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第二十九話 冬は苦手なのです。

どうも末端冷え性な堕猫です。

それではこの作品を読む時は部屋を明るくして、画面から約46.3cm位離れて読んで下さいね?

 「俺は全てを受け入れる。例えそれが……どんなに残酷な真実しかなくてもな」


 私が葵と話しているとき、そんなコトを言われたことを覚えている。

 私はその言葉を発した時の葵の顔を一生忘れないだろう。

 その時の葵の顔は辛そうで、悲しそうで、苦しそうで、でも何処か楽しそうで。

 そんな表情に私は一目惚れをしていたのかもしれないや。

 この人を放っておけないっていう感情と共にこの人と一緒に在りたいという感情が混ざってた覚えがある。

 つい最近解ったのだけど、葵は元の世界に本当は戻りたかったらしい。

 ま、なんとなくは感づいていたけどね。

 葵ってば私たちの前では気丈に振る舞ってたけど、此処に来て数日はずっと枕に顔埋めて泣いていたのを覚えているしね。

 葵は私が知ってることを知らないだろうけど。

 取り敢えずは私たちの夫に無理させないようにがんばらなくっちゃね!



 フ、フフフ、フハハハハハハ!!

 よ、漸く完成した……ッ!!


 「こ、コレで……」


 「……ど、どうしたの、旦那っ?」


 「コレで……ッ!!……ゆっくり眠れる!!」


 俺が元居た世界で使っていた枕を再現した。

 枕の柔らかさから、枕カバーの柄、肌触りといった物や匂いまで再現したんだ!

 俺は枕が変わったら眠れない系男子なものでな。

 この世界でゆっくりじっくり深い眠りに入るために枕を作ったのだ!!

 因みに低反発枕で普通に寝やすい。


 「あ、葵。今日はご飯どうする?リクエスト無いんなら好きに作らせて貰うけど」


 「あ~、んじゃリアのオススメでよろしく」


 「気になってたんだけどさ、どうして枕を抱きしめて物凄くニヤニヤしてるの?」


 「いやさ、頑張って向こうでの枕を再現したんだ。しかも、だ。金を使わずにな!!」


 「あ~、うん。おめでとう。それより、薫ちゃんについてはどうするの?」


 「取り敢えず冬を越えたら、だな」


 こんな辛い季節に来させる意味が解らないしな。

 なんで冬なんて物があるんだろうか?

 いや、確かにキャベツも小麦も色々美味しいモンは冬が必要だし、鍋やおでんが旨いのも冬だ。

 それに関しては俺は何も異議は唱えない。

 だが、俺は大切な物と解ってて言わせて貰う。

 冬など要らん!!


 「なんで葵はそんなに冬が嫌いなの?」


 「嫌いな物は嫌いだから嫌いなんだよ」


 「だ、旦那がまるで子供のようだね」


 「いや、一応今でも俺は子供ではあるんだがなァ」


 「私たちの中じゃあ既に子供という枠組みに葵という名前は無いけどね」


 「ふむ、それにしても寒いな……」


 ……どうしてこんなに寒いんだろうか?

 俺的には春くらいが一番過ごしやすいんだがなァ。

 春は良いぞ?

 桜は見ることが出来るし、タンポポは咲くし、新しい生活が始まるという始まりの季節でもあるしな。

 それに比べて冬はなんだ!!

 リア充が帰路に一杯居て、クリスマスには一夜を共に過ごすとか言う羨ま……ゲフン!けしからん!!

 子供は八時には家に帰れっつゥの。


 「あ、そだ。旦那っ」


 「ン?何だ?」


 「旦那って聖夜に興味ある?」


 ……女の子と過ごす聖夜には興味がある、なんてことは言えやしねェ。

 ま、別に最初から言うつもりもねェんだが。


 「聖夜かァ……。つか、この世界に聖夜なんてあったのか?」


 「うんっ!因みにその日は祝日だから、魔王も休めるよっ!!」


 「……マヂ?」


 「「マヂ」」


 「……イヤッホォオオオウ!!」


 ……っは!?どこぞの運命英雄使いみたいな声出してしまった。

 しかし、この喜びはどう表現したら良いんだろうか。

 物凄く嬉しく、物凄く幸せで、物凄く感動的で、物凄く超常的なんだ。

 この心情を現すことの出来る言葉はさっきの『イヤッホォオオオウ』しかないだろう。

 いや、言葉というよりはシャウトなんだがな。

 それにしても幸せすぎて鼻血が出そうだぜ……っ。


 「葵が喜んでるみたいで重畳だよ。良かった、良かった」


 「に、しても聖夜って何を祝うんだァ?」


 「ん?確か魔族なら魔神様、人族なら神様だったはずだよっ」


 「ほォ、魔神様なんてもんがいるのか。知らなかったぜ」


 魔神様かァ……。

 どこぞの魔界の魔神ことSさんが出てくるなァ。

 某『Goddess of devil's world』の御方だ。


 「そう言えばミラはどうしてんだ?」


 「あ、彼女なら最近はウチの魔物達を世話してくれてるよ。魔物達からも好かれてるみたいでさ」


 「そう言えば魔物を世話してた人達に『俺らの立つ瀬がねぇよ……』って嘆かれてたよねっ!」


 ……ま、まァ、もとよりミラの職業自身が魔物に好かれやすそうな職業だしな。

 世話役の人達は悪くなんかねェんだよ。

 彼らにはキッチリ別の仕事を渡すことにしよう。

 例えば……、そう!調教師とか!

 ……ねェか。



 「……ねぇ、りんごじゅーすは?」


 「ごめん、まだないんだ」


 ……あれからずっと林檎ジュースをねだられている。

 俺はどう反応したら良いんだろうか?

 上目遣いで言われてしまい、無いことに罪悪感が物凄く募るんだ。

 アリアに姫さん両方ともが俺と同じ気持ちな様で、少し苦い顔をしている。

 まさしく『苦虫を噛み潰した』様な顔だ。


 「……ふむ、ここら辺で一回村に寄るけど良いか?」


 「あ、はい。私も買いたい物が在りましたし」


 「……お風呂に入りたいわ」


 そう言えば風呂に入るのは三日ぶりになるのか……。

 向こうに居たときは考えられなかったことだな。

 俺は向こうでは生粋の風呂好きだったから、勉強し終えたのがたとえ午前2時でも風呂に入ってたしね。

 ま、両親には怒られたけどさ。

 それでも俺が止めなかった理由はきっと一番落ち着ける場所だったからなんだろうな。

 今でもそれには代わりがないけど、無い物ねだりは出来ないしな。

 例えば『冬が無くなって欲しい』みたいな巫山戯た願望とか?


 「……お、そろそろ着くな」


 「目の前に見えてきましたね。勇助様はどうするんですか?お供しましょうか?」


 「ッハ、アンタみたいな巫女に着いて来られたら迷惑でしょ!」


 「……ん?今ナニカ言いましたか?ツルペタ姫様?」


 「別に何も言ってないわよ、牛巫女」


 ……なんという言い合いだろうか。

 最近一緒に居て恥ずかしいレベルなんだが……。

 そろそろ本気で言いたい、『お前達は小学生か!?』とな。

 いや、この世界には小学校なんて物はないからアイツ達に言ったとしてもきっと『?』ってなるだろうけどな。


 「はいはい、ストップ。お前達喧嘩しすぎだろ……」


 「……すみません」


 「反省してまーす」


 「は、反省の色が全く見えない……」


 「……おねーさん達はずかしい」


 「「っんな!?」」


 ……うわ、子供にまで言われてるよ。

 いや、もしかしたら俺の心の叫びを代弁してくれたのかも知れないけどさ。

 もしそれだったら感謝しつつ、どうやって俺の心を読んだのかという疑問に頭を悩ませないと行けないけどね。


 「……おにいさんがかわいそうだよ?おにいさんずっとがまんしてるみたいだし」


 「……そ、そうなんですか?」


 「ま、まさか、気づいていなかったとは……」


 ……いや、気づいていたらずっと言い合いなんかしてないか。

 それにしてもこの子は俺の心を代弁してくれてるなぁ……。


 「……おにいさん、かおにでやすい」


 「もし、俺が顔に出やすいならコイツ等も気づいてるだろうに……」


 アリアは最初に出会ったときに比べて凄くキャラが変わってしまったな。

 あんなに純粋そうだったのに……。

 どうしてこうなった……。

 ま、変わらず好きではいるんだけどさ。

 例え世界を敵に回しても俺はアリアを取るだろうしな。

 勇者としては物凄くいけない発言ではあるんだがな。

人物紹介ファイル05

名前:豊臣 一姫

職業:魔王のおばあちゃん

容姿:人類最強の雰囲気を柔らかくした感じ。

服装:巫女服

性格:俺ッ娘(娘で良いのだろうか……?)、葵至上主義、可愛い物は正義、身内には駄々甘い


ふむ、こんな感じですかね。

リクエストがありましたので投稿です。



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