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059 差異

 エルの試作機であるイヴを僕は小学校高学年か、中学生位だと思ったが、どうやらその印象は間違えていなかったようだ。

 ヤヤの説明によれば、エルを造る前段階として、アダムをベースに、最も身近な自分のデータを組み合わせて造り上げたのが、イヴらしい。

 それも、12歳10か月の頃だそうで、僕の見立ては的中したのだが、目算がバッチリ当てはまってしまったがゆえに、自分に何か変態的な能力があるような気がして、当たってしまうとそれはそれで複雑なものがあった。

 ちなみにだけど、彼女、イヴが投入されたのは、今来ているスーツの着脱の手伝いのためらしい。

 アダムだと力加減を間違うかも知れないとヤヤは言っていたが、その話を聞いて、僕を水槽に突き落としたのを思い出した。

 僕の漫画知識に依れば、人間に対して危害を加えてはいけないって言うものが、ロボット三原則にはあったと思うけど、そもそもアダムがそれを搭載しているかは知らない。

 ヤヤに聞いても良いのだが、代わりにイヴを手配してくれている当たり、搭載されていない可能性を考えると、触れない方が良いような気がして、敢えて質問はしなかった。


「ミスター、腕を地面と水平になるように挙げてください」

 イヴからの指示の口調は、とても機械的だった。

 一方で、その力は人間離れしている。

 身長で言えば、僕より頭一つくらい低いのに、隙間無くピッタリと張り付いたスーツをいとも容易く僕の体から引き剥がしてしまった。

「あ、ありがとう」

 とりあえず、スーツが剥がされて、久々に空気に触れた感覚を確かめつつ、脱がせてくれたイヴに礼を言う。

 が、特に反応を示さずに、黙々とスーツの片付けをするイヴに、改めてエルが凄かったことを痛感した。

「エルって、すごかったんだなぁ……」

 思わず出た心の声に、ヤヤが自慢げに「ふふーん」と鼻を鳴らす。

 それから胸を反らせてヤヤは自慢げに言い放った。

「私の最高傑作だからね、エルは!!」

 僕はそんな誇らしげなヤヤの姿に思わずにこやかな気持ちになりながら、僕は同意する。

「確かに、エルの歌声はすごかった。慣れればもっとうまく引き出せると思う」

 僕が頷きながら返した言葉に、ヤヤは「そうだね!」と嬉しそうに頷いた。


 そうして、僕との会話が一段落したタイミングで、ヤヤは大きめなタオルを差し出してきた。

「レンタ、今日はもうリンクテストはしないから服着てきて」

「あ、ああ」

 タオルを受け取って上半身に掛けると、既にスーツの片付けを終えていたイヴが僕の前に立つ。

「えーと……」

「案内します、ミスター」

「ああ、ありがとう」

 固く響く無機質なイヴの声に同意すると、声の主はひらりと踵を返した。

 エルの方が外見は幼くともコミニュケーション能力は高かったので、イヴはとても無愛想に見える。

 僕はともかく服を着ようと、タオルの前を合わせつつ、イヴの背中を追いかけた。

修正報告

2021.06.11

前:間違えなかったようだ

後:間違えていなかったようだ


前:人間に対して着替えを加えてはいけない

後:人間に対して危害を加えてはいけない


前:ロボット三原則には合ったと思う

後:ロボット三原則にはあったと思う


前:慎重で言えば、

後:身長で言えば、


前:ややは自慢げに言い放った

後:ヤヤは自慢げに言い放った

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