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Q.抱きついたのは誰?

「えーと・・・、まずどこから説明しましょう。なにを説明してほしいですか?」

「全部」

ですよねぇー・・・。

んー・・・、どうしたものか・・・。

「まず、最初にまーくんの事なんですけど、まーくんの素はあれです。」

「あれ、と言うと・・・」

「はい、おねえ言葉のほうですね。」

「へぇー・・・」

あれ?あんまり驚いてない?

私が宮谷の様子に首を傾げると宮谷がこちらに気づいた。


「なんで驚いてないの?って顔してるね。まぁ、一応びっくりはしてるんだけど誠くんとはそんな繋がりなかったしむしろ納得って感じ。いくら幼なじみだとしても君たち妙に距離が近かったからね。」

「多分、家柄的にも私とまーくんは一緒にいることが多かったので私の口調がうつったのかなぁ、と。」


まだその頃は幼かったしね。でも今思えば私、前世を思い出す前から私少し大人びてたかも・・・。

もう少し早く記憶が戻ってればあんな奇行やあんな発言しなかったのに・・・!!


え、記憶が戻っても戻ってなくても変人なことには変わりないって?・・・しばくぞ?


「なるほどね。まぁ、そっちは納得いくんだけどさ・・・」

「はい。」

「すみれちゃんのその口調の違いはなんなの?」


あーーー、あーーーーーー、あ"ーーーーーーーーーーー!!

そ、こ、突っ込んじゃう?!!やっぱそこ聞いちゃう??

いや、でもここは正直にね、答えちゃおっか!

誤魔化してもいいことないよね!特にこの男相手だとね、


「いや、桃ちゃんがあまりに可愛かったもので・・・。

私、桃ちゃんが同性で初めてできた友達なんです。」

少ししんみりした感じでか弱そうに言ってみる。

どうだ!必殺流し目攻撃!!!

前世の私だったら鼻で笑われたこの攻撃も今世なら威力十分だろう!!


「・・・まぁ、それは分かった。初めてできた友達だからっていうくだりは理解した。」

お、おぉ・・・!宮谷、物分りが良くて感謝ー!!

よし、じゃあ話はこれでおしまいかな?


とかちょっと調子に乗って浮かれてた私は次の瞬間冷や汗をかきまくることになる。

「でもさ、すみれちゃんは桃ちゃんといる時が素でしょ?」

「え?」

私は無意識に自分の声が出てしまっていたことに数秒たってから気づいた。

「だって桃ちゃんといる時の方がのびのびしてたしキラキラしてた。でもね、桃ちゃんといる時のすみれちゃんが素だとなると俺は一切すみれちゃんの演技を見破れなかったことになる。」


と、ここまで言い切った宮谷は私の顔を見てにこ、と愛想よく笑う。

だからその笑顔怖いって・・・。


「こんなこと俺、初めてなんだよねぇ。すみれちゃん、本性隠すの上手じゃない?」

ぎくっ・・・!

ま、まさかの仮面スキルがここで仇となってしまったぁぁぁぁ!!!!

宮谷はいつかと同じように私の顔を探るように見つめてくる。


うううう・・・。私、今世になってからちょっと油断しすぎたかも・・・。まさかバレるなんて。

「まぁ、別にクールビューティなすみれちゃんもいいけど俺もああやって抱きついたりしてほしいなぁ・・・」

「は?」


宮谷の話に思わず素で答えてしまっているが、そこはスルーしておいてね。

「えーと・・・、ほかの方には言わないでくださいね?」

「なにが?」

「この事です!」

「誠くんのことはもちろん言わないよ〜。すみれちゃんのことも俺だけの秘密。」

「は、はぁ・・・」

バッチーーーん!と音がしそうなくらいに完璧なウィンクをした宮谷はにっこりと微笑んだ。

あ、これは自然な笑顔だ。よかった、良かった。

もう1度あんな黒い笑顔向けられでもしたら私のチキンスキルが発動しちゃうからね。

と、そこに私たちのクラスの男子がでるというアナウンスが聞こえてきた。

あ、応援しなきゃ・・・。


「それでは宮谷様、お時間取らせて申し訳ありませんでした。ごきげんよう。」

よぉ〜しー!私のキャラが崩壊しない程度に応援するぞい!!

と意気込んでいた私は不意に後ろからきた衝撃に「ふぐっ」という全く可愛くない声を出してしまった。


・・・ん、なにこれ?どういう状況??


えーと、首に後ろから腕がまわってて、背中が温かい・・・、

えーと・・・、これはつまり・・・?


後ろから抱きつかれてる??!!!!


Q.一体誰に?


A.この部屋には私と宮谷しかいない!=宮谷ぃ!!


「ちょ、ちょちょちょちょちょちょ、な、な、な、何すりゅんですかぁ!!!!」

噛みまくりました!どもりまくりました!!でも今はそんなことどうでもいいんです!!!


私、前世では全く異性とのスキンシップありませんでした!!

嫌われてはないと思いますけど、多分好かれてもいません!!

仮面ずっと被ってたんで付き合ったりとかなかったんです!ずっと仮面被るのはだるいな〜、みたいな感じで、だからこんなに近くにこられたことないんです!なにこれなにこれ何これ!!チャラオコワイ!


「ふふ、必死になりすぎて噛んでるの可愛い。」

抱きついたまま耳元で囁くなぁ!!

お前の声はエロいんだよ!!!お前、乙女ゲームでも色気担当だったから声もエロボで評判だった声優さんがやってたんだよ!!


私が頭の中でパニックを起こして、いらない情報まで思い出してる間に宮谷は「ぎゅっ〜〜〜!」と言ってさらに力を入れてハグしてくる。

ちょ、近い!!近いから!!!

なんか、いい匂いする!!!うわ、宮谷の髪が耳にあたってくすぐったい・・・、てか髪サラサラ・・・

って何考えとんねん!!!私、そんな変態みたいな事考えてませんとも!えぇ、はい。


「み、宮谷様!男女でこんなことするものじゃありません!!」

「え〜、いいじゃん〜。すみれちゃんの真似」

語尾に大量のハートマークが飛んできそうな喋り方で宮谷が耳元で囁く。


やーーめーーーろーーーー!!!囁くなぁ!その声で囁くなぁ!!変な空気感にするなーー!!!

って言うか桃ちゃんに対する私の態度は忘れろっ!!恥ずい!


「宮谷様っ!」

恐らく顔が真っ赤になっているであろう状態のままで私はもう一度叫んだ。

「ちぇっ〜、すみれちゃんあったかかったのに〜。」

と言いながら宮谷が渋々と言った調子で私から離れる。

なんかお前が言うと卑猥!!!

なんてことは口には出さずに「このようなことは以後気をつけてくださいませ!」と叱る。

でも全く宮谷は反省した様子もなく「すみれちゃん、柔らかかったよ〜」なんてまたもや卑猥な言葉を言ってくる。

「宮谷様ぁ"・・・!!」

私の野太い声に宮谷は一瞬びっくりしてあはは、と楽しそうに笑った。

「すみれちゃん、一緒にいてて飽きないわ〜。すみれちゃんってみんなの前で少し猫かぶってる時も凛としててそれはそれで綺麗だったし、今も今で楽しそうに生きてて羨ましいなぁ。

俺もそうやって生きればよかった・・・。」

最後、呟くように聞こえた言葉はきっと私に聞かせるために言った言葉ではないのだろう。

でも、私の耳はいいことにも悪いことにも地獄耳なのだ。

だから、きっと私じゃなければ聞こえなかった言葉が聞こえてしまった。少し、寂しそうなそんな言葉。


「宮谷様、私だって最初からこんな自由ではなかったですよ?」

「え?聞こえてた??!」

私の言葉に宮谷は本当に珍しく顔を真っ赤にさせて慌てる。

おぉ、宮谷のこんな姿めっちゃレアじゃん!!


「はい。あの、私元々あんまり本当の感情は表に出さない方だったんですよ。でもあることがきっかけでちょっと後悔して、こんなんだったらもっと自由に生きちゃえ、って思って・・・」

似たような境遇の宮谷だからだろうか?

喋らなくていいことまで喋っちゃったな。


「あ、これも秘密ですよ?」

未だに顔を真っ赤にさせている宮谷がおかしくて私は笑いながらもそれを告げた。

「では、今度こそ、ごきげんよう。」

私は宮谷にペコリと頭を下げて空き教室を後に――――――
















させてくれなかったのはまたもや宮谷。

出ていこうとした私に「ねぇ!」と宮谷が声をかけた。

なんだよ!まだ用かよ?!!

と半ば、キレ気味で私が後ろを振り向くとニコリと食えない笑みを浮かべた宮谷がいた。


「この球技大会で優勝したらさ、俺とデートしてくんない?」



「・・・・・・は?」








ということでサブタイトルの答えは宮谷でした!

今回もお読みいただきありがとうございます!!

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