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049 Question

 新たに追加された映像枠の中心には、無数の機械が繋がった巨大な椅子が設置されていた。

 その椅子の上に幼女『エル』の姿がある。

 僕はそ(・)れ(・)が(・)誰(・)か(・)理解した上で、右手、左足、左目と動かしていけば、自分のイメージそのままに、エルが動いた。

 その連動具合を良しと思ったのであろうヤヤが、大きく頷く。

『どうやら、完全に成功みたいね、エル』

 ヤヤの言葉に、僕が大きな頷きで応えると、彼女は直ぐに次の指示を出した。

『それじゃあ、早速だけど、立ってみてくれる?』

 僕はエルの体を操って、言われるままに椅子から降りる。

 普段の体と違いエルの体だからか、椅子から地面に足を付いたところで数歩よろめいてしまったが、どうにか立つことが出来た。

『いいわね。それじゃあ、エル……』

 続けざまにヤヤの指示が放たれようとしてたが、コレを僕は慌てて制する。

「ちょっと、待って、ヤヤ」

 僕の静止を求める声に、ヤヤは少し驚いたような顔で固まってから、幾度か瞬きをした。

 それから『その声で、ヤヤって言われると、なんだか不思議な気分になるね』と気恥ずかしそうに笑う。

 そんな不意打ち気味のヤヤの笑顔に、意識を持って行かれ掛けた僕だが、無理矢理頭を振って、気持ちを立て直した。

「や、ヤヤ。確認したいんだけど、僕が今エルの体を動かせているのはリンクが成功したからだと思うんだけど、その、この体って、エルのもの、だったよね?」

 事前の説明では、僕が意識をエルの体に同調させて、その体を動かす実験だと説明されている。

 そして、僕はエルの声を得て、歌声を取り戻すという計画だった。

 説明を受けた時は、歌声を取り戻せることに意識が向かう余り気が付かなかったけれど、今、この体の持ち主であるエルの状態が急に気になってきている。

 だから、それをそのまま問いにした。

「その、エルの意識ってどうなっているの?」

『私は何もしていないよ』

「ん?」

 ヤヤの返してきた言葉が上手く理解できない。

「えーと、どういう意味?」

 僕の再度の問いに、ヤヤは少し考えてから、答えを返してくれた。

『つまりー、特にエルの機能を停止したりはしてないから、意識もあるはずだよ』

 ヤヤの説明を受けて、僕は「え……」と言葉に詰まってしまう。

 それってつまり、黙ってるだけ?

 僕がそう考えた直後に、エルの声が響いた。

『はい……その通りです』

 すると、ヤヤが『あ、ほら、エルの意識はあるでしょ?』と、自分の言葉の正しさに胸を張る。

 そんなヤヤのリアクションよりもエルの行動の理由の方が気になったので、悪いけど無視させてもらうことにした。

「なんで、黙ってたの?」

『はい。私が発言をすると、レンタさんの思考の邪魔になるかと思いまして……』

「いや、大丈夫だからね、気にしないで、むしろ、その、僕がエルの体を動かしてる間、嫌なことがあったら言って欲しい!」

『はい。レンタさんがそう仰るのでしたら……』

 僕の言葉に納得してくれたというよりは、僕の意思というか、命令を了承した風に感じられて、微妙な気分になる。

 その気持ちは、ヤヤの楽し気な声で、さらに微妙なものへと変わった。

『なんだか、カメラ映像は、まるでエルが一人芝居をしてるみたいで、なんだか楽しい気持ちになるね』

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