6泊目
「おっとそうじゃった。ほれ、これを使え」
「何々?」
サテラちゃんが私に白い布を渡してくれた。何このふわふわした、布?
「同性だからと言って、裸じゃ、見られるのが嫌ならそれを身体に巻くのじゃな」
「ふーん? ありがとう」
まー確かに女の人でも裸を見られるのは抵抗があるかも、村じゃそんな事言ってられなかったから今言われると不思議な感覚かも。
私はサテラちゃんから布を受け取って胸元から下を隠すように巻い手見た。おー! 何この布! ふわふわしてて気持ちいい!
「こんな感じでいい?」
「そ、そうじゃな、そんなんでよい」
何で目をそらすの? 何で握り拳なの?! 何で唇噛んでるの!!? え? 私何かした?!
「あ、あの。私何かした?」
「何もしておらんよ......妾自身の見にくい嫉妬じゃ......」
「いや、余計怖いんだけど!?」
「......気にしたら、ダメ。っく!」
「サーシャちゃん?!」
私と同じように布を巻いた裸のサーシャちゃんが現れて拳を作って歯を食いしばった。だから何なの?!
「と、取り合えず行くのじゃ、浴場はの床は滑りやすいからのう、気をつけるのじゃぞ」
「うん!」
私が返事をするとサテラちゃんが頷いてお風呂がある場所の引き戸を開けた。
「うわー! 広ーい!」
「そうなのか? 妾はここしか知らんからなんとも言えんが」
「......私も」
周りを壁でしっかりと囲まれていて屋根がある! 村とは大違い! 湯船も凄く大きいし何だろう? 平たい石を組み合わせた様な床と湯船は様々な石で囲われた形をしていて橋にある斜めに切られた竹筒からは止めどなくお湯が流れ出ていた。凄い、それしか言えない!
私はお湯につかりたくて歩き出したがサテラちゃんに腕を捕まれた。
「何!?」
「何を興奮しとるんじゃお主は? 身体も洗わずに湯につかるのはダメじゃぞ、妾も散々怒られたからのう」
「......うん、ダメ」
「なんで?」
「何でって、それはお湯が汚れるからに決まっておろう? お主の村か町がどうだったか知らんがウチは宿屋、いろいろな人が入りに来るのじゃ、その時に湯が汚れておったら嫌じゃろう?」
「た、確かに」
「ほれ、わかったらこっちこんかい」
あー湯船から遠ざかっていくぅー!
「どんだけ風呂好きなのじゃお主は......」
「大好き!」
「はいはい、わかった、わかった」
腕を引っ張られて連れて来られたのは木の椅子が並べられた場所で、壁には赤い石が均等に木の椅子分埋め込まれていて、管? みたいのが壁から出ていてその先に細かな穴が空いた物が取り付けられていた。
何、これ?
「身体に巻いた布はそのままでも良いがのう、身体を洗うなり、髪を洗うなりする時は外して近くにおいておくがよい、それでじゃな。この道具の使い方じゃが、まずこれを手に持つのじゃ」
サテラちゃんが細かな穴の空いた物を手に取った。
「そして、この赤い石に触れるのじゃ、そうするこの器具からお湯が出るのじゃ」
「これって魔石なの?」
「そうらしいの、妾も詳しくは知らんがそう聞いておる」
「へー......」
私は言われたとおりに身体を巻いていた布を取って近くの段差になっている場所にたたんで置いてから管の付いた器具を手にとって石に触れるといきなりお湯が出た。
「わっきゃあああ!?」
「はははははは! そうなると思うたわ、くふふ、ここを初めて使う奴はみんな同じ反応をするから面白いのう、ちなみに止めるときはもう一度触れば止まるゆえ」
「サテラちゃん?!」
「くくく、怒るな怒るな、ほれ、さっさと身体を洗うなりせんか」
「もー!」
急に出るなら言ってくれればいいのに! あーもうビックリした。ふむ、なるほど。細かい穴はお湯が拡散しやすくするための物なのね、確かにこれならしっかりお湯がかかる......あーお湯だー何ヶ月ぶりかのお湯だー! 気持ちいいー
「はぁー」
「どんだけお湯に飢えてたんじゃお主は......」
「三ヶ月だよーその間ずっと、お水だけで身体洗ってたし」
「ふむ、旅の辛さはわからんでも無いが......」
そう言ってサテラちゃんがガラス瓶の蓋を開けて中身の白い液体を手に垂らして濡らした髪に付けて擦りだすとみるみると泡が立った。何それ!?
「何それ?!」
「ん? あーこれかのう? スミカが作った『しゃんぷー』とかいう物じゃ、わかりやすく言えば液体の石鹸かのう? ほれ、使こうてみい」
「いいの?」
「よいよい、この宿はそれが普通じゃからのう」
「ありがとう!」
私は小瓶を受け取ると木の椅子に座って小瓶を置いてから髪を濡らしてから魔石に触った。あ、ホントだ止まった。
サテラちゃんから受け取った小瓶から『しゃんぷー』を手に垂らして肩より少し先まである自分の髪に付け擦る、おー泡立つー! 何これ凄い楽、今まで固形の石鹸しか存在しないと思ってたのにこんな便利な物があったんだ! しかも良い香りだし。
私は埃や汗の汚れを念入りに落とすように髪を洗うのに集中した。




