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感謝の言葉

あーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。

どうしよ、どうしょ、どうしよ、どうしよ、どうしよどうしよどうしよどうしよどうしよどうしよどうしよ!!!!!


私は疲れ果てた体をベットに沈めながら頭を抱える。

何に悩んでいるのか?それは宮谷を置いて帰ってきてしまったことだ。


「うぅ・・・。あんなのいきなり言われても・・・」

はぁぁと重すぎる溜息をつきながら私はぐるぐると考える。


第一、人を信用出来ていないということに気づいてショックを受けた直後、宮谷から真面目な顔であんなことを言われてしまって私としては現実感がなくて思考回路が全くまとまらない。


でも人を信用できていないことにショックは受けても涙は出てこなかった。

多分前回で出し切ってしまったんだろう。

それか、宮谷のあの言葉に少し救われたのか・・・。


と、そこまで考えて同時に宮谷のさっきの真面目な顔が浮かんでぼんっ、とほっぺたが赤くなるのを感じた。

「って言うか・・・」

一人呟いた後、私は考える。


冷静に考えてみれば、いや冷静に考えなくてもわかる。


あそこで逃げるべきではなかった、と。




宮谷は私と向き合ってくれた。

私はどうだろう・・・?






先程宮谷と向き合った時はつい、前世のように弱い自分が出てしまった。

でも、


私を助けてくれた宮谷に私何も返せてなくて、それどころか私は宮谷かる逃げた。




向き合うと決めたのに、


嫌われるのが怖くて、


信じて裏切られるのが怖くて、


私は逃げたんだ。




そうやって、現状をゆっくりと受け入れるうちに気持ちがすっと落ち着いて雑念がなくなってゆくのを感じた。


なんだ・・・、自分の気持ちに素直になってしまえばよかったんだ。


私は1度深呼吸をする。






私は何をしたい?

宮谷に何を伝えたい?



そんな事、一つに決まってる。






◇◆◇


次の日、学園は休みだったので私は杉原に宮谷の家の住所を聞いて一人で教えてもらった場所へと向かった。


「・・・ここ?」

教えられた住所の場所に行くとそこは私が思っていた様な一軒家ではなく、高級マンションが立っていた。


杉原に電話をかけて確認をとると宮谷は実家から離れ、一人暮らしをしているらしい。

部屋の番号を教えて貰って私は部屋のインターホンを押した。


『・・・はい?』

少しくぐもった宮谷の声が聞こえた。

「おはようございます。北条 すみれです。」

『・・・は?』

何を言ってるんだ、とでも言うように疑う声が返ってきたので私はもう一度ゆっくりと同じ言葉を繰り返す。

「おはようございます。北条 すみれです。ちょっとお話いいでしょうか?」

『・・・・・・は?え、は?は?は?まって、嘘?本人?え、なんで?ちょ、まって、俺今、全裸だ、やべ、ちょっとまってね、』

ぶつっ、と音が切れた後、部屋の中からガシャーーーんとすごい音が聞こえる。


え?大丈夫か?これ。

どう考えてもシリアスな展開にならなそうだけど・・・。


なんて考えているとガチャと扉が開いた。

「あ、おはようござい・・・ま、す。」

その音に顔を上げた私はドアを開いた宮谷の格好に絶句する。


「な、な、な・・・」

「な?」

「なんで半裸なんですかっーーーーーー!!!!!!!」

扉を開けた宮谷は黒いズボンに上半身裸で首にタオルをかけているだけの格好だった。

お風呂上がりなのか髪が濡れていて色気がすんごい事になってる。

水も滴るいい男ってか、ってそんな場合じゃなくて!!

「服着てくださいっ!」

「え、あ、うん、」

宮谷は少し戸惑った後に「上がって」と私を家に入れた。

「ちょっと待ってて、服着てくるから。」

「はい。」

奥の部屋へと消える宮谷を見届けて私は招かれた部屋を見る。

白と黒を基調とした部屋は男子の部屋らしく殺風景ではあるものの整っている。

意外と、清潔感あるのね・・・。


そんなことを考えながら宮谷を待っていると下はそのままに白シャツをきた宮谷が戻ってきた。

「えっと・・・、とりあえず何飲む?」

「あ、お気になさらず。今回は私が話したいことがあってきたので話が終わったらすぐ帰ります。」

「・・・そう。」


ガラスで出来た机を挟んで私と宮谷は向き合う。

「えっと、まず最初に、昨日は失礼な態度を取ってしまって本当に申し訳ありませんでした。」

「え、あ、いや別に!俺こそいきなりごめんね、あんなこと言って。」

宮谷は少し気まずそうに俯いた。


うぅ・・・、罪悪感が・・・。

でもこの状況は確実に私の自業自得なので仕方が無い。

「いえ。それで、ですね。話というのは、私がどれだけ貴方に助けられたのかを話に来ました。」

「・・・へ?」

「えっと、ですね!まず、」

宮谷の呟きに無性に恥ずかしくなった私が慌てて話を切り出すと宮谷は「ちょっとまって!」と私の言葉を止めた。

「あのさ、俺、すみれちゃんのこと、助けられてた?」

「え、はい。」

「なみさんが、とか、杉原とか誠くんとか桃ちゃんじゃなくて?」

「あ、いや、もちろん皆さんに助けられてますけど、今日は宮谷様に感謝の言葉を伝えに。」

そういった私の言葉に一切の偽りはない。

最初はゲームの世界だと気づいて、攻略対象だから、とか、当て馬ポジションだからとか思っていたけど、いつの間にか私の中で宮谷はかけがえの無い存在になっていた。にも関わらず私はそんな感謝の言葉すら伝えられていない。


だから、今日は真っ直ぐに向き合おうと思う。

そしてできる限り伝えたい。


貴方が私にしてくれたことへの感謝を。


「まず、頑なにあなたを拒んでいた私に飽きもせずに付き合ってくださってありがとうございます。

私、自他ともに認めるめんどくさい奴なんです。なのにあなたはいつだって私とまっすぐに向き合ってくれた。

次に、何度も力になってくれてありがとう。

何度も何度も私に手を差し出してくれて、嬉しかった。

あなたが抱え込んでいるものを背負わせてくれって言ってくれた時、本当に嬉しかったです。

最後に、

私を救ってくれて、助けてくれてありがとう。

桃ちゃんと想いがすれ違ってしまった時、私に喝を入れてくれてありがとう。あなたのおかげで私はまた歩き出せました。

たくさん、沢山ありがとうございます。」


私が頭を下げてそう伝えると宮谷はポカーンとした顔でこちらを凝視していた。

・・・何も言ってくれないと本当に恥ずかしいんですけど・・・!!


「・・・」

「・・・」

もはや意地の張り合いである。

数秒の沈黙の後、宮谷がやっと口を開いてくれた。

「俺は・・・、君の力になれてた?」

「はい」

「・・・君を助けられていた?」

「はい」

「・・・っ」

私がゆっくりと、でもたしかに頷くと宮谷は耐えきれないとでも言うように手で顔をおおった。


「俺は君を助けられないと、思ってた・・・」

「とっても、沢山助けられていましたよ」

私はにっこりと笑う。

少しでもこの気持ちが伝わるように。


顔をあげた宮谷の目に少しだけ涙が浮かんでいた。


・・・え?え?なんで?!なんで?もしかして昨日のあれは冗談でこんな悪役面の私に好かれたくなくて泣いた?

いや、もしかしたら、何言ってんの、冗談に決まってんじゃん、何本気にしてんのワロタ的な???笑い泣きですか??


アワアワと私がパニックになっていると宮谷に抱きしめられた。


「宮谷、様?」


数秒後、掠れた声で宮谷が囁いた。

「すみれちゃん、好きだよ」


お読みいただきありがとうございました


【お知らせ】

私の諸事情なのですが、もし明日続きが投稿されなければ3日、4日ほど更新がストップする恐れがあります。

不確かで申し訳ありませんorz


いつも読んでくださる皆様に心からの感謝を。

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