は解散になった。


人間の文化的生活ってサイコー!




翌日。

朝から手続きが始まった。

俺の身分は領主さんが保証する形で決着するようだ。

ただし、ドラゴンの事は記録されるらしい。最も、特殊な方法で記載するので、資格のある人しか判らないらしい。


「後、悪いけど、ドラゴンの事とかドラゴンに聞いた事とか、国に報告するから」

「別に良いですけど。それって俺の許可要ります?」

「ドラゴンに会った経緯とか、お前の事無しでは説明出来ないだろ?」

「確かに。納得です。でもなるべく広まらないようにお願いしたいですね」

「そこは大丈夫だ」


目立ちたくない、なんてラノベっぽい理由じゃないよ?

広まる事でドラゴンに会いに行く人が出てくる可能性があるからだ。

それで俺のせいにされたらドラゴンに怒られるじゃないか!

ドラゴンの機嫌を損ねたくない。まだまだ聞く事は沢山あるんだからね!



昼前には身分証が作られた。

これで俺もこの国の人間になる。

長かったぜ。ラノベのように簡単に受け入れてくれたら良いのにな。


「お前の持っている、ドラゴンからの預かり品なんだが」

「はいはい。ここで出しますか? 倉庫?」

「違う違う。

 基本的に、全てドラゴンの所有物扱いになるだろう。だが、返却を希望する者も居るかもしれない。

 その者には返却せずに売却して欲しい」

「なぜです? ドラゴンは返せと言ってましたけど?」

「ドラゴンに与えた迷惑の賠償金だと思え」

「でもドラゴンはお金なんか要らないと思いますよ?」

「その金はお前が受け取ればいい」

「横領ですか?」

「違うわ! ドラゴンに頼まれて運搬した運搬費、返却にかかった手数料、宿に泊まったりした経費、だと思え」

「詭弁では?」

「どうせ金は必要になるぞ。素直にもらっておけ。どうしてもイヤなら帰った時にドラゴンと相談しろ」

「そうします」


話し合うのが一番だ。

人間関係が壊れるのって、お金の問題が多いからね。


「それでだ。お前には悪いが王都まで行ってもらいたい」

「王都へ? 何故?」

「ここではどうやって返却していいかわからん。持ち主の探しようも無い。

 王都にある冒険者ギルドの本部が適任だ。そこでやってくれ」

「そういう事なら」

「手紙を作るからそれを持っていけば受け付けてくれる。

 あっ、そうそう、王都までは馬車を出すから、それに乗ってけ。ってか俺も行くから付いて来い」

「領主と一緒ですか?!」

「ああ。護衛料も払う。お前が居れば安全だろ? 頼むわ」


領主さんと王都に行く事になりました。

楽しみかも。どんな知りたい事が待っているのだろう?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ