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085 和解

「どういう……ことかな、レン!?」

 そこで僕かよ!と僕は心の中で叫んだ。

 どう考えてもそのツッコミを口に出すだけで、陽菜ちゃんが瞬時に纏った怒気のオーラが僕に向けられるのは間違いない。

 落ち着いて納得出来る言葉を探さねばと思っている間に、ゆっくりゆっくり陽菜ちゃんの首が動き、徐々に顔が正面を向きつつあった。

 このまま顔が向ききる前に、状況から逃れたいという思いで、僕は無理矢理口を開く。

「あー、えーと、あれだよ。ヤヤは学校に関する知識がゲームからしかないんだ。ヤヤはコレまで学校に通うタイミングもなくて、それでゲームで勉強してきたんだよ。その、多分だけど、負けヒロインというのもゲームの話……だよね?」

 自分がしどろもどろになっているのを自覚しながらも、僕はどうにかヤヤに問い掛ける形に着地した。

 すると、ヤヤは僕と陽菜ちゃんを見比べた後で、ぺこりと頭を下げる。

 想定していなかったヤヤの態度に、陽菜ちゃんは意表を突かれたのか、「へ?」と戸惑いの声を上げた。

 対してヤヤは頭を下げたままで、謝罪の言葉を口にする。

「失礼な言葉みたいだね。侮辱する意図はなかったんだ。許してほしい」

 戸惑いが拭えないまま、ヤヤの謝罪に対して、陽菜ちゃんは「え……ま、まあ、それなら仕方ないよね……」とこちらに視線を向けてきた。

 とはいえ、僕が同行できる話ではないので、申し訳ない気持ちを抱きながらも、首を左右に振ると、陽菜ちゃんは「あーーもーー」と眉根を寄せて、自らの頭を乱暴に掻く。

 その後で、強く目を閉じると、陽菜ちゃんは気持ちを改めるための長いため息を吐き出した。

 息を吐きだした姿勢のままで数秒間固まっていた陽菜ちゃんは、ゆっくりと目を開けて、頭を下げたままのヤヤに視線を向ける。

 それから、落ち着いた口振りで、ヤヤの肩に手を置きながら、陽菜ちゃんは「許す、許すよ。でも、次、『負けヒロイン』って言ったら許さないからね、ヤヤ」と笑みを見せた。

 陽菜ちゃんの言葉を受けたヤヤは、ガバッと顔を上げる。

 そして、その勢いのまま、ヤヤは陽菜ちゃんに抱き着いた。

「ありがとう、許してくれたのも嬉しいけど、陽菜が、ヤヤって呼んでくれたのが嬉しいよ。これがクラスメイトってヤツなんだな!」

 興奮気味に言うヤヤの勢いに押されてか、頬を染めながら顔を反らした陽菜ちゃんが「違うわよ」と切り返す。

「違うのか?」

 戸惑いというよりも落胆と言った方が合いそうな表情を浮かべるヤヤに、反らした顔を元に戻し、顔の正面を向けた陽菜ちゃんは会心の笑みを浮かべた。

「友達、よ」

 陽菜ちゃんのセリフを耳にした直後、ヤヤは呆然とした表情を見せる。

 が、間を置かずして「お、お、お、お」とただ一音だけを繰り返し始めた。

 その妙な反応に、浮かべていた笑みを消して、困り顔で陽菜ちゃんは「ヤヤ?」と声を掛ける。

 陽菜ちゃんの呼びかけに対して、ヤヤはその両手を自らの手で包み込み、興奮気味に上下させた。

「そうか、友達か、友達になってくれるのか、凄い、なんか凄いな、レンタ!」

 ヤヤが僕の名前を呼んだことで二人の視線が僕に向く。

 僕はどう返せばいいのか、すぐにまとめられなかったので、諦めて浮かんだまま行動することにした。

「良かったね、ヤヤ……陽菜ちゃんも、ヤヤと友達になってくれてありがとう」

修正報告

2021.08.23

前:息を吐きだした姿勢のままで数謬巻固まっていた陽菜ちゃんは、ゆっくりと目を開けて、頭を下げたままのややに視線を向ける。

後:息を吐きだした姿勢のままで数秒間固まっていた陽菜ちゃんは、ゆっくりと目を開けて、頭を下げたままのヤヤに視線を向ける。


前:「違うのか?」

後:「違うのか?」


前:防戦とした

後:呆然とした


前:介せばいいか

後:返せばいいのか、

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