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034 驚愕

「おまえかあああああああいっ!」

 僕が思わずそう叫んでしまったのは、教室に現れたのが、予想したヤヤでは無くアダムだったからだ。

 だが、期待を裏切られたせいで反射的に突っ込んでしまった僕の行動は完全に浮いてしまう。

 気が付けば、教室に現れたアダムではなく、僕に向けて視線が集中していた。

 そんな教室の注目が僕に向く中で、アダムはマイペースに挨拶をしてくる。

「おはようございます。レンタ」

 すると、一度、アダムを振り返った教室全体の目がほぼ同時に僕に戻ってきた。

 その説明を求める教室中の視線に、僕はしまったと自分の行動のうかつさに目眩を覚える。

 だが、混乱はそこで終わりではなかった。

 ひょいっとアダムの後ろからヤヤが顔を出したのである。

「ヤヤ!?」

「あー、レンタ、昨日ぶり~~」

 にこやかに手を振られて、名前まで呼ばれてしまえば、最早、ごまかしようがないと僕は悟った。

 そもそもうかつにも、名前を呼んでしまった僕の落ち度なのだが、クラス全員に説明しなければならないと思うと、自然と大きな溜め息が口からこぼれ出る。

 とりあえず、ヤヤに軽く手を振り返して、僕はさっさと席に座ることにした。


「上野(うえの)八弥(やや)です、よろしく~~」

 我が校の制服に身を包んだヤヤが、笑顔でクラスに向かって手を振った。

 一方、手を振られたクラスも、担任の二谷先生も、何も言うことなく、ヤヤのフルネームを漢字で黒板に書き、その背後に控えたアダムの方に意識を向けている。

 本人はヤヤの影に隠れてるつもりかも知れないけど、ヤヤの倍近く巨大な大男が隠れられるわけもなかった。

 そのあまりにもシュールな情景に、皆の目は答えを求めてアダム、ヤヤ、二谷先生の三人の間を彷徨う。

 動揺するクラスの様子を目の当たりにした二谷先生は、覚悟を決めるように咳払いをすると、普段見せないどこか動揺した様子でヤヤに問い掛けた。

「あー、その、上野……さ(・)ん(・)、彼は誰かな?」

 生徒は呼び捨てることの多い二谷先生が『さん』付けをしただけで、違和感はもの凄い。

 だが、二谷先生も恐らくクラスの面々も、そんなことを気にする素振りは見せなかった。

 それよりもヤヤが返すであろう答えの方に気になっている感じがする。

 自分の後方へと少し振り返って、チラリとアダムを見たヤヤは、視線を二谷先生に向けると「彼……って、アダムのこと?」と首を傾げた。

「そ、そうだな。さっき職員室では同行してなかったからな……その、アダムさんは上野さんとどういう関係で、何故ここにいるのかと思ってな」

 いつもとは比べものにならないほど丁寧な口ぶりの二谷先生は、ヤヤと会話しながらも、意識はアダムから離さない。

 二谷先生の危機感がどこに向いているのかありありと感じられる態度だった。

 普段から生徒は俺が守ると言っているだけに、アダムが何かしても動けるようにという意識の表れなんだと思う。

 説明を受けていない部外者がいるのだから、警戒するのは当たり前だし、身構えていないと咄嗟に対処出来ないと二谷先生は判断しているのだろうけど、正直、ロボなそいつには勝ち目はないですよと言っておきたいところだった。

 昨日易々と秘密基地な廃墟遊園地の侵入者をいとも簡単に放り出しているし、僕やヤヤを腕の力だけで固定して空を飛ぶようなヤツなんですよと耳打ちして教えたい。

 現実逃避気味にそんなことを考えながら、僕は成り行きを見守っていた。

修正報告

2021.05.23

前:ヤヤに軽く手を振り替えして、

後:ヤヤに軽く手を振り返して、


前:そんなことを考えながら現実逃避気味にそんなことを考えながら、

後:現実逃避気味にそんなことを考えながら、

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