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「吸血鬼」
「またお腹を壊したくなかったら、銀血人のなんて飲まないようになさい」
「わかったよ……母さん」
――吸血鬼の親子
吸血鬼が血を吸うのは、食事のためと言われている。
しかし、何年も眠り続ける個体もいるのだから、これは人間の学者が考えた憶測にすぎないのだろう。
実際、血を吸えなくて苛つく吸血鬼はいても、餓死する吸血鬼を見た者はいない。
吸血鬼は大別して、上級と下級に分けられる。
上級吸血鬼が人の姿を取り、日中でも歩き、恐ろしい力を持つのに対し、下級吸血鬼はそこらの怪物と大差ない。
驚異的な回復力と、爪と牙は恐ろしいが、下級吸血鬼は少なくとも剣で斬れば死ぬし、魔法で燃やせるのだ。
ちなみに、教会のシンボルやにんにくが実際に効いたという話は、ほとんどない。
怪物狩りや冒険者たちが、吸血鬼の相手をするとわかっていてそれらを用意しないのはつまり、そういうことだ。
「よお、ジャック。吸血鬼に噛まれたんだって?」
「ああ、五日間のたうちまわって……」
「マジか、ヤバいな」
「それから、吸血鬼が死んだ」
――怪物狩りの専門家ジャックと、その友人




