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「大樹の大蠍」
「大蠍の毒に気をつけろだぁ? この本を書いたやつは、あいつを見たことがないんだろうな」
――怪物退治の専門家、ハーゲン
大樹の森では、多くの生き物が育まれている。
綿毛のような体毛の、可愛らしい小動物から、大きな牙を持った猛獣まで。あらゆる存在が、森の中で生きているのだ。
もし、人の身で森に入るならば、獣ばかりを恐れてはならない。
あの場所はすべてが脅威であり、ゆえにありとあらゆるを恐れなければならないのだ。
森で音もなく忍び寄るのは、爪と牙だけではない。
大樹の大蠍は、樹木に張り付き、頭上から獲物を襲う。
牛を丸ごと喰らうほど巨大な体だが、その動きは敏捷で、なおかつ音がしない。
一度狙われたら最後、襲われたことに気づいた時にはすでに、蠍の餌になっている。
この大蠍にも毒はあるが、体と同じく尾針も巨大であり、人を刺そうものならそれだけで殺してしまう。
噂によると、竜にも効くほど強力な毒らしいが、そもそもこんな針を刺されれば、巨大な生き物とてそれだけで大怪我だ。




