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プロローグ

田舎者二人が都会に出て都会っ子の中でどうにか頑張る話です!



不幸だと思ったことはない人生だった。だからと言って幸福ばかりだったかと言えば、そうとは言えないのだけれど。


少なくとも、わたしは不幸という言葉を身近に感じることのない日々を送っていて、今日と同じような明日が来るのだろうと何の疑いもなく信じていた。


今までのようなこれから。揺らぐことのない確信を、わたしは確かに持っていた。変化なんて、望んではいなかった。だって、楽しかったから。大抵の場合は、幸せだったから。


それでも、変化は訪れる。


今までのようなこれからが、もう二度と訪れないと知った日、わたしの人生は一度、終わってしまったのかもしれない。不幸だった。確かに、不幸だった。この二文字の言葉を、わたしはその日初めて身近なものとして抱いた。


その日は、ずっと雨が降っていた。


ぬかるんだ地面を蹴って、わたしは、わたし達は走っていた。必死に、走った。わたし達のために。明日を掴み取るために。


走って、走って、ずっとずっと走った。後ろは振り向かなかった。前だけを向いていた。大切なものを惜しげも無く手放して、何も持たないで走った。


否、ほんとうに大切なものは、手放さなかった。わたしの手と繋がった、白い手。雨でぐしゃぐしゃになりながら、一緒に走り続けた、わたしの、命よりも尊い彼女の手。


乱れた髪で、顔はずっと見えなかった。けれど、別に良かった。彼女がこの手を握り続けていてくれるから、わたしは走れた。走り続けられた。


遠くにぼうやりと光る灯りが見えた時、わたし達は泣いてしまった。立ち止まって、わんわん泣いた。


もう、走らなくて良かったから。


もう、耐えなくて良かったから。


走った先にあったのは、今までのようなこれからではなくて、目まぐるしく変わる世界と、それに翻弄されるだけの日々。それでも、わたし達は、不幸ではなかった。


わたしの隣には、彼女がいた。


彼女の隣には、わたしがいた。


だから、わたし達は前へと進み続けた。また前と同じようなしあわせを噛み締められる、いつかのために。


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