第2話 ゴブリン集落ウヒョヒョヒョ、ヒョ
かなり修正と加筆しました。
修正だから、新作とかに出ないんだろうか?
ゴブリンのミドリに連れられた俺とヤスは彼女達の仲間が住むという集落にやってきた。
第一印象は、粗末な建物に原始的な生活をしているんだなって事だ。
俺は、都会生まれの都会育ちなので、もの凄く不安になった。
やっぱ、人間の住む街とかに行った方が良いよな?
そもそも種族が違うんだ、彼らと俺達とは……
お前もそうだろう?
「……ヤス」
カルチャーショックを受けていた俺は、隣にいるヤスに声をか…… いない?
「あれ、ヤスは?」
振り返ったら無人だった。
ヤスどころか、ミドリもいないじゃないか!
「やめてよ、もう……」
不安で一杯だ。
一人にしないで欲しい。
そう思いながらも俺は、タバコを取り出して咥えると、ポケットからカートンで買った時にもらったライターを取り出した。
なんか、凄い見てる。
半裸で腰蓑をつけたオスのゴブリンが、俺の事をじっと見ている。
小柄だが、噛まれたりしたら変な病気になっちゃうんじゃないか?
なんなの?
兎に角、刺激しなければ、襲ってくることもなかろう。
シュボッ
ライターでタバコに火を点けた。
その時!
「あーーっ!」
「へっ?!」
俺を見ていたゴブリンが急にデカい声を出したので、驚いてタバコを落としそうになった!
この野郎、俺に何か文句でもあんのか? 喫煙室を使えとか言い出すんじゃないだろうな?
ドキドキしたが、タバコを吸って心を落ち着けよう。
もうっ! 怖ぇーよ…… こんな時にヤスの野郎、どこ行ったんだ?
「え? なに?」
ゴブリンの男が俺に近づいてくる!
こ、怖っ!
自慢じゃないが、俺は、喧嘩が弱い。
き、来た!
少し後ずさった俺の前にゴブリン立ち、俺を見上げている。
こ、殺され
「あなたは、魔法使いですか?」
両目を瞑った俺にゴブリンが話しかけてきた。
「へ?」
目を開けると、ゴブリンが目をキラキラさせている。
魔法って…… 何を言っているのだろうコイツは?
「火、指から火を出しておられました!」
ゴブリンがタバコを指差して言ってきた。
火って? ああ、ライターの事?
俺をからかってるのか、コイツは?
「……いや、単なるライターだから」
「らいたあ」
ゴブリンにキョトンとされた。
ライターくらいあるだろう?
「……あ」
無いよな。
ある訳がない。
そりゃそうだ。
この風景を見たら、そんなもんある訳がないって!
初めて、ライターを見たんだ、コイツ!
ゴブリンを見ると…… うん。 その目は、尊敬の眼差しって奴だな!
「ふふふふふ!」
「どうしました? 魔法使い様」
小首をかしげて、ゴブリンってのも可愛いもんだぜ。
「はっ!」
シュボ
手を伸ばしポーズをとった俺は、ゴブリンの目の前でライターをつけて見せた。
「す、凄いです……」
ゴブリンは、目を見開いてライターの火をじっと見ている。
どうだ、凄いだろう、ふふふ!
ゴブリンがライターの火に指を指しだしてきた。
「わっ! 危な」
「熱っ!」
火に触れた指をすぐにひいたゴブリン。
「お前、火なんだから熱いに決まってるだろ! 大丈夫かよ?!」
いきなり火に触れてくるなんて、驚いた。
火傷してなきゃ良いけど……
「す、凄いです! 本物の火です!」
ゴブリンが俺を尊敬の目でみてくれたけど、俺は、コイツが火傷してないか心配だよ。
しかし、初めてだな。
生まれて、初めて人から尊敬の眼差しってのを受けた。
いや、人なのか解んないけど、そんなの関係ない。
素直に嬉しいのだ。
だって俺は、ヤクザ者。
日陰の最低な世界の住人だ。
蔑みと恐怖の眼差しが常だった俺に対して、そんな……
「なにやってんすか?」
「え?」
振り向くとヤスがいた。
どうやら、戻ってきたようだ。
「お前な、勝手に動き回る…… なよ?」
ヤスに文句を言おうとしたら、ヤスとミドリの他にジジィのゴブリンが俺の前にいた。
誰?
「おい、ヤス。 誰?
てか、俺を置いて一人で行動するんじゃない! 不安になるだろうが」
俺は、ヤスに注意したのだが、キョトンとされたし。
なんだ、コイツ!
イラッときた俺の前に、ジジィのゴブリンが近寄ってきた。
「フジサワ兄貴、仲間を助けていただいて、ありがとうございますじゃ」
ジジィのゴブリンが俺に頭を下げてきたが、ミドリの事だろう。
「おじいちゃん、ミドリの事なら気にしないで良いから。
このヤスが好きでやった事だし、俺は何もしてないからね」
言った通り何もしていない俺が、お礼を言われても困る。
「いや、名前までつけていただいたと、ミドリから聞きました。
しかもワシにまで名前をヤス兄貴が下さりましたのじゃ。 ミドジと言う、立派な名前をね!」
ジジィのゴブリン改めミドジがドヤ顔で報告してきた。
「……あ、そう」
言われた俺にどうしろと?
しかし、ヤスの奴…… また安直な。
どうせ、緑色のジジィだから、ミドジだろ?
俺は、ヤスを見た。
「兄貴! 緑色のジジィだから、ミドジにしやした」
笑顔のヤスが教えてくれたが、間違いなかった。
「フジサワ兄貴、よろしくお願いしますのじゃ」
ミドジが頭を下げた。
兄貴って?
「? こちらこそ、よろしくお願いします」
よくわからないが、頭を下げられたので答えたが…… なんなの?
「ささ! あちらに、宴の準備をさせておりますので、どうぞなのじゃ!」
困惑する俺にミドジは、ついてくるよう促してくる。
「兄貴、行きましょう!」
「お、おい、ヤス?!」
ヤスに手をひかれ俺はつれていかれた。
・
・
・
広場に通された。
集落のゴブリンが集まってくる。
そして俺とヤスは、ゴブリン達の前に設けられた藁か草を敷いた席に座らさせられた。
「なんなんだよ、もう……」
内心ビクビクの俺。
何が始まるの?
「よし! 皆、あつまったようじゃな!」
ミドジが俺達と集落のゴブリン達の間に立って大きな声で言った。
集まったゴブリン達が俺達の事を凄い見てる!
不安と恐怖の俺だったが、ミドジは俺とヤスを集落の皆さんに紹介してくれ始めた。
ミドリを救ったとか、名前をつけてくれたとか、言ってる。
敵対的行動で無い事は確かだし、褒めてくれている。
身の安全が保障された気分になった俺は安堵した。
リンチにあってランチにされる事はなさそうだ。
緊張から解き放たれた俺は、ゴブリン達の話を適当に聞いてた。
てか、長いな。
何時までこのセレモニー的な事が続くのだろう?
ミドジや集落のゴブリンの話の最中に料理の準備が進んでいる。
俺やヤスの前にもデカい葉っぱの上に盛られた料理が置かれた。
何の肉?
デカい芋虫みたいなのも乗ってる…… いや、中には俺も食べれそうなのがあるな。
そういや、腹が減ってきた。
しかし、ゴブリン達の話が続いてる…… 早く食事会が始まれば良いのに!
「なぁ、ヤス、腹が減ってき…… え?」
ヤスに声をかけようと見たら、もう食ってるし!
なんなの?
まだ勧められてないし、人が話してるのに失礼だろ?!
驚くべき厚かましさに俺が驚愕していると、ミドジの話が終わった。
その途端、ゴブリン達が食事し始めた。
「どうぞ、とかないんだ」
周りの様子を伺いながら俺も料理に手を伸ばした。
乾杯! とか、無いんだな。
なんか、よくわからない酒と、木の実や虫、何かの肉とか、イロイロ出してくれた。
素朴な味と言えば聞こえが良いが、全体的に薄い。
調味料を使ってないのだろう。
塩くらいあれば違うのだろうけどな……
兎に角、旨くはないけど、腹は満たされた。
へんな酒だがちゃんと酔えたし、良い気持ちになれた。
「ふう、外の空気もいいな。
のんびり、みんなで食事して、飲んで笑って……」
ふふふ、異世界も、のんびりしていて良いかもな。
親分や兄貴分に殴られビクビクする毎日より何倍もマシか。
「ふふ、少し酔ったかな」
酒を傾けながら俺は呟いた。
「フジサワ兄貴」
「あー! お前、さっきの奴。 指、火傷しなかったか?」
ライターの火を見て驚いてたゴブリンが、酒を注ぎにきてくれた。
「あれくらい平気ですよ! ささ、どうぞ!」
火傷してないようなので良かった。
「ところでさ、ここの皆は、なんで俺を兄貴って呼ぶの?」
「え? だって村長がさっき言ってたでしょ?
村が藤沢組のものになって、村の全員が構成員にしてもらったって話だったじゃありませんか?
そんで、フジサワ兄貴が仕切るって! ささ、もっと飲んでくださいよ、兄貴!」
「……なんで」
思わず、酒の入った盃を落とした。
俺は隣で、ミドリにお酌してもらってるヤスの首根っこを掴んで引き寄せる!
「おい! ヤス、藤沢組ってなんの事?!」
「あー、気にしないで良いっすよ、兄貴。
ここの奴等にね、守ってやるから、みかじめ払え! って言ったら、金がないって言うんですよ。
もう、無茶苦茶でしょ?
だから、可哀想なので、藤沢組に入れてやりやした」
うん。
日本語を話しているハズなのに、俺にはこの男の言っている事が理解できない。
「いや、どうしてそうなるの?」
「冒険者ギルドって組の奴等が、ここの奴等いじめてるらしいんすよ!
藤沢の兄貴ならそんな奴等、一発でシメてくれるから、子分になれっ! って言ったらイチコロっすよ」
「うん、何を言ってるのお前?
だめだ、ゴメン。
俺、お前が何を言っているか、さっぱり解んない。
え? 用心棒になるって事?」
「うーーん、兄貴、何をいってるのかちょっと……」
俺がわけわかんない事言い出したみたいな顔をしたヤスをビンタしといた。
「おい、お前等、子分になるって意味が解ってるのか?」
俺に酒を注ぎにきてたゴブリンに聞いた。
「奴隷になるって事でしょ?」
おま、笑顔でなんて事を…… 今、自分で奴隷になりますって言ってんだぞ?!
「あのな、子分ってのは……」
……うん。
奴隷?
もう、解んない! 疲れた。
俺がおかしいのか、ヤスがおかしいのか、ミドジがおかしいのか、集落のみんながおかしいのか俺には解らない。
みんなおかしいのだろう。
「……しかし、この酒、強いな」
眠い。
凄く眠い。
色々あってだいぶ疲れたのかな?
そう思った、次の瞬間!
「うっ!」
ドクン……
景色が暗くなったとおもったら、次の瞬間、俺は倒れた。
◇◇◇
目が覚めると、俺は小屋の中で寝ていた。
「あつっ」
完全なる二日酔い。
頭がガンガンする。
昨日は飲みすぎたな……
「フジサワ兄貴、起きました?」
「え?」
目を覚ました俺を女が覗き込んできた。
「だ、誰?」
肌が緑色だからゴブリン達の仲間だろうけど、こんなおっぱいデカイ女いたっけ?
それに…… 成人した人間みたいな体格をしている。
「今、ミドジ呼んで来ますね」
女が立ち上がり、小屋を出るために振り返ったが背中から腰、そして丸い尻が女性らしいラインをしていた。
いや、凄く色っぽかった。
「俺も、起きよう」
立とうと思ったら、立っていた。
落ち着くのを待ってから俺は小屋を出た。
股間にテントを張った状態で外に出るほど強心臓じゃないからな、俺は。
外に出て辺りを見渡した。
「……なんだか、様子が違うような」
なにか、違和感が……
ガタイの良い奴が、俺に近寄って来る。
違和感の正体だ。
そうだよ、こんなガタイの男もさっきの女も昨日、居なかった!
何者だ!?
「フジサワ兄貴、昨日は、突然倒れられて驚きましたですじゃ」
不審者が俺に言った。
誰だ?
ミドジやミドリをどうしたぁ!
答えによっちゃ、俺は許さん!
と、カッコいい事を思ったが、その腕の太さを見ると、俺は絶対にそんな事を口に出さないのだ。
「はぁ、すんません」
誰だよ、お前! 怖ぇーよ!
俺は、ムキムキゴブリンから、目をそらしながら言った。
「ミドリ、フジサワ兄貴に水をもってきてあげなさい」
ムキムキゴブリンがなぜミドリを知って?!
「あ」
さっきのおっぱいがデカくてスタイルの良い女ゴブリンがムキムキゴブリンに返事をしていた。
……そういう事なの?
どうやらミドリが、一日で姿がエロい見た目の女に変わったって事らしい。
すると……
「お前、もしかしてミドジか?」
俺の問いかけに、ムキムキゴブリンがキョトンとして、
「はぁ、そうですが?」
だって。
「はぁ? なんで? 昨日と全然見た目違うじゃねぇか、ビビらせやがって、クソジジィ!」
「クソジジィ?」
「いえ、あの…… すいません」
口答えされて、思わず謝った。
「いえ、威圧感を与えた我等が悪いのですじゃ。
ちゃんと組長にお伝えしていなかったこちらの不手際で不快な思いをさせて申し訳ないのですじゃ」
ミドジが深く頭を俺に下げた。
「いや、気にしないで」
やっぱ怖い。
「我々は、能力者から名前をいただく事により、より強力な個体に進化出来るのですじゃ!
だから、兄貴には、感謝しかないのですじゃ!」
ミドジが俺に感謝して教えてくれた。
「いや、気にしないでいいから……」
ゴブリンを進化させたのは俺の能力だったのか?
俺って、スゲーぜ!
なんだか、自分に自信がついた気がした。
……あれ?
「俺は名前つけて無いよな?」
「兄貴ー! 起きたんすかー」
ついた自身を打ち砕く男が走って俺の前にやって来た。
お前……
「名前を付けたのお前だもんね、ヤス! 」
俺は、やって来たヤスの肩を掴んで言った。
このヤスが能力者だと?
俺はヤスを調べる。
うん。
どこも、おかしい所は無さそうだが。
てか、能力者ってなんだ?
昨日の、俺が思わせぶりに気を失ったのは、なんだったんだ!
何かしらの能力を使ったからとか少年マンガ的な事が起きて、力を使い果たして倒れたんじゃねぇのかよ!
「ミドジ! ヤス兄貴と行った朝の狩りで、コイツを仕留めたぞ!」
ゴブリンの若者達がデカイ猪を運んできた。
みんなムキムキだ。
「へへ、朝ちょっとみんなで」
ヤスが頭を掻いて照れている。
こんな短時間でお前は、なんでそんな馴染んでるの?
「さすが、ヤス兄貴ですね組長」
ミドジがヤス達が狩りで仕留めた猪を眺めながら俺に同意を求めてくる。
「ま、まあな」
石斧や棍棒で俺の何倍かあるその猪を倒したのか? 無傷で。
怖いよ!
「フジサワ兄貴、じゃなかった、組長、水です」
おっぱいをぶるんぶるんさせながら、ミドリが水をもってきてくれた。
癒されるぅ。
あんな殺伐とした世紀末感があるの見た後だと一層ね。
「ミドリ、ありが…… とう」
ミドリから水を受け取ったが、濁った汚い水で、飲む気が……
顔色が曇る。
どうしよう……
「あれ、兄貴、飲まないんすか?」
ヤスが言った。
なので、水を渡してやった!
俺の善意だからね!
せっかく持ってきてくれたミドリの前で水を捨てる訳にもいかなかったから助かるぜ!
うん。
ゴクゴク飲んでる!
「スゲーなお前……」
俺は、普通に水を飲み干したヤスをみて思った。
「冒険者がやってきたぞー!」
遠くから叫び声が聞こえた。
皆があわただしくなる。
ミドリも不安そうな表情。
なんだ?
凄く嫌な予感しかしないぞ。
兎に角、俺も避難を……
ガッ!
「兄貴! さっそく出入りっすね!」
嬉しそうにヤスが俺の手を取って走り出しやがった!
「行きたくなぁーーい!」
「はは、またまた。
流石、余裕っすね兄貴」
何がだよ!
・
・
・
なんか、集落の入り口に数人の武装外国人がいるし……
殺る気満々じゃねぇか、変な薬でもやってんのか?
ああ、神様! どうか穏便に済みますように。
俺はヤクザだけど、お茶くみ集金、掃除が仕事だったんです。
美味しい思いだってしたことありません。
罵倒されて、灰皿やゴルフクラブで何度も殴打される事もしょっちゅうでした。
うだつの上がらないチンピラなんです。
そんな俺があんな強そうな外国人に勝てる訳がございません。
異世界は、キャッキャウフフのハーレムチートじゃないの?
こんなの詐欺だよ、横暴だよ、ヤクザの所業だよ!
やり口が汚い!
お巡りさん助けて!
ここに立っているのが嫌で嫌でしょうがない俺は現実逃避していた。
「組長、ヤス兄貴、どうすのですじゃ?」
ミドジが言ったが、俺にどうしろと?
「任せとけ! ねぇ兄、いや、組長!」
そんな、無責任な! ヤス、お前!
ドンッ!
ヤスが俺の背中を押しやがった! ふざけんな、お前!
ヨタヨタと俺は、武装外国人集団の前に出た。
く、くっそ~。
ヤスの野郎、後でみてろよ。
「……あの、何か用ですか?」
出来るだけフレンドリーな感じで俺は、外国人の人達に聞いた。
「なぜ、人間が、ゴブリンの巣にいる?!
貴様は、一体何者だ?」
武装外国人集団の一人に聞かれた。
質問に質問で答えんな! と思ったが愛想笑いしといた。
早く、帰って!
「お前ら! ここが、藤島組のシマとわかってカチコミかけてんすか!
組長は優しいから今なら、半殺しで許してやるから、直ぐに武装解除して土下座するっす!」
後ろにいるヤスが、デカい声で煽るような事を…… やめてよね。
「貴様等……
あの二人は人間のフリをしたゴブリンだ!
構う事はない、殺せ!」
「容赦はしねぇーー」
「ぶっ殺ーーす!」
「ヒャッハーー!」
武装外国人が武器を構えた。
なんて、好戦的な奴等なんだ……
「……チッ」
舌打ちした藤沢の目付きが変わる!
俺は、交渉決裂と判断。
いや、交渉した?
兎に角、こうなっちゃぁしょうがねぇ!
「ミドジ! 戦える者を集めろ! ミドリは、女子供を避難させろ!」
俺は、二人に指示を出した。
「了解、組長!」
頼んだぞ、ミドリ!
「組長、若い衆は既に集まっておりますのじゃ!」
よっしゃ、でかしたミドジ!
「さてと……」
俺は、大きく息を吸った!
「ここは、藤島組のシマ! 俺は! 藤島組 組長 藤島 博志だ!
殺れるもんなら、殺ってみろ! ド腐れ外道共ぉーー!」
集落の簡素な門をぶっ壊してイキってる武装外国人集団に向かって、デカい声で叫んだ!
武装外国人集団にキョトンとされた。
うん。
心が折れそうになるから、やめて、その態度。
「かまわねぇ、テメー等、たかがゴブリンの村だ! やっちまえ!」
殺る気に満ち溢れる武装外国人集団が攻めてきた!
「挑発したけど、心の準備が…… 待ってくれても良いのにズルイ!」
俺は取り敢えず、ドスを構えてみた。
武装外国人集団が俺に向かってくる!
ニヤッ
「素直にこっちに向かってくるなんてバカ野郎だな。
行けぇヤス! 全力でやっちまえ!」
俺は、華麗に後退しつつヤスに命令した。
いや、だって、俺は弱いもん。
「へい! 兄貴じゃなかった、組長!」
ヤスが、俺を飛び越し外国人武装勢力の前に着地した!
バス!
バキバキーー!
ドス!
ドガガー!
ドゴ!
ガツーーン!
ガス!
バチコーーン!
スピード重視でヤスは外国人を倒していく。
いや、転ばせるのが目的だ。
何故か?
そりゃぁ、俺とゴブリン数人で倒れた武装外国人から武器を奪う為だよ!
奪った武器をその都度、ゴブリンの方に武器を投げ渡す。
本気でヤスが戦ったら、一人倒すのにも少し時間がかかるけど、転ばすだけなら早い。
それに殺し合いだと、死人が出るんでしょう?
んな事は、ヤダヤダ。
兎に角、転ばせ、数人がかりで武器を奪ってを繰り返した。
観ててご覧、武装外国人の武装が解除されていったね。
頃合いか?
「おーーい、お前等、素手だけどまだやるの?」
聞いて、ニヤニヤしてやった。
こんな作戦大人数が相手だったら出来なかった。
少数でカチコミかけた時点で、お前らの負けは確定してたようなもんだ、バカめ。
「クソッ!」
一人の冒険者達が、走って逃げだすと、他の奴等もにげだした。
うん、勝ったな。
「俺達の勝利だ!」
俺が言ったら……
「うおぉぉおおおーー!!」
ゴブリン達が、勝利の雄叫びをあげた。
ミドリとミドジ以外のコイツ等は弱そうな見た目だし、イジメられてたってヤスが言ってたからな。
余程嬉しかったのだろう。
「……俺が組長か」
◇◇◇
その日、ヤスに住人のゴブリン全てに名前をつけさせた。
これで、戦力アップじゃ!
進化型ゴブリンは強いからな。
次にまた、武装外国人集団が組を襲いに来ても安心だ。
今日より数がいたとしても普通に戦って勝てるだろう。
進化型は強いから。
「さあて、藤沢組、本日より活動開始!」
組長 藤沢 博志
若頭 ヤス
若頭補佐 ミドジ
若頭補佐 ミドリ
構成員 ゴブリン集落の住民
総勢 40名(子供と老人を含)
組長となった俺は、家族である組員の生活を支えていく責任ができた。
これから、どうするか? 俺は沢山頭を悩ませなきゃいけない。
単なるチンピラだった俺が、組長になったのだからね!
ふふふ、ヤスに名前つけさせると、ゴブリンが進化する。
男はムキムキになり組の戦力アップ。
女はムチムチエロい体になるとはな!
たまらん!
たまらんぞ!
異世界最高だぜ!
「おい、ヤス。
ところで極道ってさ、何すりゃ良いんだ?」
ヤクザだったけど、掃除とか集金とか賄い作り溶かしたこと無いぞ、俺。
最初は、綺麗な女を乗せた高級車を乗り回すとか夢想してヤクザになったけど……
理想と現実とは違うからな、慎ましい生活してたし仕事も知らないぞ。
知る訳ねーよ!
毎日暴言吐かれて灰皿で殴られ、ゴルフクラブでどつかれまくって何の仕事が出来るっていうんだ?
「さぁ、みかじめ料もらう的な?」
ヤスも良く解ってないみたい。
うん、それは一緒に集金行ってたから知ってる。
「ま、いっか」
兎に角俺は、コイツらに豊かで文化的な生活をさせる事を目標に頑張ろうと決めた!
……そんで、ご褒美的なハーレムチートで……
「ウヒョヒョヒョーーー!」
笑いが止まらんぜよーー!
「あ、兄貴じゃなかった、組長が壊れた?!」
うん。
失礼だろ、ヤス!
この日、甘い考えの藤沢が高笑いする声が集落に響き渡るのだった。
人気出たら残りも直していこう。
出なくても気が向いたら……
今更、ブクマも感想も来ないだろう。