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025 貴族の悪事

出発は2日経ってからだった。

行く人は、俺と領主さん、そして御者の人……。

たった3人?!


「3人で行くんですか?!」

「お前が居るから大丈夫だろ」

「いやいや、護衛くらい必要でしょ! ほら、師団長さんとか」

「あいつはもう先に行ったぞ」

「え? 何で一緒に行かないんです?」

「いくらドラゴンの事とはいえ、いきなり行って陛下に会える訳が無いっての。

 先触れを出すのが当たり前。~~の○○が△△の話があるので会って頂けますか?ってな」

「それって断られる事もあるんですか?」

「断られる事の方が多いぞ。陛下は忙しいから、領地の細かい事なんか相談されても迷惑なだけだ。

 何の為にある程度の裁量権を貴族に持たせて管理させてるんだ、って事になる。

 頻繁に来るようなら管理能力を疑われるわ」


そりゃそうか。


では、気になる事を聞いてみよう。


「その裁量権を悪用してる貴族とか居るんでしょ?」

「まぁ、大なり小なりしてるだろうな。ぶっちゃけ俺もしてる」

「してるんだ! 外道!!」

「失礼だな! 貴族様だぞ!」

「そんなサイトーさんだぞみたいに言われても。だって領民をイジメたりしてるんでしょ?」

「アホか! そんな事して何の意味があるんだよ! 税収が下がるだけだろうが!」

「だから税金上げたりするんでしょ?」

「一定以上になると、いくら上げても変わらなくなるんだよ!」

「そうなんですか?」

「当たり前だ。高くて50%が限界だ。

 芋が100穫れるとしてだな、50%で50を持っていくとするだろ?

 残りの50で生活する訳だが、次の為に種芋として半分の25は必要になる。そうなると生活に使うのは25だけ。

 25だと売る事も出来ず、それを食べて生活せざるを得ないだろう。

 そうなると生産能力が落ちるんだよ。この土地から出ていく者も出るだろう。

 で、来年の収穫が80になったりする。で50%だと40で、種芋に25で、残り15。生活無理、ってなる。

 実際はもっと細かいが、実際は15~20%くらいの税金になってる」


へ~、そうなんだ。


「なるほどね。で、どんな悪事を?」

「少しは貴族の大変さにも興味を持ってくれよ……。

 後、悪事って言うな。少しだけ国に報告する数値を誤魔化してるだけだ」

「何でです? 私腹を肥やすため?」

「備蓄する為だよ! 貴族はな、国から金貰ってんだ。領地からの税金は国に行くんだよ。

 でも丸々渡してたら備蓄なんか出来ないだろ? 自然災害が起きた時に対処する為の備蓄だ。

 これは領地持ちの貴族ならやってる事で、暗黙の了解みたいになってる」

「その備蓄を売って、その金を懐に?」

「入れてどうすんだよ。次の年に新たな備蓄が出来るから、その時に前の備蓄は確かに販売する。

 だが、その金は備蓄にかかる金にするんだよ。

 氷室を作ったり、雪を入れる人件費だったり、販売時の運搬費だったり人件費だったり。

 それらは経費で計上出来ないからな。

 余れば領地の整備に使うぞ。国からの金では足りない場合もあるからな」

「へ~」

「聞いといてその返事かよ!」


だって、ラノベのような悪事を期待してたんだもん。

面白くない回答だったから、興味が無くなったんだよ。

貴族じゃないから領地経営とかしないし。


「もう俺の事はいいから。それよりもお前の話をしてくれ。

 ドラゴンに師事するなんて、ありえない話だからな」

「いいですけど。長くなりますよ?」

「構わん。どうせ2週間は一緒に居るんだ」

「王都まで2週間もかかるんですか?!」

「そうだぞ? あっ、今運ぼうとか考えただろ! 止めろよ? 騒ぎになって余計時間がかかるからな?!」


ちっ、先読みされた。


「じゃあ俺たちの乗ってる馬車を少しだけ軽くしましょう。

 そうすれば速度も出せるでしょう」

「それは良いかもな。頼む」


馬車にかかる重力を少しだけ軽くする。

浮くほど軽くすると、ちょっとした段差でひっくり返ってしまうからね。

ラノベでよくある少しだけ浮かせる魔法とかと違って、そんな便利な魔法じゃないんですよ、重力魔法。

まぁ、少しだけ浮かせるってのも意味わからんけど。

浮かせた高さよりも高い段差とかあったらどうするんだ? それに合わせて動くのか?

それに、重さそのままで浮いてたらカーブに来た時に、遠心力でドリフトみたいになるぞ? いやジャックナイフか?

それとも慣性の法則とか無視出来る程の、凄い魔法なのかな?

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