閑話 ランキング掲示板 ー謎の空白ー
本館一階の廊下。
そこには、いつも人だかりができている場所がある。
掲示板。
剣士学園の上位50名のランキングが張り出されている場所だ。
それ以下は学年単位でのランキングとなる
いわば、この50名のみが学年を超え認められたものとなる
紙はまだ新しい。
つい先日、更新されたばかりだからだ。
「おい、見た?」
一年生が背伸びして言う。
「見た見た」
隣の友人が答える。
「やっぱり本山先輩だよ」
掲示板の一番上。
一位。
本山 雪
その下。
二位。
鷹宮 蓮
三位。
湊川 澪
その後には、三年生の名が連なる
そして 十七位 空欄。
一年生が首をかしげる。
「なんで ここ空白?」
別の生徒が言う。
「知らないの? 決勝本戦は十六名 それ以外と言えば…」
少し声を落とす。
「春日」
周囲が少し静かになる。
「え、でも」
「参加資格なし、って書いてある ランク外てこと?」
「だから、あえて空白なんだよ あいつ、予選無敗だぜ」
掲示板の端には 小さく貼られた紙。
そこには簡単に書かれている。
―右のもの帯刀せず試合に臨んだため
順位に関わらず 参加資格なしとする―
下に一行。
春日
一年生が困った顔をする。
「でもさ」
少し間。
「あいつ、強かったよな」
別の生徒が言う。
「あの演舞試合…決勝より盛り上がってた」
「澪先輩との試合?」
沈黙。
その時。
廊下の奥から足音がした。
春日だった。
木刀袋を左手に持ち歩いている。
掲示板の前を通る。
視線は向けない。
そのまま通り過ぎる。
一年生が小さく言う。
「見ないんだ」
隣の生徒が答える。
「たぶん」
少し考える。
「知ってるんじゃない?」
春日の背中は、もう廊下の角を曲がっていた。
掲示板の紙が、少し揺れる。
そこには、空白の順位が残っていた。
まるで――
まだ、誰かを待っているように。
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数日後、掲示板の張り紙に落書きがされていた
空白欄に「かすが」
ひらがなで書いてある
それを見つけた澪が一言
「落書きって、子供かい…」
「素直じゃないけど」
澪は少し笑う。
「漢だね……蓮先輩」




