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実は召喚したくなかったって言われても困る  作者: 極楽とんぼ


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384/1421

384.ちょっと寄り道な開発の為の迷宮散策(14)

「今日は荷物が多いな?」

3日ぶりに会ったデヴリンは隆一の引っ張ってきた運搬具リヤカーの中を覗き込んでコメントした。


「ちょっと今日は、道具さえあれば何とか一人で集団戦に対応できるかを確認する為の最終テストっていうところかな?

だから今日は岩場ではなく普通の平地部分で戦ってみたいから、もしもの時はよろしく」


隠密効果のあるテント用品と言ったような物が無いとのことだったので、隆一は足止め用魔道具に目隠しと魔力隠蔽の効果を追加できないか色々と試行錯誤したのだが、イマイチ実用的な物は造り上げられなかった。


なので視点を変えて、もっと単純に魔防布へ目隠しの効果を足した物を大型テントの様に足止め用魔道具の内側に広げてみることにしたのだ。


少なくとも魔力感知だと魔防布で覆った足止め用魔道具の奥に人間がいるのは分かりにくくなった。

ただし、内側にいる人間にとっても魔防布で覆われていると魔力感知が働きにくい為、更に布の向う側が見えないとなるとかなりのストレスとなる。


なのでミラーカーテンのような感じに内側からは見えて、外からは見えにくい形に加工できないかと色々とレースカーテンの編み方を研究することになったのだ。


多少夜更かししてしまったものの、一応何とか形になる物が出来たのでこれで上手くいったら取り敢えずシールドバッシュもどきな魔道具関連の開発は終わりという事にするつもりな隆一だった。


現実的な話としては、マジックバッグの様な容量を度外視出来る運搬手段が存在しない為、普段から『もしもの時の為』としてシールドバッシュもどきな魔道具だけでなく魔防布のカーテンやそれを吊るす器具などを持ち歩くことはまずないだろう。

そうなるとうっかり隆一が仲間とはぐれた場合も自分一人で魔物の群れに対応することはまず不可能なのだが・・・少なくとも、何らかの理由があった場合は隆一が一人でも魔物の群れに対応することも理論上は可能になるので隆一の選択肢が増えたと言えよう。


そう考えると、一応探索者ギルドの本部に金を払ってロッカースペースを借りておいて必要な魔道具や小物をそこに常時入れておいた方が良いかも知れない。


まあ、考えようによると下手に『なんとか出来るかも知れない』と思うとそこで思考がストップしてしまって不必要なリスクを取ってしまう可能性もあるが。


「いざとなったら襲ってくるのを全部倒しちまえば良いんだから構わんが・・・なんなんだ、これ?」

デヴリンが魔防布で造ったミラーカーテンを軽く手に取って尋ねた。


「レースのカーテンっていうのは織り方次第で明るい側から覗き込むと光が乱反射して中が見えなくなる様な生地を造るのも可能なんだ。

で、これはそれを魔防布で再現した物。

一応、これを内側に広げることで足止め用魔道具の向う側から見ても中にいる俺たちが見えず、魔力も感じられなくって魔物が寄ってこないように出来る・・・と期待している。

まあ、試してみて上手くいったら万々歳ってところだな」

上手くいったら隠蔽効果のあるテントとして売り出すのもありかも知れない。


内側でランプを灯したりしたら駄目だが。


◆◆◆◆


「へぇぇ、本当に中からなら外が見えるんだな」

13階に着いた隆一は適当な空き地で足止め用魔道具を上の開いた台形のような形に展開し、その内側にテントポールのようなものに魔防布で造ったミラーカーテンを掛けた。


単に側面にかけただけだとカーテンの両側がほぼ同じ明るさだったせいか微妙にカーテンの向うを見づらかったが、天井部分までグレーのカーテンで覆ったところで内側が多少外側より暗くなり、一気にカーテンの向う側が見やすくなった。


「しかも、確かに中に人がいるのは分かりにくい」

台形の外に出て中を覗き込んでいたダルディールが戻ってきて報告した。


「まあ、消臭効果は無いんで完全に魔物から姿を隠すのは無理だが、今回みたいに寄ってくる方向を限定したい時には使えるんじゃないかと期待している」

魔物が近づいているか確認する為に魔防布の外へ首を出しながら隆一が言った。


「それは普通にマントに包まってごろ寝する場合だって同じだ。

これでテントを造ったら中々良いんじゃないか?

どのくらいの原価になるんだ?」

デヴリンが布を指でこすりながら尋ねた。

それなりに薄いので防御性は無いが、外が見える上に魔力感知に引っかからないとなれば、階層によってはかなり便利な道具になる。


まあ、夜番の人間が外にいたらそいつに魔物が寄ってくる可能性があるし、かといって薄暗くしているテントの中でじっとしていたら交代で当番制にしていてもうっかり転寝うたたね)してしまいそうで別な意味で危険かも知れないが。


「う~ん?

まあ、普通の魔防布をちょっと特殊な織り方で造るだけだから極端には高くないんじゃないか?

お、来たわ。

取り敢えず、手を出さずにどうなるか様子を見ていてくれ」

コボルトが近づいてきたのを感知した隆一が、一番前の個体に氷矢アイスアローを放つ。


ちょっと斜めな角度になったせいか足止め用魔道具と魔防布で囲った台形の中に隆一が引っ込んだらコボルトたちは一瞬混乱したように足を緩めたが、隆一が視野に入りやすい様に左へ一歩動いたらすぐに突進してきた。


氷矢アイスアロー!」

もう一体倒す。


そしてシールドバッシュもどきな魔道具を起動。

ボンボンボンボンボン!

「ギャァアウ!!!」


ヨーヨーがコボルトを押し戻し、うまい具合に破裂したヨーヨーから飛び散った生姜入り粉が目に入ったのかコボルトが悲鳴を上げて更にもう一歩下がる。


お蔭で近づいてきたコボルトの群れは台形の入り口で足止めを喰らい、一部が横にずれたものの行列みたいな形になり、横に回って他の部分から突っ込んでは来ようとはしなかった。


「へぇぇ、本当にこっちにこないな」

デヴリンが低い声でコメントした。

魔道具の向う側の傍にいたコボルトの一体が耳をそばだて、デヴリンの方へ来ようとして魔道具に捕らえられる。


どうやら臭いだけでなく音も気を付ける必要があったようだ。


(すまん)

ちらりと振り返った隆一にデヴリンが身振りで謝る。


とは言え、他のコボルトは魔道具に捕らえられた仲間を不思議そうな顔で見ていたものの、そこに更に突っ込もうとはしなかった。


魔物の知性の限界というところだろうか?

人間だったら仲間が突然ある場所から動けなくなったらその周辺を調べるものだが、魔物はそれに好奇心を感じる知性は無いらしい。


まあ、もっと低層まで行ったらどうなるかは不明だが。


取り敢えず、少なくともこの階層ではシールドバッシュもどきな魔道具とおまけ道具は集団戦に有効と言って良いようだ。


また、変に音をたてさえしなければ魔防布で造ったミラーカーテンだけでも一時的には横から攻撃されない効果がありそうだ。


寄って来た魔物が多すぎて押しあったり、それこそ目に刺激物が入ってよろめいた魔物が転がったりしたらカーテンに突っ込んでくる可能性があるので結界無しでカーテンだけというのは非常時だけの最終手段だろうが。


テント替わりに怪我をしたとか疲労困憊してどうしても休む必要がある時なんかに使うのに良いかも知れない。

うっかり意識を失っても起きるまで無事に襲われずに済む可能性が高まる。


怪我をしているなら血の臭いを何とか消す必要があるだろうが。


シールドバッシュもどきな魔道具よりも魔防布で造ったミラーカーテン生地の方が応用性があって売れそうなのは、研究にかけた日数とエネルギーを考えるとちょっと複雑な心境な隆一だった。




やっとシールドバッシュもどきな魔道具関連の開発は終わりです。

シールドバッシュもどきは隆一の自己満足(一人でも何とか出来るようになりたい)の道具ですが、ついでに開発した派生商品の方が色々売れそうw

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